- 最終巻
まだ遠い光―家族狩り 第五部―(新潮文庫)
天童荒太(著)
/新潮文庫
作品情報
浚介は游子の病室を訪れた。二つの心は、次第に寄り添ってゆく。山賀と大野は、哀しみを抱えた家の扉を叩く。ふたりの耳は、ただひとつの言葉を求めている。冬島母子をめぐり争い続けてきた、馬見原と油井。彼らの互いへの憎しみは、いま臨界点を迎えている――。悲劇によって結ばれた人びとは、奔流のなかで、自らの生に目覚めてゆく。永遠に語り継がれる傑作、第五部=完結篇。
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.0 (101件のレビュー)
-
ようやく最終巻読了。
駒田は本当どうしようもないな。巣藤と游子は出会った当初のことを思えば意外なほど強く結ばれる。
油井は変わらず冬原親子に執着し続け、箍がはずれてしまう。繊細すぎるが故に暴走を止めら…れない亜衣と、彼女を持て余す両親。ついに芹沢家は家族狩の標的候補に入ってしまうほどに崩壊寸前。
親を殺す子供がいる。子供を殺す親もいる。現実にもそんな事件は起きているし、家族があたたかいものだなんて言えないのかもしれない。
世界には貧しさや戦争などにより、もっと大きな問題が日々起きているのも事実。でも、だからと言って家庭という小さな世界で起きていることに無関心にはなれない。
白蟻が家を巣食うように、気づいた時にはそれは手遅れになっているかもしれないのだから。
でも犯人の目的や理論にも一理あるし、全く理解できないわけではないけれど、私は游子と同じ意見だなぁ。
最近読んだ遠藤周作さんの本から引用するけれど、
「自分がいつも正しい、正義漢だと思っている人というのも、知らず識らずに傲慢という罪を犯していると思います。なぜかというと、自分が正しいという気持ちは、かならず他人を裁こうとします。つまり、人を裁こうとする気持ちというのは、自分が裁く相手の心の悲しみとか寂しさということが、よくわかっていないことなのです」
「正しいことをやっていることで、すべてが許されたりしないのです。正しいことは絶対的なのではありません。愛は絶対である、という錯覚に捕らわれてはいけません。愛が絶対なのは神様だけであって、愛が人を傷つける場合もあるのです。社会正義がすべてではないのです。社会正義のために、たくさんの人が傷つく場合もあるのです」
フランシスコ・デ・ゴヤ『我が子を食らうサトゥルヌス』に加え、「儚い羊たちの祝宴」に登場したテオドール・ジェリコー『メデューズ号の筏』など絵画が効果的に紹介されるのもこの作品の妙な格調の高さにつながっている気がする。
天童さんという作家は「再生」「信仰」「愛」「家族」「救済」「死」など重めのテーマを扱うので、読むときはそれなりに気力が必要です。
長くなりましたが「家族」と聞いて、私が一片の曇りもなく「あたたかさ」や「きずな」「安らぎ」「信頼」など良いイメージを抱けるのは、両親が大切に築き上げてきてくれたこの「家族」のおかげなんだなぁと心の底から感謝しました。悲しいけど世の中には「家族」と聞いても暗いイメージしか持てない人もいるのだから。大切で大好きな家族がいることはけして当たり前のことではなくて、本当に恵まれたことなのだと思う。
お父さんお母さん、もう少し一緒に居させてね。私自身もう新しい家族を作り始めてもいい年頃だけど、あまりにもこの家族の居心地が良すぎるの。笑続きを読む投稿日:2012.09.01
この長編シリーズはこれで完結。
家族に問題を抱える登場人物達も、最後には一応の形で解決し、幸せな人生を送る(だろう)ことになります。
重たく暗い内容ですが、最後にこういった結末を用意することによって…素晴らしい読了感を味わえます。
天童 荒太さんの小説は4年前に「永遠の仔」を読んで、これも感動したが、こちらもなかなか良い本です。
普通、文庫本って単行本を入手しやすくするだけですが、この文庫本シリーズは初版の単行本から、かなり手を入れ編集し直しているのだそうです。
もちろん、後者の方が出来が良いわけで、できれば文庫本で読んだ方が良いですよ。
単行本版は読んでないけど。
ご結婚されている方、子供を持たれている方、介護を要するご両親がいらっしゃる方、特に幸せなご家庭をお持ちの方にお勧めかな。
既に問題を抱えていらっしゃる方には、かなり辛い内容だと思います。
辛い部分を共有できるならいいけど、家族の問題ってそんな簡単に共有できる事じゃないでしょう。
だから、解決が難しいんだから。
まあ、そういうような内容の小説です。
「八日目の蝉」に、少しだけ通じる所があるかも。続きを読む投稿日:2023.05.01
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。