夏目家のそれから
半藤末利子(著)
/PHP研究所
作品情報
漱石亡きあと、残された夏目家の人々はどう生きたのか――。日本近代文学の巨人・夏目漱石の孫にして、作家・半藤一利の妻でもある著者が綴る、個性豊かな親族たちとのエピソード。当時を生きた著者だけが知る、夏目家に関するエッセイを集めた、滋味あふれる一冊。「漱石の顔が千円札に登場した時、『お祖父さんがお札になるってどんなお気持?』とよく訊かれた。母筆子は、『へーえ、お祖父ちゃまがお札にねぇ。お金に縁のあった人とは思えないけど』という感想を述べたが、私にはこれといった感慨は湧かなかった。漱石にお祖父さんという特別な親しみを抱いたことがなかったからかもしれない。それは一つには四十九歳で没したため、私が漱石に抱かれたりした記憶を持たないせいであろう。しかし一番の理由は母が折に触れて語ってくれた漱石の思い出が、余りにも惨憺たるものだったからであると思う」――本書「母のこと・祖母のこと」より。
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商品情報
- シリーズ
- 夏目家のそれから
- 著者
- 半藤末利子
- 出版社
- PHP研究所
- 書籍発売日
- 2024.01.29
- Reader Store発売日
- 2024.01.31
- ファイルサイズ
- 5.5MB
- ページ数
- 264ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (4件のレビュー)
-
2021年に亡くなった夫の半藤一利氏が、亡くなる2年くらい前に、「あなた(末利子)の今まで書いてきたエッセイの中から、夏目家のことを書いた作品だけを選んで1冊にまとめてみたら面白いのではないか」と勧め…てくれたことがきっかけで出来上がった1冊。
半藤一利氏の想いと、その言葉を遺言と思って大切にあたため、ついに叶えた末利子さん自身の想いが詰まっている。
末利子さんは、夏目漱石の孫に当たるが、漱石は大正5年に亡くなっており、末利子さんは昭和10年の生まれだから、直接には漱石を知らない。
夏目家のエピソードの多くは、漱石の長女である、母・筆子さんから聞かされた話や、親戚の人たちとのお付き合いの中で積極的に「ネタ集め」に努めて書かれた物である。
そして、漱石の晩年の弟子であり、筆子の夫となって、大黒柱を失った夏目家の長男代わりを務めた、父の松岡譲(まつおか ゆずる)氏をとても尊敬している事もうかがわれ、「それから」の部分に当然のことながら、松岡家が占める割合も多い。
以前、末利子氏の『漱石の長襦袢』を読んだことがあり、その中にも、漱石の死後に、古参の弟子達と漱石の遺族の間に確執があったことが書かれていた。
なにしろ「弟子たち」は文筆家であったから、漱石夫人の鏡子のことをひどい悪妻であると書いてはあちこちに発表し、それが世間の定説のようになってしまったり、筆子は自分と結婚する物だと思い込んでいた久米正雄が、松岡譲を略奪者のように悪者に仕立て上げた小説を発表したおかげで、娘の末利子まで、世間から色眼鏡で見られたりした事もあったようだ。
そういった、一方的なやられっぱなしがひじょうに悔しく、鏡子も筆子も反論という事をしなかったから、自分が世間からの不当な評価を覆さなくてはという強い思いがあったと思う。
そういった理由で、鏡子夫人がいかに漱石にとって頼もしい妻であったか、父・松岡譲がいかに素晴らしい人物であったかという記述が繰り返し出てくる。
熊本市にある「夏目漱石記念館」を訪問したときにちょうど高校生の団体が入って来て、館長さんが「この方は夏目漱石のお孫さんです」と紹介したものだから、末利子氏はすっかり高校生たちの見せ物になってしまったというエピソードがユーモラスだった。
やはり、父母両方から文学者の血を引いているせいだろうか、とても読みやすかった。続きを読む投稿日:2024.05.13
「彼を慕って集まる弟子達に分け隔てなく接し、質問すれば、真剣に答えてくれたし、小説も懇切丁寧に読んで、的確で細かい批評をしてくれた。弟子達一人一人に「私の漱石」「私だけの先生」という気持ちを抱かせる人…であった」と書いてあって、漱石さんアイドルの鑑すぎる(アイドルちがうけど)
古参のお弟子さんへのディスりがひどくて、笑ってしまった続きを読む投稿日:2024.05.25
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