【感想】不幸論

中島義道 / PHP新書
(27件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
4
11
7
2
1

ブクログレビュー

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  • 橘

    このレビューはネタバレを含みます

    こういう本が出されてるってことは、世間一般ではそうでないのか?と思った本でした。
    幸せそうに見える人も他人に不幸を見せないようにしてるだけかもしれないし、人にはそれぞれその人だけの不幸があるものだし、「人類皆平等」って言われても「そんなん”生まれたら必ず死ぬ“くらいしか同じとこない…」って思ってしまう質で平安時代の「無常」「憂き世」にシンパシーを感じる身としては「不幸論」は新しい提案ではないけれど、でもここまで徹底的に自らを幸福でないようにしようとする著者の姿勢は凄いです。
    不幸のかたちがそのひとをかたちづくる。歪んだり立ち直れなくなって人生終わらせるほどの不幸は無くてよいけど、薄っすら不幸は生きていける。もちろん「いつか必ず死ぬ」も。
    中島先生、かなり偏屈で面白かったです。著書読むと先生のこと好きな人と嫌いな人がスパッと分かれそうで、「好きでも嫌いでもない」って人は居ないだろうな。
    (必ず死ぬと思っておきながらその生き方かよ…というツッコミからは目を逸らしながらなので、自分の不幸を見つめ直します)

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    投稿日:2023.08.17

  • kamitako

    kamitako

    この種のテーマコミュニティは居心地がいい。徹頭徹尾、ブレなく繰り返される論理(ちょっとくどい)。まあ最終的には平坦なのであるが...。
    マジョリティが読み「まあそういう考え方もあるよね」と承認される程度には成熟した社会だと思いたい。
    PHPが出す逆説(笑)
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    投稿日:2021.06.04

  • rick

    rick

    理解できる部分と理解できない部分が同じくらいあり難しい本だと思った。人は決して幸福になれないというのはただのニヒリズムではなくニーチェ的な能動的なニヒリズムを意味しているものだということは分かった。また世の中には幸福というもので真実を隠匿しそれを見ようとしないというのは実際そうだと思った。かなり難しいのでもう少し考えてみたい続きを読む

    投稿日:2018.08.11

  • そらら

    そらら

    幸福アピールする人や幸福ばっかり考える人は、実は幸福の中にいるのではなく、不幸や不安から逃げ出そうとしているだけ。かといって、不幸と向き合ってしまって解決策があるか、逃れられるかといえば、そうでもない
    やはり幸福というのは求めるものでもない。
    本当は、幸福も不幸も相対的な感覚で実体はないのかも。
    幸福も不幸も分離されるものではなくて、心の中に絡みついて天気のように入れ替わる。
    ある時は、神に愛された確信や良き出会いの幸福を噛みしめるが、現実に悪い意味をつけていくことで自ら不幸を作り出してしまっている時もある。
    不幸というのは、「嫌だ」と思う脳の働きにしか過ぎない。

    不幸の正体を見極めることで、不幸ってそんなものでしかなくなる。
    そして、幸福という幻想も、受け入れて、幸福や不幸よりもより深い生の領域に生きることが肝要だと知る。
    人生の目的は幸福ではなくて、幸福というのは影のようにしてついてくるオマケみたいなもの。
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    投稿日:2015.06.05

  • 穂苅太郎

    穂苅太郎

    このレビューはネタバレを含みます

    相変わらずひとつのテーゼに持論、偏見、数々の(かなりこじつけや雑な扱いもあるのだが)引用をくっつけて、こねて、ちぎって見せるけど、最初の一ページ、いや目次に記してあるたった一行からいささかも変化はない。今回は「どうしたって不幸なんだからわかって生きてそして(以降は通底しているな)やっぱり人は必ず死ぬ」ということ。この先生に嫌悪感を抱くのはもっともだが、ロジックビルディングがやけに面白いことを脇においてはいけない。こんなに面白い老人ボヤキはそうはないのだから。

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    投稿日:2015.05.12

  • 酒井一成

    酒井一成

    とても刺激的な本である。一言で言うなら、人間はどうやっても不幸なんだってこと。幸福とは、思考停止であり、錯覚であるということだ。そして幸福であることを求めるのではなく、不幸であることを受け入れ、自らを知ることの大切さを説く。僕には、とても説得力のある正論に感じた。

    やや自嘲的に感じる作者の文章は、好みが分かれるようにも思う。またぬるま湯のような当たりのいいだけの人生論とはー線を引いているので、反感に近い感情を持つ人もいるだろうなと思う。しかし、「人は自分の見たいものだけを見る」生き物であり、そういうものを選び集めておいて「ほら、みんなそうだ」と納得したがる生き物なのである。こういうガツンと目を覚まさせてくれる薬は必要だ。

    そもそも、哲学ってものはこうやって冷酷に真理を追いつめていかなければつまらないもので、僕はこの本の中に、ものすごく力強いものを感じる。強い風に逆らって突き進むようなものを感じる。風を観測するだけの人ではないと感じる。だから、この本に書いてあることは確かにその通りだろうと納得してしまう。表面的に感じる違和感のようなものを越える力があるからだ。

    それでもなお僕の中には、人が生きていくには、錯覚や思考停止も必要なんじゃないかって思う部分がある。作者には怒られるかもしれないけど、僕には作者のように、人生の理不尽から目をそらさず、不幸を受けいれ続けるパワーはない。自分もそこそこ幸福だって「錯覚」しつつ、それに甘えそうになった時、はっと気づいて自らを戒めるくらいでいい。

    ただちょっと思い通りにいかないくらいで、自分は不幸なんだって周囲にあたっちゃいそうな今の僕に、ぴったりの苦い薬だった。
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    投稿日:2014.02.17

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