【感想】ベツレヘムの星

アガサ・クリスティー, 中村能三 / クリスティー文庫
(16件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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ブクログレビュー

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  • あやごぜ

    あやごぜ

    ノンシリーズ。

    「クリスマスにはクリスティーを! 」
    (このコピー考えた人、天才!)
    ということで、本書はミステリではなく、聖書を題材にとったショートストーリー&ポエム、11編が収録されている、クリスマスブックでございます。

    聖書がベースとなっているので、全体的にキリスト教要素が強く、聖書の知識があるとよりお楽しみ頂けるかと思います。
    そんな中、個人的に好きだったのは「水上バス」ですね。
    人間嫌いだけど善良な、ミセス・ハーグリーヴズの一日が描かれているのですが、クリスティーの人間描写の上手さと、ミセス・ハーグリーヴズの心に変化が起こっていく様が繊細に描かれていて、何度でも読み返したくなる秀作だと思いました。
    あと、ペテロやカタリナ、クリスチナ等々・・といった聖人たちがワチャワチャ登場する「いと高き昇進」も、ユーモラスで楽しめます。
    そして、(聖母)マリアと堕天使ルシファーの、ちょっとヒリヒリする(?)やり取りが興味深い表題作「ベツレヘムの星」は“クリスティー版聖誕劇”というところでしょうか。

    “ノン・ミステリ”の本書ですが、クリスティーのちょっと捻りが効いた小話も良きかな・・と、いうことで。
    ちょこちょこ挟まれるポエムも含めて、聖夜の雰囲気を堪能させて頂きました。

    それでは、「Merry Christmas, Mr. Lawrence(←w)!」
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    投稿日:2023.12.24

  • hitoyan

    hitoyan

    クリスマスに見つけて、お正月に読み終わりました。
    ミステリーではなくてもクリスティはクリスティ。それが一番の感想です。ただし、全編ショートショートと言えそうな長さなので、この長さが私のクリスティ感と違うところです。全編に注がついています。その注を確かめると、ほとんどが出典としての聖書。どこに書かれていることを典拠としての話なのか、ということでした。これは、聖書を手元に置いて読むと、もっと理解が深まるのでしょう。
    典拠を示した注ではなかったのが「いと高き昇進」。聖者についての解説です。この注を確かめて思ったのは、聖人の大部分が、日本でいえば鎌倉時代ぐらいの人々だということ。聖人とは、ひょっとすると、社会科で習った鎌倉仏教の始祖、開宗の方々と同じような捉え方なのだろうか、と思いました。これもまた、キリスト教を知らないが故の勝手な想像です。
    各編、この訳で良いのだと思いますが、芥川龍之介の文体で読んだら、もっと違った味わいがあったのかな、作品に込められている機知と諧謔の雰囲気は芥川の文体がより生きるように感じた次第です。
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    投稿日:2023.01.03

  • nuhuaueo0

    nuhuaueo0

    ミステリーの女王として日本でも有名な作家による「クリスマスブック」。聖書の物語をベースにしつつミステリーを得意とする作家らしい”ひねり”があって、とても面白かった。また、日本の作家によるクリスマス話でよく見られるキリスト教徒を貶したり笑い物にしたりするような不快な描写もないし、サンタクロース関連の話が一切ないのも良い。続きを読む

    投稿日:2021.12.30

  • momchap

    momchap

    クリスマスに合わせてぜひ読みたい本。クリスティーといえばミステリーだが、このようなハッとするような短編もあるのだと初めて知った。
    一つ一つがミステリーっぽさもあり、不思議さも持っている。
    ただ、キリスト教についての予備知識がある方が楽しめるのではないかと思う。続きを読む

    投稿日:2021.12.23

  • ahddams

    ahddams

    ミステリと思う勿れ笑

    季節に応じた作品に触れようの回。(今夏は横溝正史の『獄門島』)
    オリエント急行もポワロ・シリーズも未だ手付かずなのに、いきなりソフトな面からお邪魔する。あとがきにも書いてあるけど心理描写が巧み。「何?どうなる⁉︎」とビクビクじゃなくてワクワクした気持ちで各話の続きが気になっていた。

    彼女が料理したクリスマス・ストーリーズはどれも不思議な構成だった。短編集ではあるけれど「信仰」をキーワードに各話が一本の糸で繋がっている。(自分にとって短編は変わらずとっつきにくいものだけど、そう考えたら個々の話として楽しめた) 彼女の代表作もこのスタイルで展開していくのかな。『クリスマス・キャロル』みたいなストーリーブック調にも見受けられるけど、聖書の知識を蓄えるのもさる事ながら大人になって再読するとまた違った味わいになってくると思う。

    第1章は彼女なりにアレンジした聖誕劇だけど、とにかくルシファーの登場シーン(聖誕劇で⁉︎と思うだろう…)が一番度肝を抜かれた、を飛び越して笑いでつんのめった。東方の三博士が”VIP”と呼ばれていたのも。(間違ってはいない笑)

    『いと高き昇進』もお気に入り。聖者達の行進で幕を開ける衝撃のイントロ。14人の聖人(ペトロ以外知らない人達。翻訳者さんですらご存知ない人もいる汗)が静物として崇拝される運命から解放されてそれぞれの形で現代を生きるところが何だか清々しい。(「解放された」って解釈で合っているのかは疑問だけど…)

    彼女がどれほどの信仰心を持たれていたかは知らないけれど、普段「目に見えざるもの」への感謝を忘れがちな人が読んでも説教っぽくは聞こえないだろうし、クリスマスを機に思い出させてくれる仕掛けになっているのかね。
    続きを読む

    投稿日:2021.12.19

  • quatorze

    quatorze

    このレビューはネタバレを含みます

    クリスティーのクリスマス。

    聖書の話を知っていると、あのことか、と気が付く。さすがクリスティーというべきか、やってきた天使(を騙る者)は何者か、このロバはどんなロバか、など正体が最後にわかる作品の楽しさ。聖人たちの会話も楽しく、もしかして町の中にいたりして、と思わせる。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.07.22

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