【感想】「食べない心」と「吐く心」 摂食障害から立ち直る女性たち

小野瀬健人 / 主婦と生活社
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • ぽんだな

    ぽんだな

    拒食症の本態は幼児期にうけた心の傷という説。けっして痩せたいという願望が原因ではないため、カロリー計算による食事療法では拒食症はなおらないという。また、食欲中枢がダメージを受けているので、当人の意思でそもそも食事のコントロールは不能だという。愛情の感受と自我形成の点から拒食症の解明に臨んだ本。症例もたくさん載っていて、親子の思いの受け止め方など、かなり興味深く読めた。続きを読む

    投稿日:2013.04.21

  • leepon

    leepon

    これは正直辛い本だった。

    どこがとは、あえて言わない。
    ただ、非常に身につまされることの多い本だった。

    あそこまで必死に読み込んだことは近年マレだと思う。
    大き目のBGMにも気を散らすことなく、
    すっかり没入して、友人&夫との待ち合わせ時間までに読み切った。

    前提として、「心の傷」が摂食中枢を故障させている、というのが筆者の主張である。

    筆者の、摂食障害を治すための4か条は以下の通り。

    1.「心の傷」を癒す 傷の原点を探す
    2.親の愛の受け直し 親と離れて暮らす
    3.自我の再構築
    4.親の「謝罪」

    幼い頃の心の傷こそが、摂食障害のもとになると著者は主張している。
    心の柔らかい時期には、「そんなことで」と思うようなことで簡単に傷つくものだ。

    その時に「愛されなかった」という思いを、親代わりの人(親以外が良い)に
    愛情を受ける(=理解して応援する気持ちをもらう)ことで満たすことが必要であると。

    「心の傷を受けた子」は、その傷の痛みをかばおうとして、周囲の評価を気にする。
    自我とは、褒めてもらい自信をつけないと養われない。

    体験談が3件掲載されているが、私にとっては最初の人のものが一番参考になった。
    彼女の置かれた状況は、誰かにとてもよく似ている。

    彼女が癒されたきっかけは、信頼できる主治医との出会い。
    彼女は彼に対して親への不満をぶつけ、膨大な数の手紙を書いて送った。

    手紙を書く、というのは治癒に向かう有効な手段のひとつだという。
    書くことで自我の再構築ができるのみならず、
    自分の気持ちが誰かに対して、確実につながっていると実感できるものだと。

    その後、彼女の人生には何度かの転機があり、
    最終的には親の願いを叶えてなった薬剤師をやめて、
    自らが「人のためになる仕事」だと信じられる仕事に出会い、
    生き生きと生活されている様子だ。

    摂食障害の人は、「人のためになりたい」と考えて、高い理想を描くことが多いそうである。

    翻って私の話になるが、ある時、ある人に数日で20通以上の手紙を書いたことがある。
    自分の考え方、生き方は特殊であり、どこまでも孤独だと思っていたのが、
    同じように物事を捉え、同じように泣いてくれるような人に生まれて初めて会って、
    喜びが抑えられず、相手の困惑さえ思い浮かべられずに、
    睡眠時間さえ削って多くの事柄をしたためた。

    この本を読んで、その人は私の恩人だったんだな、と思った。
    知らないうちに、「親代わり」になってセラピーを施してくれた友人に心から感謝したい。

    そういえば、以前「依存姫」という本の感想を日記に載せたことがあるのを思い出す。
    http://booklog.jp/users/leepon/archives/4391126486
    私はこの中で、「愛情飢餓」という言葉を使った。造語である。

    愛が欠乏すると人間は病むのだ。
    女性なら摂食障害、男性ならひきこもりになってしまうことが多いという。

    早く親になりたいと願う私だが、子供を愛するということにはいくつもの陥穽がある。

    私にとっては読み進むのはしんどかったが、結果的にはとてもプラスになる本だった。
    もしも今摂食障害に苦しんでいる人や、その傾向があると思っている人がいるなら、
    ぜひこの本を読んでもらいたいと思う。
    男性で摂食障害でない方にも、心の傷に思い当たることがあれば読んでみてほしい。
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    投稿日:2012.02.18

  • tomommmiii

    tomommmiii

    親との関係に全てをなすりつけてはいないか?という疑問が残る本。
    それに当てはまらないケースもあるのでは?

