透明な夜の香り
千早茜(著)
/集英社文庫
作品情報
元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。人並み外れた嗅覚を持ち、鼻で、相手の行動パターンや健康状態を一瞬にして嗅ぎ分ける朔は、どんな香りでも作り出すことができ、それゆえ風変わりな依頼が次々と届けられる。だが、一香は朔の近くにいるうちに、彼が天才的嗅覚を持つがゆえに深い孤独を抱えていることに気づきはじめる・・・・・・。直木賞作家が紡ぎだす「香り」にまつわるドラマティックな長編小説。第6回渡辺淳一文学賞受賞作。
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商品情報
- シリーズ
- 透明な夜の香り
- 著者
- 千早茜
- 出版社
- 集英社
- 掲載誌・レーベル
- 集英社文庫
- 書籍発売日
- 2022.04.20
- Reader Store発売日
- 2023.06.01
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- ページ数
- 288ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (200件のレビュー)
-
仕事が忙しくて本を読む時間も取れず、読み終えても感想を書く暇もなく、興味深い本だったのにその面白さが薄れていく…。
森の奥の古い洋館に住み客の望むどんな香りでも作り出す調香師の朔と、そこで家事手伝い…のアルバイトを始めることになった一香。
とても不思議な雰囲気の物語で、人並み外れた嗅覚で相手の行動パターンや健康状態や心の内を一瞬にして嗅ぎ分け、怜悧で直截的な言葉を放つ朔に、最初のほうはかなり引く。
が、読み進めれば、朔のもとに香りを求めてくる客が秘める謎と彼らに対する朔の対応が一話ごとに語られるとともに、全体を通じては朔と一香の過去が少しずつ明らかになっていく展開に、どんどん惹き込まれた。
館での話は静謐な狂気を孕み、描かれる風変りな依頼やそれに応える香りが導く結末の闇は深く、中でも5話目、失踪した女性を捜した先に行き着いた美容師とそれに対峙した朔との、ともに異常な世界に身を置く者の間の会話にはゾクゾクする。
そうした世界に身を置かざるを得なくなった朔と一香の孤独な秘密が明かされていく終盤は、“愛着”と“執着”の間で揺れる朔と、それに接して自らの心の闇を解き放っていく一香の、それぞれの心情に切なさが溢れる。こちらの“友人”のほうが、先に読んだ同じ作者さんの「男ともだち」の男女よりも、恋愛感情を超えた関係としてよほどしっくりときた。
先天性の病気の息子に悩む刑事の姿を描いた6話目には、ダメな父親として身をつまされた。続きを読む投稿日:2023.12.03
タイトルと、表紙をみたときに、大好きな小川洋子さんのような世界観かなと思って読み始めたけど、ちょっと、かなり違った。
でも、解説がなんと、その小川洋子さんだった。解説を読むと、腑に落ちた部分もあったし…、奇妙な登場人物たちが少し好きになれた。
心に辛い過去を抱えた人に対する寄り添い方がいろいろあるんだなと思った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
終始一香は、気づける人、として居続ける。うわべだけの理解や共感で、自己満足に浸ったりしない。気づく、その静かな心の動きを、相手に伝えようともしないまま、自分の中に抱き留めている。
幼馴染の新城は、朔の生い立ちをただ黙って受け止めている。せっかちで口の悪い男だが、朔のために自分がやれることは何か、いつも冷静に考え、正しく実行している。 彼の働きがなければ、朔の特殊な仕事は成り立たないだろう。
もう一人、忘れてはならないのが源さんだ。植物に対する朔の感性に尊敬の念を抱き、 働き者で、塩むすびが好物の源さん。彼が庭にいてくれるからこそ、洋館は安全だった。 直接手出しはせず、少し離れたところから、しかし細やかな神経で人々を見守る、陽光のような人だ。
その後、彼らはどうなったのか。本を閉じたあとも、香りが消えずにいつまでも残っ ている。彼らは出会うべくして出会い、互いに必要なものを差し出し合い、永遠の記憶をしっかり握りしめたあと、新たな場所にたどり着いた。そこにはきっと、月のない夜でさえ、どこからともなく射してくる光があるだろう。朔も一香も、同じその光の香りをかいでいる。
(おがわ・ようこ 作家)続きを読む投稿日:2024.05.28
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