ドラゴンランス レイストリン戦記1 魂の剣〈上〉
マーガレット・ワイス(著)
,安田均(訳)
,石口聖子(訳)
/KADOKAWA
作品情報
世界数千万部の傑作ファンタジー巨編「ドラゴンランス(戦記)」の待望の前日譚を初邦訳!陽気で人望ある屈強な双子の兄キャラモンとは対照的に、頭脳明晰だが虚弱で〈陰険男〉と呼ばれた弟レイストリン。気のふれた母の性質と悲しみを強く受け継いだその子が、史上最強の魔術師へと歩み出す、その生い立ちを描く!「本書はレイストリンの前半生の実話である。(中略)今回の出版にあたっては、〈上位魔法の塔〉の〈大審問〉――かくも破壊的な運命を決する影響をもたらすことになった〈大審問〉――が最も重要なテーマの一つだった。レイストリンの〈大審問〉の本はほかにもあるが、真実の記録が書かれたのはこれが最初である。」(クリンの歴史家アスティヌス)【主人公】レイストリン・マジェーレ:双子の弟で、種族は人間。兄が男前で頑健なのに比べ、幼い頃から体が弱く、内省的で、弱い者いじめにあう。それゆえ兄に守られ、兄を頼らざるをえないが、同時に自分の弱さを呪い、兄への複雑な感情を抱く。仲間から信頼されず、好かれもせず、陰険で冷たい人間と思われがちだが、その虚弱さゆえに、心の底では弱き者への思いやりを育てている。そんな彼が自分の存在意義を感じられ、救いを感じられるもの――それこそが「魔法」の研究だった。※本書は、電子書籍で刊行中の下記『【合本版】ドラゴンランス 全25巻』には含まれていない、新規邦訳作品になります。●『【合本版】ドラゴンランス 全25巻』とは?原著者注釈付きドラゴンランス(戦記)・原著者注釈付き伝説~魂の戦争・秘史までの全巻セット(外伝ネアラ2巻を含む。後発の「レイストリン戦記」は除く)。
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商品情報
- シリーズ
- ドラゴンランス レイストリン戦記
- 著者
- マーガレット・ワイス, 安田均, 石口聖子
- 出版社
- KADOKAWA
- 書籍発売日
- 2021.11.17
- Reader Store発売日
- 2021.11.17
- ファイルサイズ
- 3.2MB
- シリーズ情報
- 全4巻
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
-
新刊だよ!おっかさん!(ふっる〜)
いや間違えた新刊だよ!たださん!
といっても発行は去年だし、物語自体は1998年に書かれたものなんだけど、とにもかくにも今更ながらに初邦訳です!!
やりました!…
我々の勝利です!
今こそ勝ち鬨の声をあげましょう!
せーの
パー!サリ!アーン!!(そんな掛け声打ち合わせにないよ!)
それにしてもなんでこんなに面白い物語が20年以上未訳だったのか!まぁ恐らく版権のごたごたがあったんだろうけどw
とにかく死ぬ前に読めて良かった!
でかしたKADOKAWA!
許す!オリンピックのあれやこれやはもう許す!
ブラボー!KADOKAWAブラボー!(流行りに乗っかっていくスタイル、そして肝心の中身には一切触れないスタイル)続きを読む投稿日:2022.12.04
『ドラゴンランス戦記』では、既に赤ローブの魔術師として登場していた、双子の弟「レイストリン」の、それ以前の若かりし頃の物語。
もう文体から漂ってくる彼の雰囲気が、これまで読んだランスものと一緒で、や…はり、レイストはレイストかといった、哀愁めいた思いもあったけれど、実は違っていた点もあったのが、まずは一つ目の読み所だと思う。
例えば、魔法について、彼の場合、それ自体に魅せられていた印象が強かったが、実はそれが彼の全てである程の思い入れがあったことが分かり、それは、魔法学校での同級生からのイジメを物ともしなかったのが、他に何一つ能がないから、やらされているだけの彼らとは違い、レイストにとっては、それが生きる為の全てだったからであるし、家族からも浮いてしまいがちな彼にとっては、おそらく、母「ロザマン」の為でもあったのだと思うし、更には、副題となっている『魂の剣』という言葉にも、彼の生きていこうとする燃える思いが垣間見えるようで印象深い。
また、双子の兄「キャラモン」に対する劣等感について、相変わらずな点もあったが、ここでははっきりと、彼への愛情があることが証明されているのが、おそらくファンには嬉しいものがある反面、致命的に分かり合えない一面も実感し、それは、ある日、楽しく会話をしていた二人が、キャラモンのある発言をきっかけに、突然レイストが機嫌を損ねてしまう場面があり、その理由がキャラモンには分からなかったようだが、私が予想するに、それは二人が、神によって別れて生まれてきた悲劇を共有したかったのではないかということで、何を馬鹿なことをと思う人もいるかもしれないが、彼は本気で、双子の片割れには、まともな体のない頭脳だけを、もう片方には、頭脳のない体だけを与えたと思い込んでいるのである。もちろん、そんなことはないということは、後々の物語で証明されるのだが。
しかし、今回は青春時代のレイストということもあって、彼の良さを実感できる一面も多く、それは、将来を夢見て、外の世界を知ろうとする純粋な好奇心や、力を欲してはいても善のために使うと思っていたことに加え、父のことで助けてもらった、フリントにお礼を言う等、いろんな場面で見られた謙虚さと、戦記で見られた、どこか斜に構えた印象は薄く、却って素直なところは素直なのが、私にはとても新鮮に感じられた。
そして、二つ目の読み所は、なんといっても、戦記ファンなら思わず歓喜の声をあげたくなる、ランスの冒険者たちの出会いのエピソードであり、これがまた、映画の一場面になりそうなくらい印象的で、特に、レイストの芸の場面で出くわした嫌な教師に対しての、双子と彼の出会いのシーンは、キャラモンと彼によるキャッチボールも痛快でありながら、その後にそれを阻む、騎士道精神の彼の介入も、また粋な演出で、なんかいいなあと思ってしまう。
他にも挙げるときりが無いのだが、フリントの家に何故か住み着くことになったタッスルホッフのエピソードに、タニスとフリントの出会い、タニスを連れたキティアラが、3人プラス1人に紹介する場面に、スタームとキャラモンの取っ組み合いの喧嘩、そして、その二人の剣の師匠になったのが・・・と、ファンにはもう夢のような展開で、ここ読んでいるときは幸せでした。もっと聞かせてーって。
それから本書は、レイストリンに特別な拘りを持つ、「マーガレット・ワイス」のみの執筆であるが、それでも、「トレイシー・ヒックマン」と共著しているのと何ら変わらぬ雰囲気には、さすがと思いつつも、彼女ならではの残酷さとして、一つ私が言いたいのが、ミランダのあのシーンであり、私感を入れさせていただくと、あれは酷いと思い、はっきり言って、《大審問》を前にして要求される、自制心を確認させるためだけに入れたのではないかと思ってしまうくらい、彼にとって、ただの屈辱以外、何物でもない後味の悪さしか私には残らなかった。
しかし、そうは書いたけれども、結局、彼は本気ではなかったと思っているし、更には、自分の感情の粗暴さに唖然としたって、それこそ、その若さにしては良い人過ぎるよと思ってしまい、こんなところが彼の良いところなんだろうなと、もっとこうした一面に気付いてもらえないのが、彼にとっての、ひとつの悲劇だと思うと、何ともやるせなくなる。続きを読む投稿日:2023.07.31
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