歌集 滑走路
萩原慎一郎(著者)
/角川文庫
作品情報
歌集としては異例のベストセラー。そして、映画化も決定!いじめ、非正規雇用・・・・・・逆境に負けず それでも生きる希望を歌い続け32歳という若さで命を絶った歌人・の萩原慎一郎の歌集がついに文庫化。 解説:又吉直樹* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * NHKニュースウオッチ9で「“非正規”歌人が残したもの」として紹介され、大反響。10月16日放送、NHK「クローズアップ現代+」で特集、又吉直樹氏により大絶賛。11月3日「朝日新聞」「売れてる本」、「日経新聞」書評欄「ベストセラーの裏側」掲載11月20日「毎日新聞」特集ワイド掲載。紀伊國屋書店スタッフが全力でおすすめするベスト30「キノベス!2019」、第8位。* * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * * *
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商品情報
- シリーズ
- 歌集 滑走路
- 著者
- 萩原慎一郎
- 出版社
- KADOKAWA
- 掲載誌・レーベル
- 角川文庫
- 書籍発売日
- 2020.09.24
- Reader Store発売日
- 2020.09.24
- ファイルサイズ
- 1MB
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この作品のレビュー
平均 4.5 (22件のレビュー)
-
昭和20年代、第二芸術論争なるものがあったと聞いている。対象は俳句ではあったが、それは短歌をも巻き込むものだった。「(作家たちは)いつも慄いている。名も知らぬ土地の人の机の引き出しの中に、世紀の傑作が…眠っているのではないか、と」出典にあたっていないので正確ではないが、おおよそ以上のような主張に、おおよそ俳人とか歌人とかと言われる作家たちが一斉に反発した。
現代、歌人と称するためには何が必要なのだろうか?
公の新聞や雑誌で、歌が頻繁に公開されていること?
歌集を出していること?
定義はどうでもいい。
むかし、おおよそ130年間に詠まれた歌が一冊の文集にまとめられた。万葉集といい、それは1300年の時を経て、そのうちの一部、或いはおおよそがいまだに人口に膾炙されている。
私は、あくまでも私の意見ではあるが、そうなって初めて歌人は歌人になると思っている。
そのためには、繰り返し繰り返し「その歌」が引用されなければならない。
ここに1人の若くて優しくて脆かった青年が、その最後の最後に編んだ一冊の歌集がある。
どうなんだろ。
バブル崩壊後、リーマンショックの最中、非正規労働者として20代を過ごした青年の心の記録として、20年後、100年後、1000年後に残る歌だろうか?「現代万葉集」があれば、一首でも採用されるだろうか?現代ならば、数万回ネットに載ったか、を基準にして選ぶことが出来るかもしれない。
慎一郎さんの歌が載るかどうかはわからない。現代は、1300年前と比べてあまりにも詠む人が多いから、難しいんじゃないかな、とも思う。でも、とも思う。何かの「気まぐれ」が、この時代の何かを掬い取って、たとえば以下のような歌が選ばれないとも限らないのではないかと。
抑圧されたままでいるなよ ぼくたちは三十一文字で鳥になるのだ
きみといる夏の時間は愛しくて仕事だということを忘れる
牛丼屋頑張っているきみがいてきみの頑張り時給以上だ
紐引けば花咲くように電灯のともりて学びの時間になりぬ
電車に乗りながら夜空に伝書鳩放つがごとく送信したり
あのときのこと思い出し紙コップ潰してしまいたくなりぬ ふと
ぼくたちの腹部にナイフ刺さるごと同時多発テロ事件はあった
箱詰めの社会の底で潰された蜜柑のごとき若者がいる
コピー用紙補充しながらこのままで終わるわけにはいかぬ人生
だだだだだ 階段を駆けあがるのだ だだだだ、だだだ 駆けあがるのだ
続きを読む投稿日:2023.05.23
著者がどういった人物か、一切の知識なしにたまたま手に取った。
表紙のデザインが美しかったのと、滑走路、という色々な物語を想起させるタイトルの「歌集」というものに興味を惹かれたからだ。
読み始めてみる…と、勢いがあって、静止があって、思考があって、日常があって、現実や当惑や希望があって、ぐいぐい引き込まれるように最後まで読んだ。
歌集を読む時の習慣で、印象に残った歌には細い付箋をつけるのだが、かなりの数の付箋がついた。
そして、最後の最後、解説や後書きを読んで、著者が32歳という若さで夭逝したことを知った。
氏が詠んだ短歌には、色々な想いが練り込まれていたに違いない。未来を感じさせる歌も確かにあった。それでも、それでも、死に直面したという事実が、またひとつのメッセージでもあるように感じた。
読み終えるまで、当たり前のように次の歌集や歌の変化を楽しみにしていた自分が、ふいに凪の海のようなところに投げ出されたように思った。この奇妙で沈痛な余韻もまた、作品の一部として受け止めるべき空白なのだろう。
好きな歌をいくつか引用しておく。
・真夜中の暗い部屋からこころからきみはもう一度走り出せばいい
・いつか手が触れると信じつつ いつも眼が捉えたる光源のあり
・僕たちのソファーでありし草地にて還らぬ友を想い続ける
・箱詰めの社会の底で潰された蜜柑のごとき若者がいる
・シュレッダーのごみ捨てにゆく シュレッダーのごみは誰かが捨てねばならず
・内部にて光り始めて(ここからだ)恋も短歌も人生だって
・完熟のトマトの中に水源のありて すなわち青春時代
・いまはまだショックだけれどそのうちに……そうだ、たこ焼食べて帰ろう続きを読む投稿日:2024.03.31
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