1Q84―BOOK2〈7月-9月〉後編―(新潮文庫)
村上春樹(著)
/新潮文庫
作品情報
青豆に言わなくてはならないことがいくつもあった。しかし今ここで天吾にできるのは、ただ名前を口にすることだけだ。青豆、と彼は呼びかけた。それから思い切って手を伸ばし、空気さなぎの中に横たわっている少女の手に触れた。・・・・・・天吾と青豆、空に二つの月が浮かぶ1Q84年の世界で、二人はもう一度めぐり逢えるのか。深い森の中へ分け入るように、物語は続いて行く──。
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この作品のレビュー
平均 3.8 (243件のレビュー)
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〈7-9〉後編 4
この巻で、「空気さなぎ」が、青豆を通して読まれる。それは、“さきがけ”でのふかえりと思われる少女の物語。少女は、突然現れたリトルピープル達と空気の中から糸を取り出してまゆを作る。そ…れはさなぎとして大きくなり、中にはドウタとしての少女が育つ。ドウタが目覚めると月が二つになる。そのまゆの自分を見た少女は、そこから逃げ出し、ドウタは目覚め月は二つに。自分が自分であることの証明に不安を感じる。
なかなかイマジネーションに溢れた作品かなと思う。「一九八四」に出てくる集産主義の理論テキストに対応させてくるのかなと思うけど、支配する者としての表現が、村上さんっぽい。
この巻の最初の方で、リーダーに世界観を語らせる場面がある。1Q84はパラレルワールドではない。1984と並行して存在しない。1984はどこにも存在しない。うーん、青豆がここに入り込んできたような設定と思っていたけど、世界観の把握が難しい。
一九八四では、ビッグブラザーが歴史修正をし続けたけど、1Q84は、一方通行の世界への変換。
もしかしたら、雰囲気で読み過ごす方が得策なのかも。核心を探そうとして、見つけられない。
あと少し。続きを読む投稿日:2022.11.28
このレビューはネタバレを含みます
『BOOK2:前編』で盛り上がりに盛り上がった、この『1Q84』だったが。
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『BOOK2:後編』は、まず「テンゴくん」に引いてw
さらに、ふかえりの「オハライ」の内容にドン引きした(爆)
なんなの、…これ?
真面目に読んでいいお話なの?
ギャグだとしても、これはアホバカすぎて笑えない。
(ていうか、世のハルキストたちは、この「オハライ」に感動するものなの?w)
ま、「オハライ」のクソバカバカしさ加減を除けば、いろいろ面白いところもあるから。
いくらなんでも、★1つとは思わないけど、それにしてもバカっぽすぎ。
こんなバカ丸出しの恥ずかしい展開、今時、中二病をこじらせたアニメや漫画、あるいは素人のネット小説でもないんじゃない?
小説なんてものは全て、作家による一種の精神的ストリップという面はあるにせよ、それにしてもこれは酷すぎだ。
いくら作家とはいえ、まっとうな壮年期の男が思い描くことなんだろうか?(・・;
村上春樹の小説にあるエッチシーンは、よくもわるくもさらりで、エッチにあるネッチョリ感がないから、エロいとか、ジャマとか感じたことは全くないけど、これは100%気色ワルかった。
もしかしたら、同時進行の青豆のパートでリーダーが言う、「さきがけ」という宗教団体の異常さが、そこで育ったふかえりには異常と感じない(それが当たり前のことになっている)というおぞましさを想起させようとしているのかもしれないけど、でも、それって読んでいてパッとは繋がらないんだよね?
だって、「さきがけ」の内実なんて、ほとんど語られてないんだもん。
そういう意味において言うならば、この『1Q84』というのは完全な失敗作だと思う。
(そもそも、この小説に「さきがけ」のリーダーのパートがないのは片手落ちだ)
『1984年』にあるような監視社会の恐ろしさをベースに、オウムが起こした事件のインタビュー等を含めた小説を書こうとしたんだけど、書いている内になんとなくラブストーリーになっていったまではよかったんだけど。
つい、ラブがラブラブへとバカ化しちゃったんだろう(^^ゞ
いや、それはそれでいいと思うのだ。
でも、なら、この『1Q84』という小説の説明に『1984年』や宗教団体云々という要素で語られるのは変だ。
『ニューヨーク・タイムズ』2011年10月23日号のインタビューで語ったように、“本書は短編小説『4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』(1981年)から派生した作品であると答えている。「基本的には同じ物語です。少年と少女が出会い、離ればなれになる。そしてお互いを探し始める。単純な物語です。その短編をただ長くしただけです。”というのを、もっと前面に謳った方がマーケティング的にもいいように思うんだけどな。
ただ、考えてみれば『ねじまき鳥クロニクル』だって、組織的な暴力が個人にもたらされることの恐ろしさみたいなテーマはストーリーとはほとんど乖離していたわけだから。
それが、この著者の特徴と言ってしまうなら、それまでなのかな?
