時空旅行者の砂時計
方丈貴恵(著)
/創元推理文庫
作品情報
マイスター・ホラを名乗る者の声に導かれ、2018年から1960年にタイムトラベルした加茂。瀕死の妻を救うためには、彼女の祖先である竜泉家の人々が殺害され、さらにその後土砂崩れにより一族のほとんどが亡くなった『死野の惨劇』の真相を解明し、阻止しなくてはならないのだという。惨劇が幕を開けた竜泉家の別荘で加茂に立ちはだかるのは、飾られていた絵画『キマイラ』に見立てたかのような不可能殺人の数々だった。果たして彼は、竜泉家の一族を呪いから解き放つことができるのか。今最も注目される本格ミステリの書き手が放つ、鮮烈なデビュー作! 第29回鮎川哲也賞受賞作。/解説=辻真先
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商品情報
- シリーズ
- 〈竜泉家の一族〉シリーズ
- 著者
- 方丈貴恵
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 創元推理文庫
- 書籍発売日
- 2023.09.29
- Reader Store発売日
- 2023.09.28
- ファイルサイズ
- 2.9MB
- ページ数
- 380ページ
- シリーズ情報
- 既刊3巻
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この作品のレビュー
平均 3.9 (18件のレビュー)
-
「竜泉家の呪い」
竜泉太賀を筆頭とした竜泉家では多くの子孫が不可解な死によって、この世を去っている。その始まりは「死野の惨劇」から連なっており…。
本作『時空旅行者の砂時計』の概要と感想になります。…
本作はSFとミステリを掛け合わせた本格SFミステリという部類の作品ですが、鍵となるのが小さな砂時計。主人公の加茂は竜泉家の末裔にあたる妻の伶奈の容態が回復せずに悩む中、突如掛かってきた不審な電話に導かれて58年前の竜泉家の別荘へ時空移動する。そこで起きる「死野の惨劇」を食い止め、「竜泉家の呪い」を解くことが伶奈の未来を救えると加茂は意気込むのだが…。
乾くるみさんの『リピート』に少し似たSF要素でしたがイヤミスではなく、次回作の余韻ありで楽しめました。単行本で既刊の続編も来年1月と5月に文庫化とのことで、また竜泉家の謎を楽しもうと思います♪続きを読む投稿日:2023.10.10
このレビューはネタバレを含みます
本格ミステリーは、劇中で説明されている描写と制約条件を前提として、著者と読者が向かい合って謎を解くのが一般的な楽しみ方だ。ミステリーというカテゴリー全体では著者が読者を「それまでには明かされていない方…法であっと驚かす」ということが許されているが、”本格”ではそれは許されないとする読者が多い。いわゆる「フェアか、フェアではないか」という議論だ。
レビューの続きを読む
言い換えれば、作中でしっかりネタと制約が明示されていれば、SF的な設定であろうと、魔法であろうと利用は可能となる。本作ではタイトルに明記されているように時空旅行(タイムスリップ)が事件に利用されているが、その使い方が作中で説明されているルールの通りになっていればOKなのだ(そして実際にフェアに利用がされている)。
タイムスリップが出来てしまえば密室トリックは意味がなくなるし、たとえば「過去から未来に移動して誰かを殺し、その後に過去に戻ってしまう」みたいな移動をすれば永遠に犯人はわからないままだ。もちろん”本格”を志向する本作ではそのようなアンフェアなことは行わないが。
言い換えれば不可能犯罪と思われるような事件も簡単に起こせてしまうわけで、作家としてはルールを厳密に設定して野放図な使い方を防いだ上で、タイムスリップを論理的に組み合わせた事件を作るというところが腕の見せどころだ。
こう書くと、本作はかなり面白そうな作品に聞こえてくると思う。実際に、最後まで読んでみればわかるとおりタイムスリップという通常であればミステリーのルール違反になってしまうような発想を組み合わせた本格ミステリーをきっちり作り上げるパズラーとしての著者の能力は見事だと思う。フェアであるが故にちゃんと犯人を論理的に特定することが出来るし、実際に自分はトリックにはややズレがあったが、無事に犯人を当てることが出来た。
しかしそういったパズラーとしての評価を離れると、本作は小説としてはあまり面白くない。自分はaudibleで聞いていたのだが、文の構成はかなり拙いし、描写も具体的に絵が浮かんでくるような場面がほとんどない。「〜った」が繰り返される文は淡々とその状況を説明しているだけであり、文章を用いて”表現”をしようとする工夫の跡があまり見られない。いくら本格ものとはいえ、もう少し編集者が手を入れた方が良かったのではないかと思うほどだ。
また細かいところで言えば、ミヒャエル・エンデの『モモ』からとったという、マイスターホラやカシオペイアといった名前もいただけない。設定では彼らが作られたのは今から300年以上未来という話であり、さすがにエンデが偉大な作家といえどもその名前が広く知られているとはちょっと想像ができない。しかも、そのカシオペイアが闇落ちしたキャラクターの名前は”ダークカシオペイア”・・・ティーン向けのゲームのキャラクターの名前じゃないんだから。
著者にとってはその辺りはどうでもいいことだったのかもしれないが、さすがにちょっと拙さが出過ぎている。
そういうわけで、本作は「本格ミステリーが好きで好きで、パズルを解くことに生きがいを感じる」人以外にはちょっとお勧めしづらい。残念ながら自分はそういったタイプではないので、このシリーズをこれ以上読み進めることはないと思う。続きを読む投稿日:2024.04.11
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