【感想】奇跡と呼ばれた学校 国公立大合格者30倍のひみつ

荒瀬克己 / 朝日新聞出版
(18件のレビュー)

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    奇跡と呼ばれた学校―国公立大合格者30倍のひみつ (朝日新書 25)教育・教養系

    筆者は、高等学校における学びについて、人と関わって社会で生きていく力(=見えない力)を育てるために、知識習得学習(=見える力の習得)に加えて、課題探究型学習が大切だと考えている。

    生徒が自ら考えて取り組むこの学習の実現に向けて、教員は生徒の興味・関心を引き出す仕組みや仕掛けをつくり、すべての生徒に「考えるきっかけ」を与えなくてはならない。

    こうして、学んだ知識を活用する経験を積んだ生徒は、知識量にとどまらず、課題設定・解決能力、企画力などを身につけることができる。

    そこで、堀川高等学校の生徒が経験するのが、新設された探究科での「探究」という体験型の学びである。探究科での授業は、先生が一方的に教える授業とは違い、生徒が自らの経験をもとに課題を見つけ、その解決に向けて探究し、発表する。生徒は、仲間と学び合い、個々人が試行錯誤を繰り返しながら、研究を成し遂げ、成長し、可能性を拡げていく。

    さらに、その研究を通して、“自分の学びたいこと”を見つけ、それが学べる大学を目指し、勉強に勤しむ。その結果、国公立大合格者を劇的に増やすことに成功した。
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    投稿日:2021.01.20

  • はは

    はは

    新しい組織を作るワクワク感に圧倒されました。自分もこんな組織で働いてみたいと思いました。一気読みしました!

    (最後のほうは無理に小ネタを加えた印象も。)

    投稿日:2020.08.15

  • higashihue

    higashihue

    堀川の奇跡がよくわかった
    目標を立てることが大切で目標から逆算して計画を立てていくが目標そのものも評価の対象となる

    多様な生徒に対応していくには教師も多様じゃなければいけない一枚岩であってはいけない
    バラバラでもいけない
    すべては君の知りたいから始まる
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    投稿日:2019.08.05

  • 規格外の薬剤師

    規格外の薬剤師

    公立高校復権の理由は、やはり、先生方の熱意と明確な展望ですね、こんな高校の生徒となることが羨ましい、と、思える本でした。

    P44 教員は変わらないが、研修を重ねて個人の力を磨く努力と共に、情報を共有し、困ったことが起きた時には、
    関係者全員が集まり、問題を共有し、整理する。
     そして、一人が判断をし、責任者の所在を明らかにする。

    P45 お手本は、歴史の中に。

     ・実証されている技術だけでつくる

     と、された新幹線をつくった島秀雄さん

    P78 生徒たちが追う、2兎

    ・大学受験に必要な学力を身に着ける事

    ・大学入学後の研究に向けた能力や姿勢を養うこと

    ・自在に英語を話せること

    ・大学入試の英語を解けること

    ・知識習得型の学習

    ・課題探求型の学習

    ・よく遊ぶ

    ・良く学ぶ

    P85 本当のゆとり教育

    生徒たちが失敗したとしても、試行錯誤を始める。
    でぐちが見えない状態で「悩み」や「惑い」を経験する

    見ている方は、ちょっとまどろっこしい。
    でも、そういう時間を丁寧に段階を踏んで
    見守っていくこと

    ひとりでなく、グループやクラス全体で
    取り組むことも大切。

    自分の言っている事がなかなか伝わらないという
    「ままならぬ思い」



    場合によっては「傷つく」とか「小さな挫折」
    があったとしても、守られている中での
    傷つきや挫折は成長期に重要な意味を持つ。

    この時間を十分に生徒に使わせること

    このゆとりの時間から、
    生徒に様々な見えない力をもたらす。

    ・時間の管理
    ・復元力 ←レジリエンス、とっても大切。
    ・耐性

    P87 メディアリテラシー

    ・受け取る力
    ・考える力
    ・判断する力
    ・表現する力

    P89 堀川高校が求めている生徒

    ★幅広い言語能力
     ・日本語の活用能力
     ・英語の活用能力
     ・数学的な論理の構築力
     ・それらを使った総合的な能力

    P112 探求基礎は、
      「知の技法」の影響を強く受けた

    P140 希望大学

    ・やりたい。
     そこに入って、この勉強がしたい。
     その思いと適切なアドバイスがあれば
     相当不可能に見えることも可能になる。
     
     何をしたいかが分からなくても、
     自分の可能性に挑戦してみようという
     気持ちさえあればいい。

    P177 人は言葉を浴びて育つ

    P180 少しだけ知っていることと、
       まったく知らないことは全然違う。

    P186 大事なのは、
    「受容されている」あるいは「共感されている」
     
     子ども時代に親や周囲に認められることは、
     その子の大きな力となる。

     子どもは、自信をもって
     自分の道を歩んでいくことが
     できるようになる。

    p192 キレないために、考えることを習慣づける為に

    ・「手の働き」が非常に大きい。
    ・生徒たちがノートに書くのも、「手を使う」
     大切な表現
    ・先生の板書を写すだけではない、
     生徒自身の試行錯誤の場所

