彼方の友へ
伊吹有喜(著)
/実業之日本社文庫
作品情報
友よ、最上のものを。戦中の東京、雑誌づくりに夢と情熱を抱いて――老人施設でひとりまどろむ佐倉波津子に、小さな箱が手渡された。「乙女の友・昭和十三年 新年号附録 長谷川純司 作」。そう印刷された可憐な箱は、70余年の歳月をかけて届けられたものだった――戦前、戦中、戦後という激動の時代に情熱を胸に歩む人々を、あたたかく、生き生きとした筆致で描ききった感動傑作。巻末に、文庫のための書き下ろしスピンオフ「ポラリス号の冒険」を収録。第158回直木賞候補作。解説/瀧井朝世装画/早川世詩男
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商品情報
- シリーズ
- 彼方の友へ
- 著者
- 伊吹有喜
- 出版社
- 実業之日本社
- 掲載誌・レーベル
- 実業之日本社文庫
- 書籍発売日
- 2020.10.15
- Reader Store発売日
- 2020.10.08
- ファイルサイズ
- 1.6MB
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この作品のレビュー
平均 4.7 (33件のレビュー)
-
老人施設にいる佐倉波津子の元へ届いたのは、赤いリボンが結ばれた小さな箱。
中には「フローラ・ゲーム」と呼ばれた花のカードが入っていました。
そして波津子の遠い昔の、少女の頃の記憶が鮮やかに呼び戻されて…いきます。
父の失踪で女学校へは行かず、働き口を探していた16歳の波津子は、父の遠い親戚の口利きで、大和之興業社『乙女の友』編集部で雑用係として働くことになります。
明治時代に創業され、大正、昭和と三つの時代をくぐってきた歴史ある雑誌社を舞台に、登場する人物たちが生き生きと描かれていて、ドラマチックな展開が続いていきます。
自転車で街を颯爽と駆け抜ける波津子の姿や、会社の屋上のハトゴヤ(鳩小屋)での忘年会、編集者や作家たちが使う「マチ」という隠語にはわくわくさせられました。
戦争が何もかもを奪っていくという困難な時代にもかかわらず、憧れの人たちに囲まれて仕事に情熱を燃やし、成長していく波津子に、言葉に言い尽くせないほど感動し、心が震えます。続きを読む投稿日:2022.10.10
【少女雑誌の灯す光】
伊吹さんの本を初めて読みました。
時は戦前の昭和。少女雑誌「乙女の友」が大好きで、その主筆とイラスト作家の先生たちにあと蛾れている佐倉波津子ことハツ。あるきっかけで、その主筆の…アシスタント、という形で出版社編集部に雇ってもらえることになるのだけれど…
戦争という緊急事態と価値観の大転換の中でのお話。
いろいろ考えさせられた。
「そんな余裕のない状況なら、書物や雑誌など不要ではないですか」
コロナの緊急事態下に問われたたくさんの文化活動の意味。リアルだった。
出版社や書籍に関わる人々はどう影響され、どのような決断を経ていったのか。
違う時代の話。
たくさんの芸名。
おちゃめでカラフル。
教科書や授業では知りえない、生きている人間を感じられた本。
フィクションなんだけど現実でもある、そんな気がするお話だった。
灯台のような雑誌。「暗がりのなかに光をともす存在」。
状況がどんなに難しくなっても、「彼方の友」―全国の読者―との間に自らが課した約束を守り続けるために下す決断の数々。知りえないけれど。そんなことを考えたり。
女性とキャリア。今も男女のキャリア格差は閉じていない。この議論は今に始まったことでも何でもないことにあらためて気づく。主人公をはじめ、昭和前期にも強く生きる女性たちが生き生きと描かれている。
そしてなにより、この本は、ただ昔を書くのではなく、今老人施設で余生を過ごす主人公ハツが、夢うつつの状態の中、過去を回想している設定。
人の価値観に与える戦争の影響は大きい、ってそのあと読んだ村上春樹さんのエッセイに書いてたけれど、断絶があるぐらい、すごい激動の時代を生きてきた人が、今も生きていて一緒の社会にいるってこと、
凄い貴重だし、普段自分は忘れすぎてる、と思う。
本気で想像しないと想像できないことなのだと思う。続きを読む投稿日:2024.03.11
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