死にかた論(新潮選書)
佐伯啓思(著)
/新潮選書
作品情報
七十歳を過ぎた稀代の思想家が、自らのこととして死と向き合った。欧米の「生命尊重主義」では、とてもじゃないが穏やかに死ねない。ヒントは古からの日本人の死生観にあるにちがいない。自然信仰を探り、日本仏教の「死と生」の関係を見る。西洋とは全く違う「死にかた」を知った時、私たちは少しばかり安心して旅立てる。
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商品情報
- シリーズ
- 死にかた論(新潮選書)
- 著者
- 佐伯啓思
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮選書
- 書籍発売日
- 2021.05.26
- Reader Store発売日
- 2021.05.26
- ファイルサイズ
- 0.3MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (3件のレビュー)
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佐伯啓思(1949年~)は、東大経済学部卒、東大大学院経済学研究科博士課程単位取得退学、滋賀大学経済学部教授、京大大学院人間・環境学研究科教授等を経て、京大名誉教授。京大こころの未来研究センター特任教…授。専攻は社会経済学、社会思想史。一般向けを含めて多数の著書あり。
本書は、月刊誌『新潮45』に連載された「反・幸福論」(2018年6~9月)(同誌はその後廃刊)に、書下ろしを加えて出版されたもの。同連載は、2010年12月から、その時々の時流を勘案したテーマを論じ、いずれも後に書籍化されているが、死生観的な論考がまとまっているのは『反・幸福論』(2012年)、『死と生』(2018年)で、本書はその続編になる。(私は『死と生』は読んだ)
本書は、「安楽死」を導入に、日本的死生観、特に仏教に関わる死生観がメインに書かれているが、著者の他の著書同様、古今東西の先人の思想や著書が引用されており、本書をきっかけに思考を広めるのに大変役に立つ。
「死」、「死にかた」について様々な示唆を与えてくれる一冊である。
(2021年6月了)続きを読む投稿日:2021.06.22
第一章 安楽死という難問
家族だけはダメなんだよ!/ワシラコロセ/日本の家族主義/確定していない近代社会の死生観/「生」と「死」の境界線
第二章 安楽死と「あいまいさ」
安楽死の容認/尊重とは何か/健…常者の「生」とそうでない「生」/共感と人格/ひとつの答えはない
第三章 「死」が「生」を支える
尊厳とは「生」の側の論理/「生」の拡張と「死」の忘却/「生」も「苦」/浄土はこの世にある/AはAでなくしてAである/水面の月
第四章 日本人の「魂」の行方
無駄な問いが気になる者/死は救済なのか/死者の霊は山にゆく/死生観なき死生観/魂は「ここに」いる/「自然」からでて「自然」に戻る/「荒ぶる神」であり「恵みの神」である/万象を貫く「根源的な生命」
第五章 仏教の死生観とは何か
仏教は死を歓迎するのか/確かな実体など存在しない/大きな因果に組み込まれているだけ/「生」は煩悩そのもの/死んでも「苦」は残る/蓮には泥水が必要/釈迦の覚りの普遍性/釈迦は死しても法は受け継がれた/「縁起・無自性・空」
第六章 道元の「仏性」論
生も死も同じ/覚りは現実世界にある/誰でも「仏性」をもっている/なぜ衆生は苦痛にあえぐのか/心の二重性/世界はそのまま仏性である/一瞬一瞬が修行/日本独特の死生観
第七章 「生と死の間」にあるもの
生もよし、死もよし/「間」は「無」であり「空」/生と死の間に無常/生や死をそのまま受けとめる/生者は死者から何かを受け取る
第八章 「死」とは最後の「生」である
人間だけが死ぬことができる/不条理となってしまった現代の死/もどきの死生観/深層に生死一如/死生観を掘り起こす続きを読む投稿日:2022.01.26
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