【感想】珠玉

開高健 / 文春文庫
(11件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
1
6
1
1
0

ブクログレビュー

"powered by"

  • LKS

    LKS

    原稿用紙と対峙してこんな文章を練り上げるのはすごい。いちいち感心して読んでしまう。食や官能の場面も好きだが、開高さんは“甘睡”という語をよく使われていて、その表現が好きだ。あと光彩の機微を丹念に描写しているのもいい。続きを読む

    投稿日:2024.03.06

  • しんめん

    しんめん

    人生の鮮やかな記憶を宝石に擬えた3篇からなる、開高氏の遺作。
    本当に日本語が巧く重い。性(色)・食・美への気迫ある表現に息を呑む。
    大き目の活字と200p弱というボリュームに反し、内容は濃厚。作家が、こういった作品でキャリアの最後を締めれるのは幸せな事なのではと余計な事を考えた。
    続きを読む

    投稿日:2023.01.16

  • yoshidamasakazu

    yoshidamasakazu

    司馬遼太郎「十六の話」より
    *老医師、中華料理店主、阿佐緒は 全て 空の転じたもの
    *開高健は 「珠玉」によって みずからの生を送り、みずからの葬儀をしつらえ、みずから声明梵唄をとなえた

    開高健 「 珠玉 」3つの短編小説。最後の「一滴の光」だけだと変態小説だが、司馬遼太郎の書評を 参考に 3編連作の遺作として読むと、著者の死を迎えた空の境地が見えてくる

    珠玉=宝石=尊いもの。3編とも尊いものとは何かを問うている。「掌のなかの海」では 息子の記憶。「玩物喪志」では 作家としての志。「一滴の光」では 慈悲の世界
    続きを読む

    投稿日:2018.10.14

  • tikuo

    tikuo

    タイトルの「珠玉」の文字通りの宝石を核として、開高健らしく酒にまつわる話を3つ。

    内容は「ザ・文学」とでもいうような、改行のほとんどないカチカチの硬派で、しかも石にまつわる幻想風景のような話が挟み込まれるので、まあ読みにくい。

    途中は開高健らしい、中国の故事やいろんな昔話、物に関する蘊蓄がたくさん詰まっており楽しめるのだが、他の作品に比べると、それらが読み手に襲い掛かってくるような、そういう勢いは少ない。

    最後はエロ絡みにまとまるも、いつものウィットや皮肉というものも感じられず、ただただ真面目で重い印象であった。

    初めての開高健なら、他の作品が良いでしょう。

    子供向けではないが、エロ描写まで我慢して読み進めることのできる子供はほとんどいないだろう。
    続きを読む

    投稿日:2015.10.29

  • ぢる。

    ぢる。

    「開高健最後の文学作品」というタグがあるらしいんですが、まあ、それはおいておいて。

     3つの石をモチーフに記憶や現在が描かれる”石小説”、もしくは作家本人の回顧、老境小説と呼んでもいいでしょう。
     光の当たりかたによって表情を変える石の煌きのように、人の人生も光の当て方でいろいろに映しだされる、記憶が引っぱり出される、もしくは今現在の輝きをふと感じる。

    「文學」というものは具体的に存在しなくてね、「文學する」「文學している」という状況があるのだ、というのはあたしの師匠の受け売りなんですが、人生の間に間に「文學する」瞬間がある。その瞬間瞬間を石の煌きにリンクさせた、というのが本作の、文学作品としての値打ちではないでしょーか。

     老境小説だなーって思って読んでいると最終話でいきなりふんだんなエロ展開が待っているので、期待していいぞ!
    続きを読む

    投稿日:2015.04.21

  • sg4621

    sg4621

    開高健の遺作、1990年に初めて読みました、この人のノンフィクションに凄く影響を受けました、
    正直 物語には 当時19歳位ですがあまり好きでは無かったのですが… なんか 知性とボキャブラリーに酔わされて(^ .^)y-~~~ 高級クラブの勘違いしたネエチャンみてーな文章が鼻について(^-^; さて43歳になって読み返すと( ̄□ ̄;)!! 凄いもんです 紡がれて 磨り潰されて 寝かされた文章が胸をうちます! 「本当に毎日楽しかったら芝居なんかしない」 と 言った役者さんがいましたが、この人は心に灯った小さい炎を消さないように 体を折り曲げながら 言葉を紡いで死んでいったのだと感じました。
    食を語り 酒を語り 戦争を語り 女を語り 釣りを語り… 最後の物語のelementは宝石でした…
    アクアマリン ガーネット ムーンストーン
    海の色と 血の色と 月明かりの色 静謐と言う言葉がぴったり当てはまる話です(^ .^)y-~~~
    続きを読む

    投稿日:2014.01.27

Loading...

クーポンコード登録

登録

Reader Storeをご利用のお客様へ

ご利用ありがとうございます!

エラー(エラーコード: )

本棚に以下の作品が追加されました

追加された作品は本棚から読むことが出来ます

本棚を開くには、画面右上にある「本棚」ボタンをクリック

スマートフォンの場合

パソコンの場合

このレビューを不適切なレビューとして報告します。よろしいですか?

ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。

レビューを削除してもよろしいですか?
削除すると元に戻すことはできません。