【感想】チェーザレ(3) 破壊の創造者

惣領冬実, 原基晶 / モーニング
(16件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
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ブクログレビュー

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  • 亞綺羅

    亞綺羅

    借りたもの。
    ドミニコ修道会の怪僧・サヴォナローラの台頭。
    そして大学の学生団の派閥争いがそのままルネサンスの縮図となっている。フランス団が幅をきかせはじめている。「フィレンツェの軍事力が脆弱なせい」という台詞は、国防において軍隊の重要性――それを持たず傭兵で賄っていたが故に独立した立場が不安定な商業都市国家であるフィレンツェ――を浮き彫りにする。
    ニッコロ(マキャヴェリ)が指摘する、共和制の人間であるアンジェロと君主制の人間であるチェーザレ…相いれない立場の二人が語る互いの正論は、民衆の視点だったという言葉に、国を動かす人間が求められている姿勢を垣間見る。
    アンリに純粋に否を説くアンジェロ。
    その後に発生するアンジェロ、チェーザレ達とアンリの追いかけっこ(笑)に抱腹絶倒。
    その後のシリアスな展開にも唸らせられるけれど…
    イベリア半島のレコンキスタが世界や後世に及ぼした負の遺産は数多あれど、あの時スペインが優れたものに触れ「学んだ」のは事実。
    中世の価値観を一蹴し、現実的(現代的)なものの見方をするチェーザレに魅了される。
    そして釘を刺すように「あれに傾倒すればするほど――」「おまえはいずれチェーザレに失望する」と最後のページは締めくくられる。上手い。

    解説には、今回でてきたピサをはじめとする建築物とその写真を合わせた解説つき!
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    投稿日:2022.04.08

  • 北風

    北風

    こんな十代の頃から、大人顔負けに政治を行うなんて。お父様はどんな環境でどんな教育をしたんだろう?
    ミゲルの言う通り、アンジェロがいつか裏切られそう。

    投稿日:2022.03.27

  • enomoto daiki

    enomoto daiki

    ただただチェーザレがかっこいい。アンリとの戦いで「人種が違おうが信仰が違おうが優れたものは優れているのだ 学んで何が悪い。」というセリフが痺れる。あいかわらず、アンジェロがいいコントラストを生んでいる

    そしてついにマキァヴェッリ登場。
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    投稿日:2022.01.16

  • 放浪金魚

    放浪金魚

    第3巻。ドメニコ会のマキャヴェッリ、フランス団アンリ対スペイン団チェーザレ、ピサの街での工場建設計画。

    フィレンツェの実質的支配者ロレンツォが病床に就いたことから、フィレンツェに陰りが生じ始めます。
    イスラム勢力による侵略は学習でもあり文化の融合となったと寛容さを持つチェーザレと、対抗組織は蛮族と呼び徹底的に敵視・排除しようとする強硬派のアンリの関係は、現代でも対立の火種を生む普遍のきっかけだなと思います。
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    投稿日:2016.01.22

  • 0107springsteen

    0107springsteen

    『フランス人はイスラムの侵攻に屈しなかったことを自負する熱烈なキリスト教信者』
    『キリスト教信者以外の人間は全て邪教』
    うーむ、歴史とはまさに過去・現在・未来の対話、考え込まざるを得ないなぁ、、、

    投稿日:2015.01.25

  • ぽんきち

    ぽんきち

    <「奴をそこいらの貴族の子弟と一緒にはするな あれは野生動物のように頑強でずる賢い」>

    弱冠16歳とは思えぬ手腕で権謀術数を巡らすチェーザレ。
    飼い慣らされぬ野生動物が徐々に牙をむき始める。

    冒頭のひと言は、チェーザレの側近でありユダヤ出身のミゲルが、チェーザレに惹かれる無垢な少年アンジェロに忠告した言葉。だが、かくいうミゲルがそもそもチェーザレの底知れぬ魅力に惹かれている、のだと思う。

    この巻ではマキァヴェッリが登場する。後にチェーザレをモデルとして『君主論』を執筆する布石となっていくのか。

    ふとしたきっかけでチェーザレの経歴を目にしたアンジェロは、チェーザレがわずか8歳で教皇庁書記長という要職に就いていたことに驚く。拝命した際、神童チェーザレは、教皇の前で完璧なラテン語で挨拶をしたという。この口上が興味深い。

    「至大なる教皇
    シクストゥスIV世聖下

    詩人が言うように
    あらゆる人間にすべてが許されているわけではありません

    でも聖下は そんな私のために
    今 道を開いてくださったのです」

    この「詩人」はウェルギリウスを指す。『神曲』でダンテの導き手ともなったウェルギリウス。ラテン語圏において、その存在が非常に大きい、ということなのだろう。

    チェーザレは庶子である。庶子とはつまり、正当な婚姻の外で生まれた子供である。チェーザレの父はそもそも聖職者であったので、婚姻が認められていない。必然的にチェーザレもその兄妹も庶子となる。
    この時代、庶子であるということはそれだけで大きなハンディキャップであった。チェーザレは、時の教皇から嫡出証明の免除までもらっているのだが、それでもなお、乗り越えられない限界があった。
    「生涯表舞台に立つことはない」のが庶子だったのである。
    これは宗教上の理由からで、男女の性的結合が原罪とされており、正式な婚姻関係における純粋に生殖を目的とする場合のみ、罪性から逃れることが可能であったためという。
    日本でも嫡出子が優遇されてきた面があるが、これはどちらかといえば、「家」の単位を守るものだったのではないかな・・・?などと思うとなかなか興味深い。


    *基本、息抜きのつもりで追いかけているコミックですが、副読本が相当にヘビー(^^;)。前巻では『神曲』、この巻では『君主論』にちょっと興味が。『神曲』の方は購入はしたのですが(買っただけ、だけど)、さて、年末年始で少し腰を据えて読むかな? 読めるかな?というところです。

    *さて、ここまで図書館本を1冊ずつ借りているのですが。そろそろセットで買うかなぁ・・・?
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    投稿日:2013.12.15

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