    3人の女性のドキュメントが載っていて、それは気持ちがよく分かるからこそ読んでいて涙が出てきてしまうほどだった。
    私が思う3人が共通していたことは、どんな状況になっても、大学や職場という社会との繋がりを絶たなかったことだ。
    仕事や学校を辞めることも可能だが、彼女たちはそうはしなかったのだ。
    その強さに感動したし、勇気をもらった。

    無理に親との関係の修復に落ち着かせている点、未熟な母親像が見えてきて、これから母になるかもしれない女性が読むにはあまりに未来がない。

    母との関係に落としどころを置きすぎていて、まさに教科書通り。
    そうではない人もいるかもしれない可能性の示唆してほしかった。
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    投稿日:2011.10.28

  • atsumi0918

    atsumi0918

    この本を読んで私の気持ちが書いてあり理解されてるという気持ちになり泣きました。
    解決法は結局よくわかりません。
    作者の施設もどうなんだかってところがあります…。

    投稿日:2010.10.16

  • あかべこ

    あかべこ

    私も身近に摂食障害を抱えた人間がいる立場なので、様々な専門書にも触れながら当事者とかかわってきたが、摂食障害の女性の心の機微について、ここまで深く、かつ的確に記された本には初めて出会った。

    ただし、本書は大きな問題、言い換えれば危うさを持っている。

    著者はたびたび、「○○中枢が・・・」「○○の神経伝達物質が・・・」などと、自分があくまで摂食障害に対して科学的な解釈をしており、それゆえに自論には正当性があると思わせるような記述を用いている。しかし、これは逆効果である。少しでも生理学をかじった人間ならば、著者のこうした記述がすべて独自の想像によるものに過ぎないことがわかってしまう。専門家でもなく、その方面の知識もないのだから、素直にわからない部分はわからないと認めて、自分で理解している範囲で記述するべきであろう。

    また、本書には「医者に治らないといわれた人が自分の援助で治った」というような記述が散見される。これはきわめて危険な話の運び方であると認識する。

    摂食障害は神経症に分類され、確かにそこから抜け出すことは困難を極める。精神医療に限界があることも確かである。それゆえに、当事者や家族の悩み、苦しみは非常に大きい。そのような中、「医療はダメで自分の方法がよい」といった断定的な論を展開することは、それを盲信する当事者を生み出してしまうもとにもなりかねない。

    おそらく相当長い時間をかけて活動してきた結果得られた理論であろうが、せっかく良いことを発表しようというのにこのような論理展開ではまるで新興宗教の勧誘のような胡散臭さを帯びてしまう。ジャーナリストであるなら、自信はあっても、バランスの取れた論述をしてほしかった。
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    投稿日:2010.09.13

  • こむぎ子 ◆mugibbpgM2

    こむぎ子 ◆mugibbpgM2

    読みながら、そして読んだ後に思ったのは、
    「こんなに私たちのことをわかってくれる人がいるんだ」
    ということでした。

    「そんなにダイエットしてどうするの?」
    「痩せればキレイになるってものじゃないよ」
    「食欲ぐらいコントロールできないの?」
    摂食障害の人がよく言われる言葉です。
    でも本当は彼ら/彼女らは「食べない」んじゃなくて「食べられない」んです。
    「意志が弱くて食べたり吐いたりする」んじゃなくて、
    「そうするのをやめられない」んです。
    そしてその心理も、たとえダイエットから始まった拒食だとしても、
    “拒食症”になった時点で単なる痩身願望ではなくなっていて…

    ずっとうまく言えなくてもどかしかった言葉が、
    この本にまとめて書いてありました。
    “心の傷”という観点から摂食障害を説明し、また癒し方を解説した本です。

    摂食障害で悩んでいる人、その周囲の人、関心がある人だけでなく、
    いろんな“傷”を持つ人たちに読んで欲しい本です。
    続きを読む

    投稿日:2005.08.07

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