【感想】古今和歌集 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典

中島輝賢 / 角川ソフィア文庫
(17件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    司書KODOMOブックリスト(注:「司書になるため勉強中」のアカウントです)

    「古典を難しく感じるのは、時代背景が分からないと作品の内容が理解できないところにある。ビギナーズ・クラシックスシリーズでは古典の原文→その現代語訳→さらにその部分の解説という構成になっているので、当時の風習などを理解しつつ、原文の雰囲気を味わいながら古典に親しむことが出来る。」
    (大居雄一『身になる読書術』の紹介より。
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    投稿日:2024.01.14

  • ☆ベルガモット☆

    ☆ベルガモット☆

    原文の和歌、訳文、寸評の順に、丁寧に解説される。四季や心情を織り込んだ和歌を音読しながら味わうので1カ月以上かかってしまった。ビギナーズとあるがなかなか読み応えのある内容。コラム欄も勉強になる。
    藤は春の終わりを飾る花とのこと。菊は中国から輸入、古今和歌集から盛んに詠まれるようになったとのこと。和歌のレトリックとして古今和歌集を代表するのは掛詞、縁語とのこと。掛詞は、文脈の複雑さとイメージの重層化をねらった、限られた音数内でより多くの意味を持つことを可能とした。例)はる(張る・春)ふる(降る・経る)まつ(待つ・松)。縁語は、中心となる語からイメージされる言葉で一首を構成、連想ゲームのよう。
    糸・よりかくる・乱る・ほころぶ
    古今和歌集の成立と歴史的背景、構造や配列、歌風、その後の影響などがまとめられている。
    詠み人知らずの歌で特に気になる歌が多かった。韻律が美しい。付録の初句索引がまた良い。日本語ひらがなの素晴らしさにうっとりした。
    花の香を風のたよりにたぐへてぞ鶯誘ふしるべにはやる(紀友則)
    春ごとに花の盛りはありなめどあひ見むことは命なりけり(読み人知らず)
    夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月やどるらむ(清原深養父)
    白露の色は一つをいかにして秋の木の葉を千々に染むらむ(藤原敏行)
    山里は冬ぞ寂しさまさりける人目も草もかれぬと思へば(源宗于)
    あさぼらけ有明の月と見るまでに吉野の里に降れる白雪(坂上是則)
    むすぶ手の雫に濁る山の井の飽かでも人に別れぬるかな(紀貫之)
    人知れず思へば苦し紅の末摘花の色に出でなむ(詠み人知らず)
    思ひつつなれば人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを(小野小町)
    月夜よし夜よしと人に告げやらば来てふに似たりまたずしもあらず(詠み人知らず)
    世の中は何か常なるあすか川昨日の淵ぞ今日は瀬になる(読み人知らず)
    世の憂き目見えぬ山路へいらむには思ふ人こそほだしなりけれ(物部良名)
    すべての仮名を一回ずつ使って作られた歌。
    天地星空山川峰谷雲霧室苔人犬上末硫黄猿生ふせよ榎の枝を馴れ居て
    (あめつちほしそらやまみねたにくもきりむろこけひといぬうへすゑゆわさるねふせよえのえをなれゐて)
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    投稿日:2023.03.06

  • きぼりねこ

    きぼりねこ

    好きな歌が新古今和歌集だったのでそちらを先に読んでしまったが、新古今和歌集と比べるとこちらの古今和歌集の方がやわらかい印象。

    今回この本に取り上げられていた歌の中で一際心に残った歌が、

    しののめの ほがらほがらに 明けゆけば おのがきぬぎぬ なるぞかなしき

    なのだけど、夜が明ける様子を「ほがらほがら」と表現しているのが面白い。
    「ほのぼの」だと悲壮感がなくむしろ夜明けが楽しみな感じがするのに、「ほがらほがら」だとなんだか自分の意思とは関係なく、無慈悲に時が過ぎていくような感じすらする。
    またその情景を描写したあとに、別れるための身支度をしている様子が現実的で、ちょっと現代的にも感じた。
    読み人知らずの歌だが、本書では身支度という日常を切り取っているところから、女性の目線なのかと書かれていて、なるほどなと思わされた。

    そういうわけで、音の面白さ、情景の選び方、体験したわけではないのに作者の心が身近に感じられることなどから、私の本書No.1の歌である。
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    投稿日:2022.11.11

  • goya626

    goya626

    ビギナーズと謳いながらも、なかなかの内容だと思う。和歌の意味も技法についての解説も適切。はたと膝を打つことも多かった。頭の整理にもいい。非常に読みやすい本だ。古今和歌集がその後の和歌のお手本とされたことがよく分かる解説だ。理知的というか理屈ぽいが、和歌の技法の基本的なことはここで出尽くしているのだろう。「本歌取り」という用語は生まれていないが、既にその手法も使われている。続きを読む

    投稿日:2022.10.28

  • あんず

    あんず

    本シリーズの万葉集読んだので次は古今和歌集かなと。
    万葉集好きなのですが、古今和歌集もめちゃくちゃ好き〜〜!!!となりました。技巧を凝らした歌が多く、何言ってるのか分からないものも多いのですが、それがまた31文字でいくらでも表現できる自由さも感じました。

    そして国歌は古今和歌集から採られていると初めて知りました。
    これはまた全首読みたいですね。
    いつものことですが本書の解説も古今和歌集や和歌に対する愛情を感じました。寸評のおかげで理解が難しい和歌も背景まで理解することができ、おもしろさがよくわかりました。

    ちなみに、中でも好きな歌は下記です。
    秋口に詠みたい。

    秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞ驚かれぬる
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    投稿日:2020.09.09

  • jun.k

    jun.k

    時代が近づいたためか「万葉集」と比べて歌そのものの意味が捉えやすいように感じました。

    ただ、洒落とか比喩とか、つまり技巧のようなものが何かと鼻につく気がします。
    万葉人の時代から、生活のあり方も制度化されたり形式化されたりといったことが進んだのか、自由な感じがしない、なんとなく窮屈な印象を受け、感情を真っ直ぐに表現したような歌が少なかったように感じました。
    うまく言えませんが、特定の誰かに伝えるとか、思ったことを素直に述べる、というよりも、不特定多数に読まれることを前提にしているような、そんな雰囲気があります。
    そのためか、読みやすさの割にあまり共感できませんでした。

    そして解説が授業的に感じる節がありました。せっかく古典を楽しみにきたのに、こう読みなさい、ここはテストに出ますよ、と言われている気がして、その点も窮屈に思いました。また、同じ歌の解説とその直後のコラムでまったく同じ記述があったりして、その点はいかがなものかと思いました。
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    投稿日:2019.01.28

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