ていうか。
もしかしたら、著者はあえて社会的なテーマとストーリーを乖離させて書いているのかな?
誰(読者)だって、忙しい毎日やストレスの中、せめて面白い小説の世界に浸ることで現実を忘れたい。
だから、小説を読むわけだ。
なのに、そこで重いテーマを突きつけられたら、さらにストレスが溜まっちゃう。
村上春樹の小説の人気って、実はその辺りにあるのか?
リーダーが(本人の要望通りw)いなくなり、けったクソ悪い「オハライ」も終わるとw、ストーリーはいよいよ『1Q84』の核心である「(陳腐なw)ラブストーリー」に全面的に突入する(^^ゞ
(『BOOK1』の冒頭の警官の拳銃が自動式に変わっていたあれが、その後一切出てこないってことは、この小説の本質はラブストーリーだってことじゃんw)
その章のタイトルが、「いよいよお化けの時間が始まる」なのはなんか意味があるのか?
もしかして、意外に茶化してたりするのかな?
著者って、たぶんリアルタイムのビートルズのファンなんだろうから、それはあるのかもしれないw
青豆が妙にギャグキャラwなのも、著者による一種の茶化しなのかもしれない。
というのも、用意された青豆の潜伏先のマンションが、偶然、天吾が住む町だったという、ラブストーリーの一種の定番展開(TBSやフジテレビのドラマにありそうじゃんw)だからだ。
しかも、そのマンションのテラスから見える公園に天吾が現れるという┐(´д`)┌
それを読んでいたら、思わず頭の中で、♪チャカチャン あのー日 あのー時 あのー場所でキミと会えなかったら ボクーらーは いつーまーでも 見知らぬ二人のままっ…て歌っちゃったじゃねぇーかよ、バカヤロ!(爆)
これって、実は『1Q84』じゃなくて、もしかして『東Qラブストーリー』?←古っ!w
そんなアホバカなラブストーリーに突入しつつもw、そこは村上春樹。
リトル・ピープルや空気さなぎ等の「1Q84」世界の謎解きも欠かさない。
「さきがけ」のリーダーとの対決という緊迫しつつ、どこか間の抜けた時を経て、たんなるヒマ人と化した青豆wによって、小説『空気さなぎ』が読まれるのだ(ただし一部)。
それを読んだ青豆は思う。
“そこにあるのはある種の病を到来するのを暗示するような暗鬱さだ。それは人の精神を芯から静かに蝕んでいく致死的な病だ。そしてその病を運んでくるものは、合唱隊のような七人のリトル・ピープルだった。ここには間違いなく何か健全でないものが含まれている。”
でも、小説『空気さなぎ』は売れに売れているわけだ。
小松の言葉で言うならば、“そんなもの(芥川賞)なんて必要ないくらい”。←村上春樹の小説かよw
…って、まるで『リング』みたいな展開になっているけど、ただ、『BOOKS3』でリーダーを失った「さきがけ」は、小説『空気さなぎ』を絶版にさせようとするんだよね。
教団的には、小説『空気さなぎ』が多くの人に読まれることによって、その“人の精神を芯から静かに蝕んでいく”、その内容が広まった方がいいように思うんだけど?
だからこそ、リトル・ピープルは、新たなリーダーと成りうる子を宿した青豆が1Q84世界から1984年に戻ることを容認したんじゃないの?
もっとも、小説『空気さなぎ』では、主人公の少女が小説を書くことで「反リトル・ピープル的モーメント」を天吾に力を借りて立ち上げるってあるんだけどさ。
ただ、猫の町(=1Q84世界)の住人である安達クミは、小説『空気さなぎ』が好きで何度も読んだって言ってるよね?
それは、安達クミは「猫の町」に住む人だから当然だってこと?
反1Q84世界である青豆は小説『空気さなぎ』を、“人の精神を芯から静かに蝕んでいく健全でないものが含まれている”と感じたわけだから、猫の町(=1Q84世界)の住人である安達クミはその内容を心地よく感じるってことなんだろうか?
