巨人たちの星
ジェイムズ・P・ホーガン(著)
,池央耿(訳)
/創元SF文庫
作品情報
冥王星の彼方から、〈巨人たちの星〉にいるガニメアンの通信が再び届きはじめた。彼らは地球を知っているガニメアンとは接触していないにもかかわらず、地球人の言葉のみならず、データ伝送コードを知りつくしている。ということは、この地球という惑星そのものが、どこかから監視されているに違いない……それも、もうかなり以前から……! 5万年前に月面で死んだ人々の謎、惑星ミネルヴァを離れたガニメアンたちの謎など、絡まった謎の糸玉がみごとに解きほぐされる。星雲賞を受賞した不朽の名作『星を継ぐもの』に続く、シリーズ第3弾!/解説=山之口洋/*本電子書籍は『巨人たちの星』(創元SF文庫 新装新版 2023年9月8日初版発行)を底本としています。
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商品情報
- シリーズ
- 巨人たちの星シリーズ
- 著者
- ジェイムズ・P・ホーガン, 池央耿
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 創元SF文庫
- 書籍発売日
- 2023.09.08
- Reader Store発売日
- 2023.09.11
- ファイルサイズ
- 1.6MB
- ページ数
- 494ページ
- シリーズ情報
- 既刊5巻
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この作品のレビュー
平均 4.3 (13件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
シリーズ第一作「星を継ぐもの」の冒頭に登場したコリエル(巨人)はガニメアンだったのか、ここまで読んでも解決しなかった。
レビューの続きを読む投稿日:2023.10.26
このレビューはネタバレを含みます
ホーガンの「星を継ぐもの」シリーズ三作目!シリーズを調べ始めた時は、どういう順番なのか全く分からなかったが、読み終えた今、ようやくわかってきた。でも数ヶ月後には忘れそう。
レビューの続きを読む
前作「ガニメデの優しい巨人…」での展開もたまげたが、そこから更に更にパワーアップしていく展開。
今度は、前作で「おそらくあそこがガニメアンたちがはるか昔に移住した星だろう」と思っていた星とあっさり連絡がつき、あっさりお互いが出会い、前回終わらない旅に出たはずのシャピアロン号もあっさり合流して、地球人と古代ガニメアンが案外すぐに再会できた。
そしてシリーズ最初の「星を継ぐもの」からずっと謎だった、チャーリーではない巨人の方の行方もようやく判明した。コリエルという名前で、しっかり救出されていた!
ってか、ルナリアンとガニメアンが共存してたってのはどういう理屈だったっけ… もうよく分からん。内容も翻訳も合わせて、だいぶ分かりやすい方だとは思うのでこれは完全に自分の理解力とやる気と記憶力の問題。
今回は更に、地球人と同じ進化をした、というか実は二種類いたルナリアンの末裔であるジェヴレン人というのも出てきて、最初から不穏な動きをしていたのは実はこいつらだったことが判明。
巨人たちの星、ジャイアントスター略してジャイスター(ダサい)に住むチューリアンたちとやりとりする国連が、如何にもこうにも態度が煮え切らず、ハントたちが裏で動くことになる。全体的に怪しいスウェーデン人がいるが、こいつが実は普通にジェヴレン人なのではないだろうか。と思ったらやっぱりそうだった!むしろジェヴレン人、大量に移住してきて暗躍しまくっていたらしい。さすが人類、ろくなことしないな。ハントたちもニヤニヤしながらジェヴレン人を罠に嵌めてる場合じゃないぞ。チューリアンに危険視されるぞ。
ルナリアンは戦争大好きだったわけではなく、あくまでも合理主義の塊で、科学技術の発展をしまくっていた。が、ミネルヴァ崩壊の200年前に突然、更に冷酷なタイプが出現し、それが争い合ってミネルヴァ崩壊になった、と。
で、ガニメアンが救出に行き、温厚なルナリアン、セリアンは地球に行き、冷酷な方、ランビアンはガニメアンが連れて行って「調教」した、と。調教がうまくいったかと思ったがそうではなかったみたいで、地球の監視で嘘をつきまくっていた。