    中学生や高校生になると、
    授業を聞いて思ったこと、考えたことは、
    走り書きでもノートに書きつけておくことが大事

    P197 教育スパン

    ・一年を思うものは、花を育てよ
    ・十年を思うものは、木を育てよ
    ・百年を思うものは、人を育てよ

    高校の教員は、3年間と言うスパンで
    生徒たちの成長を見守らなければならない。
    答えを急ぎすぎるきらいのある、今の教育現場。

    P204 失敗

    ・3年後に大きく高く羽ばたいていくために
     いくら失敗してもいい。

     教員が絶対に生徒を支え、
     たとえ傷ついても癒す時間と場所がある。

    ・学校は学びの場
    ・学校は小さな社会
    ・学校は楽しいところ
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    投稿日:2019.05.23

  • pyg1013

    pyg1013

    ・「改革」という言葉には、何が何でも進めなければならない、変えなくてはならないという響きがある。「教育改革」「学校改革」「授業改革」と改革の風潮は高まり、「学校力」や「教師力」と言った言葉も生み出され、学校が問われ続けている。しかし、その改革は何のために進めていて、なぜ改革を行わなければならないのか、そしてその成果は何によって評価されるのか。

    ・高校生活ではあえて2つの目標を掲げ、2つ(=二兎)とも獲得を目指す。もちろん3つでも4つでもいい。しかし、1つだけではもったいない。ものごとにはさまざまな側面がある。何かに取り組もうとするとき、ひとつの面ばかりに集中すると大切なものを見落としてしまう。視野を広げ、少なくとも2つの側面をカバーすることで、より高い成果を上げることができる。その願いを「二兎を追う」という言葉に託している。「知識習得型」(=詰め込み型の勉強)と、もう一方の「課題探究型」(=自ら考えて取り組む勉強、ゆとり教育)は「どちらが大切か」と論じられがちだが、実はどちらかひとつを選ぶようなものではない。習得した知識があるからこそ、それを使って自分で課題に取り組むことができる。また、課題に取り組むうちにさらに新しい知識を習得することできる。2つは相乗作用でふくらんでいくもの。どちらも必要で、お互いにお互いを高め合う関係であることが望ましい。2つを兼ね備えた勉強は、人としての裾野を広げ、本当の教養を身につけることにつながる。だから二兎を追いかける、二兎とも得るために。

    ・「君たちは狩りができるか?」「米をつくれるか?」おそらく誰もできない。できない人間に何が必要かというと、「人と関わって社会で生きていく力」。人と関わって社会で生きていく力をもつことが自立につながる。そのために必要な力は「見える力(=数値化できる力、知識量、試験で測定できる力、偏差値)」と「見えない力(=数値化できない力、判断力、企画力、実行力、行動力、求心力、持続力、想像力、愛情)」。見える数字を軽んじてはいけないが、偏差値で人を測ることは絶対できない。偏差値を引き算して何が残るのか、あるいは何を残したいのか。どのように人と関わって、社会の中で何を大切にして生きるのか。この問いに答えられる力をもつ青年を育てたい。青年にはもっと知識が必要。知識は考えるための燃料になる。想像力もまた知識によって高まる。さらに経験も必要。経験は自らが成長し、向上するための動力装置になる。偏差値が必要な部分は確かにある。しかし、よく生きるために偏差値が必要かというとそれは違う。試験の点数を上げることが、いい人になるための道ではない。ここは絶対に間違えてはならない。

    ・メディアリテラシーの4領域「受けとる力」「考える力」「判断する力」「表現する力」は大切。このプロセスの中で「考える」と「判断する」時間はできるだけ丁寧に踏ませたい。「考えて、判断して、また考える、そして判断する」この試行錯誤で悩み惑う時間をじっくり経験することで人は成長していく。

    ・もっとも大切なものとは?「知識」も大切だけれど、知識に裏打ちされた「経験」こそ大切。それを積むことが可能になる場を提供するのが学校の重要な役目。しかも頭だけでなく身体も使ってする経験は、いつどこでしたか忘れてしまあっても自然と覚えているもの。
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    投稿日:2016.12.17

  • takeshishimizu

    takeshishimizu

    著者は京都市立堀川高校の校長先生です。堀川高校が探究科を作って8年になります。(当時) 年々レベルが上がっていく様子を見ていた私にとっては、大学への進学実績が目に見えてよくなっていくのはある程度当然のようにも感じていました。しかしながら、この本を読んでイメージは完全に変えられました。何も受験に特化した学校というわけではないのです。探究科の名前どおり、自分たちで興味のあるものからテーマを決め、研究をし発表をしていきます。大学でやっているのと同じようなことをしているのです。その中で生徒たちは主体的に学ぶことの重要性、そしてその楽しさを知っていくのだと思います。だからこそ、受験が迫ってきたときも、ひるむことなく、真正面からぶつかっていくことができるのでしょう。この学校における3つの約束がちょっとしゃれています。そこからの抜粋を最後に。「学校は学びの場だ。・・・君たちに多様な学ぶ機会を提供しよう。 学校は小さな社会だ。・・・学校は君たちを大きな子どもとしてではなく、小さな大人として尊重しよう。 学校は楽しいところだ。・・・君たち自身が参画し、参加する意思と姿勢を持て。学校は君たちを見張るのではなく見守ろう。」その通りだと思います。高校生、それはきらきら輝く時。続きを読む

    投稿日:2015.04.30

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