そう考えると、リトル・ピープルや空気さなぎがどういうものなのかわかっていた/いるのは、リーダーと戎野先生だけということなんだろうか?
その辺、村上春樹自身は、それをどこまで想像していたんだろう?
個人的には、空気さなぎやリトル・ピープルが何なのかは著者の頭の中にも漠然としたものしかなくて。
場面場面で、あえてその定義をズラして物語っているように感じるんだよね。
ウィキペデイアの『1Q84』のところにある「リトル・ピープル」の説明にも著者自身の言葉として、「神話的なアイコン(象徴)として昔からあるけれど、言語化できない。非リアルな存在として捉えることも可能かもしれない。神話というのは歴史、あるいは人々の集合的な記憶に組み込まれていて、ある状況で突然、力を発揮し始める。例えば鳥インフルエンザのような、特殊な状況下で起動する、目に見えないファクターでもある。あるいはそれは単純に我々自身の中の何かかもしれない」と読売新聞によるインタビューがある。
おそらくは、読者がそれぞれに思い描けるように、その時々に応じてあえて様々な含みを持たしているということなのだろう。
個人的には、今で言う「もやもや」みたいな漠然とした不満、あるいは、明確化された不平不満があるところに“通路があく”ことで、リトル・ピープルがやって来て。
「もやもや」みたいな漠然とした不満、あるいは、明確化された不平不満に対して、無責任かつ、利己的に耳障りや居心地のよい言葉やナニカ(それが“糸”?)を与えられることで空気さなぎ”をつくられ、それは、やがて“人の精神を芯から静かに蝕んでいく”という風に読んだ。
ただ、それはあくまで、自分が今の世の中に漠然と感じている「もやもや」によって開いた通路から現れたリトル・ピープルによってつくられた、自分にとって耳障りや居心地のよい“空気さなぎ”にすぎないわけだ(^_^;)
村上春樹という人は、どちらかというと左がかった考え方をする人のように思うけど、自分は左がかった考え方というのは大嫌いなので(あくまで考え方ね。人ではないよw)。
そういう意味で、村上春樹とそこが一致するとは思えないんだよなぁー(爆)
ただ、ウィキペディアの『1Q84』のところを見ると、毎日新聞が2008年5月に著者にインタビューした以下のような話もある。
「僕が今、一番恐ろしいと思うのは特定の主義主張による『精神的な囲い込み』のようなものです。多くの人は枠組みが必要で、それがなくなってしまうと耐えられない。オウム真理教は極端な例だけど、いろんな檻というか囲い込みがあって、そこに入ってしまうと下手すると抜けられなくなる」
また、『BOOKS2:前編』でリーダーが言う、
「世間のたいがいの人々は、実証可能な真実など求めていない。真実というのは大方の場合(中略)強い痛みを伴うものだ。(中略)人々が必要としているのは、(中略)美しく心地良いお話なんだ。だからこそ宗教が成立する」なんかを見ても、耳障りや居心地のよい言葉によって大きくなった空気さなぎ(多くの人にとって必要な枠組み)が、“人の精神を芯から静かに蝕んでいく健全でないもの”、っていうのは、当たらずといえども遠からずな気がするんだけどな。
2009年5月時点での結末である『1Q84/BOOK2』は、天吾が青豆をいよいよ探す決心をすることで終わる。
『BOOK1』と『2』を経て、やっと主人公が相手を探そうとするラブストーリーって何なんだ!?って話ではあるのだが、そうは言っても、それは村上春樹の小説に出てくる主人公の男だ。
他の村上春樹の小説の主人公の男のように受け身で相手に探してもらうのではなく、自分で探そうとするんだから大したものだ(^^ゞ
(結局、見つけるのは青豆の方なんだけどさw)
ていうか、柳屋敷の老婦人。
「いいですか、どうかこれだけは覚えておいてください。私たちは完全に正しいことをしたのです。私たちはあの男が犯した罪を罰し、この先に起こることを防ぎました。(中略)何一つ気にかけることはありません」
…って、それじゃ、ISみたいな過激テロ組織、あるいは、戦争に向かう兵士を鼓舞するプーチンやネタニヤフと一緒じゃん。
柳屋敷の老婦人は、気持ちはわからないではないけど、こんな風に何かをここまで信じ込み過ぎている人っていうのはキモチワルイ以外なにものでもないなぁーって思っていたけど。
結局、柳屋敷の老婦人も、リトル・ピープルが作った空気さなぎに囚われた人でしかないってことなのか、「ほうほう」w続きを読む投稿日:2024.05.02
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