エゴイスト
高山真(著)
/小学館文庫
作品情報
「愛した彼は体を売って、生きていた」。
2023年初春、本作品の映画化が決定。出演は鈴木亮平、宮沢氷魚。文庫版には鈴木亮平の特別寄稿を収録。
「母が死んで、『死にたい』と思っていた僕の何かは死んだ」。14歳で母を亡くした浩輔は、同性愛者である本当の自分の姿を押し殺しながら過ごした思春期を経て、しがらみのない東京で開放感に満ちた日々を送っていた。30代半ばにさしかかったある日、癌に冒された母と寄り添って暮らすパーソナルトレーナー、龍太と出会う。彼らとの満たされた日々に、失われた実母への想いを重ねる浩輔。しかし、そこには残酷な運命が待っていた・・・。
龍太と母を救いたいという浩輔の思いは、彼らを傷つけ、追いつめていたのか? 僕たちは、出会わなければよかったのか? 愛とは、自らを救うためのエゴだったのか? 浩輔の心を後悔の津波が襲う。人は誰のために愛するのか。賛否両論渦巻く、愛のカタチ。
※この作品は単行本版『エゴイスト』として配信されていた作品の文庫本版です。
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この作品のレビュー
平均 4.1 (98件のレビュー)
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愛って何なんですかね。
突然ですが、この本を読み終わったらふと思いました。
好きなだけではどうにもならない愛ってある。
愛を与える側と受け取る側。
好きだから相手に何かをしてあげたいと思う事は、エゴ…なのか、愛なのか?
読んだ後に何かが引っかかるのは、この答えが自分の中で出ていないからなのかもしれません。
この物語は浩輔側の視点で書かれているので、龍太の本音は想像でしかわからないのだけど、自分なりに考えてみました。
浩輔と出会ったことで、本当の愛を知ってしまったのではないかあ、と思います。
本当の愛を知ってしまうと、今までうやむやにしていた辛さとか痛みとか、自分をごまかしていた物たちに気づいてしまうと思うんです。
反対に自分をごまかしながらでないと生きていけなかったのが龍太なのかもしれません。
浩輔と出会い、楽しみと苦しみの狭間でもがき苦しみ続けていたのかもしれません。
とは言え、最期なぜあのような選択をしたのか、私には全部を理解することはできません。
他の道はなかったのか、考えたところで答えが出る物でもなく。
ただ、龍太の言った「俺だって浩輔さんのことが好きだ」は本心なのだと思いました。
お互いに愛し合っているのに、切ない。
生い立ちが愛を歪ませてしまう事もあるのかもしれません。
余談ですが、表紙の写真を見て、この本の興味を持ったのですが、本を読んだらますます映画が見たくなりました!
映像映えしそうなストーリーなので、いつか見たいと思います。鈴木亮平さんの浩輔役、かなりハマってそう。
巻末の鈴木亮平さんのあとがきを読むと泣けてきます。続きを読む投稿日:2023.10.30
このレビューはネタバレを含みます
先に映画を観た。凄まじい衝撃で、わたしの人生に大きく食い込む作品だと思った。これは原作も読まなきゃと手に取って、あっという間に読んでしまった。ぜひ映画とセットでみてほしい。胸がぎゅうっと締めつけられて…何も言えなくなる。いろんな愛が詰まっていて、それはすべてエゴかもしれないし、ほんとの愛なのかもしれない。そんなことは誰にもわからない。愛は目に見えない。形もない。受け手によって如何様にも変わってしまう。もしかしたら窮屈で重い鎖のようなものだったのかもしれない。何度も躊躇って、祈るように反芻して、ああすればこうすればよかった、とか、そういうものばっかり溢れてくる。いなくなってから聞くことはできない。でもわたしはこれを純粋な愛だと思わずにはいられなかった。エゴじゃないよ届いてるよって言ってあげたい。恋人の愛、親子の愛、まったくの他人同士の愛、いろんな愛が垣間見える。ふたりがどうか、安らかな光の中にいてほしいと思う。続きを読む
レビューの続きを読む投稿日:2024.04.07
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