【感想】雛の家

久世光彦 / 中公文庫
(8件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • karuno

    karuno

    昭和16年前後の物語。16年までの、荒れ始めた世間を知らずに安穏と過ごす姉妹。16年からの嫌が負うにも世間の荒波にさらされていく姉妹。自分たちの生き方の変化と世間の変化のリンク。助け合い、語らず、そして助け合う姉妹。男性作家が何故、このようなきめ細かい女性像を書けるのであろうか。続きを読む

    投稿日:2013.04.09

  • 9632

    9632

    一番、大切な本の次にはこれが好きと言える。
    三姉妹の凛々しくて、強かな姿。霧の中を、ただ一点だけを見詰めて歩き続ける後姿。
    秘めた決意であったり、狂おしい恋情であったりを胸の内に仕舞って、互いにそれを静かに見ている距離感が凄く好き。
    三者三様の恋愛模様もいい。真琴の恋愛には、あまり共感できなかった(好みの問題)けれど、菊乃が鶴吉と対峙するときやゆり子と結城の最後の逢引なんかは本当にドキドキした。
    鶴吉や結城の息遣い、菊乃やゆり子の胸のざわめきなんかが聞こえてきそうな文章だった。

    濃厚な物語。薄い頁が人肌みたいで、細い文字が吐息のように思える繊細な文章。
    とても綺麗。狂おしさが生きている。

    最後の100頁くらいは、止まらなかった。
    少し、泣いた。
    続きを読む

    投稿日:2012.03.18

  • hanamalon

    hanamalon

    東京の老舗人形店の美人3姉妹の恋愛話です。すごく個性的な3人の女性が時代背景の中で結構どろどろの恋愛を繰り広げますが・・・老舗お嬢の品格保ちつつ美しく描かれてます。私は好きです!

    投稿日:2011.04.03

  • euphoria

    euphoria

    大好き。

    それぞれに苦しい恋をした三姉妹。
    でもきっとあの娘たちは、世界がもっと広いということも、また別の恋をするであろうことも、
    頭のどこかでは想定済みなのだろうと思う。
    少女は夢見がちで幼く、且つ現実的でしたたかで、矛盾しているのだ。
    その矛盾が見事に描かれていて、切なくてうっとりする。
    続きを読む

    投稿日:2010.11.08

  • kaoru0316

    kaoru0316

    道尾秀介さんが、新聞の対談記事でこの本を紹介していたので借りてみました。対談相手の大沢在昌さんは、久世光彦さんを「日本一文章がうまい」と言っていました。たしかにうまい。初めの数ページに出てくる、戦前の日本橋界隈の描写を読むと、自分がそこにいるかのように風景や空気が伝わってきて、すぐに物語に引き込まれました。人形屋さんの三姉妹の恋物語なのですが、その恋が、ちょっと倒錯気味だったり、耽美な感じなのに、三姉妹の明るさ、華やかさでドロドロした部分が相殺されている。読んでいると光と影両方に心が浮き沈みして、読み終えたあとはその余韻で不思議な感覚を覚えました。続きを読む

    投稿日:2009.12.02

  • あわよくば

    あわよくば

     昭和14〜20年ごろの話。日本橋の老舗人形屋の美しい三姉妹の恋模様。長女ゆり子は右翼の男、次女真琴は抗日運動の朝鮮人、三女菊乃は言葉を話せない住み込みの美少年人形師とそれぞれ恋に落ちる。……濃い恋模様だ(笑)
     文体も丁寧だからよけい濃い! 話の筋とか作者は何が言いたいんだーとかではなく、この濃密な雰囲気を楽しむのがよいのだと思う。でももっとエロスでもよかった(笑)
     「罪」とはなんだろうか。『こころ』みたいに、「恋は罪悪ですよ」ってことかな?
    続きを読む

    投稿日:2009.03.25

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