戦国十二刻 始まりのとき
木下昌輝(著)
/光文社文庫
作品情報
守護である土岐頼芸を討たんとする蝮の異名をもつ斎藤道三。そのもとに土岐一族の重鎮の首を持参したという十兵衛なる侍が現れるのだが・・・・・・。秘められた因縁に驚愕必至の「因果の籤」ほか、毛利元就、竹中半兵衛ら名だたる軍師たちの運命を決定づけた二十四時間。応仁の乱から関ヶ原の合戦へ――戦乱の時代を貫く因果を、大胆な歴史解釈と緻密な構成で活写する全八編!
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商品情報
- シリーズ
- 戦国十二刻
- 著者
- 木下昌輝
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社文庫
- 書籍発売日
- 2022.12.20
- Reader Store発売日
- 2022.12.13
- ファイルサイズ
- 0.3MB
- シリーズ情報
- 既刊3巻
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この作品のレビュー
平均 4.3 (3件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
応仁の乱から大阪夏の陣までのはじまりの時を描いた十二刻。
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一休宗純、斎藤道三、毛利元就等々。
知らないことがまだまだたくさんありますね。戦国時代はやっぱり面白いですね。
この沼は深い!投稿日:2022.12.26
このレビューはネタバレを含みます
十二刻3部作の2作目。応仁の乱を描いた1話目『乱世の庭』から戦国時代を締めくくる大坂夏の陣最後の日が舞台の『国士無双』まで扱われている時代は幅広い(そして、時系列に並べられた)短編集で「六本指のましら…」と呼ばれる怪人物(時代伝記好きなら六本指でその正体にピンとくるけど)を軸に各話の様々な事象や人物、特定のワード、例えば庭、例えば山崎、が結びついていく様が面白い。1話目とその捕捉というか種明かし的な『はじまりの刻』であらかたの登場人物(の先祖)が紹介され、伏線が張り巡らされる。
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2話目『因果の籤』は斎藤道三の土岐氏への下剋上が描かれるが、その過程で登場する土岐氏支流のある有名な人物(名前ですぐわかっちゃうけど)の描かれ方や境遇、白昼夢でタイムトリップする道三の見た風景、行動原理になっている山崎の籤などが綺麗に収束していく。
3話目『厳島残夢』は、毛利元就が陶晴賢を倒した厳島の戦いで割と珍しい題材。残夢とは厳島で討たれてしまった陶晴賢の心残りの事かと思いきや……
それを書いたのは「誰」なのかなんとなく予想はついたものの、タイトル回収含め綺麗なオチ。陶晴賢が勝っていればいったいどういう未来を歩んでいたのか、あまり描かれることの多くない武将だけに気になる。
4話目『小便の城』は本作中ではちょっと異色な一編。竹中半兵衛の稲葉山城乗っ取りを変な視点から描いたというか悪ノリしたというかとにかく問題作wwwこれはもう完全にすれ違いコントwww
5話目、関ヶ原の戦い最後の一大イベントである島津の的中突破を描く『維新の退き口』はちょっとした言葉遊びでもあり、2話目で幻影として軽く見せたタイムトリップ要素をさらに拡張したSFチックな不思議な作品。読んでいて小さな違和感が徐々に大きくなってくる。薩摩っぽは「チェストォォオ!!!」って関ヶ原の頃から言うてたんやっけ?うーんわからん!とか。例の変時になぜか一人だけ混ざっていた薩摩藩士を恰好の題材と見た作者「よっしゃ、こいつタイムトリップさしたろ」みたいなノリでできたんかな?それにしても二つの時代のありとあらゆる因縁を全部繋げていく作者の剛腕ぶり。そして、この話で一番不気味なのは、島津維新入道が読者以外で唯一タイムトリッパーになぜか気付いているところ。なんでや……どういうことやねん……島津マジヤバい……
そして、ラストの『国士無双』。これも主役として珍しい人物、長宗我部盛親の心理変化と大坂城からの逃避劇という一つ間違えばキワモノになりそうな話だけど、ここにもまた六本指の一族が絡んできて、結末を飾るに相応しいものに。前作の『戦国十二刻終わりのとき』で一番好きだった傑作『お拾い様』の別視点作品とも言える……と考えたところで、3部作最終作が『戦国十二刻女人阿修羅』なのを思い出し(内容はまだ全く知らないが)、あ……これは次も大坂夏の陣あるな。次は淀殿視点で描かれてるんやろな、照丸の後日譚もあるいは……などと楽しみになってきた。
最後にもう一度同じタイトル『はじまりの刻』ながら、今度は戦国のはじまりではなく、太平のはじまりで締める対比が実にオサレ。そうか、毎日のように通っている心斎橋にそんな由来があったのか。続きを読む投稿日:2023.01.16
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