愛する源氏物語
俵万智(著)
/文春文庫
作品情報
源氏物語には795首の和歌が登場する。
ここぞ、というときの和歌は、恋のゆくえを大きく左右する。
心の結晶である和歌を、小石のように飛び越えてしまうのではなく、
氷砂糖をなめるように味わったならば、
源氏物語の世界はさらに豊かな表情を見せてくれるだろう。
千年の時を越え、「万智訳」でよみがえる愛の物語。
解説=東直子
※この電子書籍は2003年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 愛する源氏物語
- 著者
- 俵万智
- 出版社
- 文藝春秋
- 掲載誌・レーベル
- 文春文庫
- 書籍発売日
- 2007.04.10
- Reader Store発売日
- 2023.11.17
- ファイルサイズ
- 1.5MB
- ページ数
- 336ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.2 (26件のレビュー)
-
『源氏物語』に登場する「和歌」に焦点をあて、歌人である俵万智さんが読み解きを行った本。これすごく良い本でした。ひとつひとつの和歌に込められた意味を丁寧に解説しつつ、お話の流れも一緒に追いかけてくれるの…で、『源氏物語』と併読、あるいは全て読んだ後に読むと、物語の解像度が一気に上がります。本書を読んでいると和歌こそが『源氏物語』の要なのだと、そんな気持ちになってくる。いや、というか実際その通りなのだろう。『源氏物語』は登場人物の心情を推し量るしかない場面があるけれど、和歌には雄弁に光君や姫君たちの心情が表れていた。そしてそのことを知ると、登場人物たちの印象そのものが大きく変わり、より人物像に厚みを感じるようになる。六条御息所とか夕顔とか末摘花とか、この本を読んだおかげでより好きになれたくらい。それくらい俵万智さんは登場する人物に、寄り添いながら和歌を解説してくれる。
冒頭に示された桐壺の和歌に対する帝の返歌が「ない」ことによって、帝の心がどれだけ乱れているかがわかる、という解説はそういう見方ができるのかと驚いたし、末摘花の和歌解説は笑えるやらいじらしいやらで、そんな様々な読み解き方が出るだなんてと舌をまく。「からころも」や「かくぞ」だけでそんな色んな解釈が出来るとは思わなかったなあ。俵万智さんすごい。てか紫式部がすごいのか。六条御息所についても作中では「生霊の人」というくらいにしか捉えてなかったのだけど、それが恥ずかしくなるくらい彼女の想いを掘り下げている。【朝顔】における、光君と朝顔の和歌のやり取りについては、他者の意見を参考にしつつ、独自の、そして納得感のある結論に至っていて、ふむふむ言いながら興味深く読んだ。
また、どんな「紙」を使って和歌を詠んだかも重要であったらしく、例えば白い事務用の紙に書いた場合は生真面目な印象を与えたり、あるいは厚ぼったい実用的な紙を用いることで野暮ったさを演出したりと、用途によって紙の種類を変えることで趣を出す効果があったとのこと。平安時代の文化や、貴族社会におけるマナーとか気遣いがわかるとさらに別確度から人物の心情が見えてくるわけで、なるほどこりゃあ沼だなあと思うことしきり。えっ、つうか柏木は女三の宮に近づくために、側近の女房と先に関係を築いてたの!? ぜんぜんわかんなかった。しかも女三の宮はそのことを承知してるようだし。いまの感覚からする女三の宮も女房もそれでいいの?という気がするけど……。
あと、『源氏物語』って男女が契りを交わす直接的なシーンを描かず、事前と事後を示すにとどめるパターンが多いから、「えっ、いつの間に!?」となることが割とよくあるなあと思っていたのだけど、「添い寝の効果」の章で、そのことをちゃんと言及してくれてて嬉しかった。よかったあ、私だけじゃなかったのね。
「和歌は心」。そのことを決して堅苦しくなく、楽し気に教えてくれる、とても頼りになる本でした。『源氏物語』の副読本としておすすめです。続きを読む投稿日:2024.03.09
このレビューはネタバレを含みます
世の中に源氏物語に関する本は数多く出ているが、作中の和歌まで七五調そのままに現代語に訳して紹介されているのは本書ならでは。
レビューの続きを読む
歌人であり国語教師の経歴を持つ著者のポテンシャルが十二分に活かされており現…代語のままに和歌の心地良いリズムを味わうことができる。
さすが歌人という心の機微を扱う人、人の気持ち、特に同性である女心を推し量るのが上手い。
登場する姫君たちが著者の解釈にそうそう、そうなのよ!と頷いているようだ。
「ああからころも」には笑ってしまったがネタ要員(?)の末摘花や近江の君にも笑う事なく寄り添う著者のやさしさが感じられる。
反面、著者の目も男性陣には厳しい。
源氏物語、魅力的な女性が多いのに男性陣ときたら・・・娘同然の玉鬘への源氏の求愛にはドン引き。そもそも紫の上に対しても現代ならグルーミングに近いよなぁ。
夕霧の落葉の宮への迫り方、薫→浮舟にもげんなり。
みな口説く相手を傷付けて泣かせてどうするの。
『幻』から『雲隠』がとても切ない。
平安時代当時の読者も涙ながらに読んだ帖なのかもしれない。
そして雲隠がまるまる空白となっているのもよい。紫式部の意図した事かは不明とのことだが、作者の演出説を支持したい。
源氏物語は登場人物の呼称が綺麗だなぁと思う。
花散里、朧月夜、末摘花、軒端荻、雲居雁、浮舟、落葉の宮…。
紫式部が作中で付けた呼称もあるが(空蝉など)、殆どは後世の人がつけたものらしい。
流石にあの大作を古語で読む気力はないが現代語訳はいつか読んでみたい。続きを読む投稿日:2024.04.01
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。