しかしダンチェッカーがもう生物学云々関係なくただの名探偵になっている。色んな場面でチューリアンや地球の科学者とかをほっといて真相に辿り着きまくる。ハントとダンチェッカーさえいればなんとでもなりそう。
今回で突然メインテーマとなった、人類の権謀術数的やり取りが、面白いのだがノイズに感じてしまう。宇宙人とのSF的やり取りをたくさん見たいのに、人類の愚かさをひたすら見せられてしまうので。面白くはあるのだが…
しかしよく分からないが、ハントの彼女でコールドウェルの秘書であるリンが調査団のメインキャラになってるのはどういうわけだろう?秘書って別に重要キャラじゃないように思えるが…
前作で脈絡もなくナンパし始めた相手がそうだと思って見直したらイヴォンヌだった。全然違ったわ。三作目でいきなり前から付き合ってましたみたいな雰囲気を出していただけか。スウェーデン人をはめる時に色仕掛け要員として活躍するが、それくらいだったなぁ。
ジェヴレン人たちが裏で地球人を支配、というか技術を縛ってきたことを踏まえ、支配階級が技術の発展を望まない、そのためにあえて技術に反対してきたこと、そして合理的な人類が宗教や迷信にやたらと弱いのは不思議だというのを絡めるのはとても上手い。そして人類クソだわー。しかもそれを単に人類の話だけではなく、ジェヴレン人のはるか昔からの作戦ということにしてしまった。昔の宗教的有名人は全部ジェヴレン人たちの作戦だった、と。でも炎上しそうだから誰がどうだったとかいう明言は避けるホーガン。
前回大人気だったゾラックのさらに進化系であるヴィザーが「麻痺させる?八つ裂きにしてやりますよ」と言うのが良すぎる。地球人の獰猛な性質を学んでしまった。
科学技術も、進化が遅いガニメアンでもさすがに25000年経つと圧倒的進化していて、脳に直接データを書き込んで疑似体験させるのもお手のものだし、怖いレベル。幾ら動作を縛っているというとはいえ、入れるデータを変えればいくらでも嘘を見せられてしまう。絶対に地球人に与えてはいけない。
今思ったけど、このシリーズ、誰一人死者が出ないのがすごいな。特に地球側で暗殺とかされまくりそうだが。今作でとうとうロシアの人が暗殺されるかと思いきや、すぐ助かったし。珍しく軍事作戦も行われるが、多少殴ったりしたくらいで死者なしで済んだ。ジェヴレン人が裏でたくさん消してきたという示唆がされるぐらい。
ジェヴレン人が開き直って宇宙戦艦を配備して降伏を迫るところで、地球から嘘情報を伝えて混乱させる作戦。
このシナリオがやけにリアルで怖くなるが、同時に慌てふためくジェヴレン人が予想できてニヤリとする。が、また同時にこの地球人の乱暴さを示すシナリオが易々と作られ、奴らの信じさせるためのリアルさも重視されてるだろうから、「これがチューリアンに向けられる未来もありうるのでは」、と感じるチューリアンも普通にいそう。未来は大丈夫か?
結局悪のジェヴレン人たちはブラックホールに吸い込まれ、消えてしまった。
と思ったら、なんと!遥か昔のミネルヴァの近くに時空的空間的に飛ばされ、これがなんとこれまで解明されてこなかった、ミネルヴァ崩壊の200年前に突然気性の荒いランビアンが生まれたという謎や、地球から送られた信号がチューリアンにすぐ届いた理由など様々な理由の解決になるという、見事な伏線回収。すごい。
ただ、作中でも描かれているが、これだと完全に謎の輪が作られてしまった。ランビアンが生まれたオリジンが消滅しているというタイムパラドックス。これはこれでおもろい。
そして最後の行で「星を継ぐ者は」と締めて終わり。そこは「星を継ぐものは」にしてほしかったなぁ。
これで「星を継ぐもの」三部作を読み終わってしまった。
やっぱり全作通して、一人も死者が出ない!何万人単位で死にそうな設定なのにすごい。平和すぎる。もはやガニメデの優しいホーガン。
残りの星を継ぐものっぽいのは外伝的扱いらしい。「未踏の蒼穹」よりも「内なる宇宙」の方が先なのか?でも未踏を借りてしまっているのでこっちから読むよ。続きを読む投稿日:2024.04.07
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