月と日の后(上)
冲方丁(著)
/PHP文芸文庫
作品情報
紫式部が支えた国母の一代記! 七代の天皇を見守り、“望月の栄華”を成し遂げた藤原彰子の波瀾の生涯 わずか十二歳で入内した、藤原道長の娘・彰子。父に言われるがままに宮中に入った彼女を、夫である一条天皇は優しく受け入れるが、彼が真に愛した女性・定子の存在は、つねに彰子に付きまとう。しかし、一人の幼子を抱きしめた日から、彰子の人生は動き始める。父や夫に照らされる“月”でしかなかった彰子が、やがて「国母」として自ら光を放ち出すまで――平安王朝をドラマチックに描く著者渾身の傑作長編。
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商品情報
- シリーズ
- 月と日の后(上)
- 著者
- 冲方丁
- 出版社
- PHP研究所
- 掲載誌・レーベル
- PHP文芸文庫
- 書籍発売日
- 2023.11.07
- Reader Store発売日
- 2023.11.08
- ファイルサイズ
- 0.7MB
- ページ数
- 296ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.9 (10件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
平安時代。不遇の生涯を送った中宮の定子。彼女に対して12歳(現代では10歳から11歳ごろ)で入内した道長の娘・彰子。
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一日も早く子供を望まれながら、21歳まで身籠ることができなかった彼女が願ったのは、優しい夫である一条帝を守ること。
そして、彼から託された定子の息子・敦康親王を育て上げること。
しかし漢籍が分からない彼女は敦康が何を学び、一条帝の政が分からない。そんな時に一人の女房が彼女に仕えることになる、のちの紫式部である。
これは幼い少女が国母なるまでの物語。
まず私の中の彰子というのが、一条帝と定子は幼いから共にいたために愛情も深く、彼女はそのコピーとして道長に作られた人物。
ですが、彰子に対しての史実に詳しくないのでわからないので何とも言えないのですが、この作品の中の彰子はそんな私のイメージを見事に壊してくれました(;^_^A
父よりも一条帝や敦康親王ために尽くす彰子。
わが子でなくても夫が愛した定子が生んだ敦康親王に対する母性愛は継母でありながらも本物であり、そのために彼女は漢籍(漢文)を教えてくれるかつての清少納言のような人物を探すのです。
すでに定子が亡くなっている以上、清少納言は宮中から下がっています。そして、道長がつけてくれた女房は子供ができない彰子を軽んじるばかりか、帝である一条帝に対しても軽んじるような呼び名をつける。
怒りを抑えながら、必死に一条帝の家族になろうとする彰子の姿が胸を打ちます。
そして、彰子は様々な女性の書いたものを読み、特に『源氏物語』を読んで、そこに出てくる女性たちの姿に自分の影を見つけて心打たれていた。その作者が自分の母である倫子の遠縁であったこと、その父である藤原為時は一条帝に漢詩を献上したために、従五位下の位を受けていることなどから、道長がその才長けた女性・紫式部を彰子の元へ……。
だが、出仕して一日で紫式部は家に引きこもってしまう
清少納言と紫式部ってお互いにハブとマングースというくらいに嫌いあってますが、二人とも出仕してすぐに家に引きこもってるんですよねぇ(笑) ある意味では似たもの同士。
引きこもっていた清少納言と紫式部を宮中に戻す方法は定子と彰子では違いますが、この辺りはものすっごく面白かったです。
すでに下巻も読み始めているので、続きも楽しんでおります♪
肝っ玉母さん気質の彰子に臆病だけど唯一無二の忠臣として彼女に使え始めた紫式部。
二人の活躍は楽しいです。投稿日:2023.11.14
藤原道長の長女彰子を主人公に,平安宮中の政争と成熟されゆく文化が淡く丁寧に描かれる.女性が描いたといわれても疑いを持たない筆致で,政争の具としてしか見られない(現代では年端もゆかない12歳前後の)彰子…が常に自らを客観視することで自我を目覚めさせ,それを成長させようとする為人を,和歌を交えながら描いていく様は,源氏物語を彷彿とさせる.丁度上巻のクライマックスは,男尊女卑が当たり前の平安宮中で自我を抑制し続けていた紫式部が,彰子と互助関係になり互いに華開いていくところなので,心に迫るものがある.続きを読む
投稿日:2024.05.22
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