夜フクロウとドッグフィッシュ
ホリー・ゴールドバーグ・スローン(作)
,メグ・ウォリッツァー(作)
,三辺律子(訳)
/小学館
作品情報
LAとNYを結ぶ、YA版書簡体小説。
ある日、突然、ロサンゼルスの知らない人からメールが届いた。
「そっちのお父さんは、うちのお父さんとつきあってるんだよ」
???????????????
「なにか勘違いしていると思います」
ロサンゼルスとニューヨークに住む、全く知らない少女たちのメールのやりとりがはじまる。
「お父さんたちは、わたしたちに仲良くなってほしいみたい」
そんなことできるわけない!と反発する少女たち。
水を油で、共通点のない少女たちは、仲良くなるのか?
お父さんたちは、むずばれるのか?
最後まで、結末の分からない、ノンストップ小説。
新しい家族の形が見えてくる。
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商品情報
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この作品のレビュー
平均 3.8 (10件のレビュー)
-
父と二人で暮らす12歳のエイブリーのもとに、ある日ベットという知らない女の子(らしい)からメールが届いた。二人の父親同士が付き合っていて一緒に旅行を計画しているので、そのためにふたりを同じサマーキャン…プに入れようとしているのだ、と。旅行もキャンプ(エイブリーだけは行きたかった)も再婚も阻止したい彼女たちは、メールでやり取りしながら対策を練るが、残念ながら父親たちは中国バイク旅行にでかけ、娘たちはキャンプに行かされる。性格も好みも正反対のふたりだったが、メールのやりとりとキャンプでの出来事等から次第に仲良くなっていく。しかし父親たちの仲は、アクシデント続きの旅行から険悪になり、ついに離別することになってしまった。義姉妹となることを期待していた彼女たちは、復縁をさせようと目論むが……。
父親の恋愛に翻弄されつつも、自分たちの力で未来を変えようとする少女たちの姿を、周りの大人たちの姿とともに、メールと手紙だけで描いた物語。
******* ここからはネタバレ
「ふたりのロッテ」の逆バージョン、ゲイのおとうさん版ってところでしょうか?
エイブリーにはお母さんがいて、彼女が生まれたあとに両親は別れているので、お父さんは最初はストレートだったようですね。
ベットにはふたりお父さんがいましたが、1人のお父さんとは死別しています。
その、娘たちと暮らしているお父さんどうしが恋に落ちて、娘たちをキャンプに突っ込んでいる間に旅行に行って、反発していた娘たちは仲良くなったけど、お父さんたちは破談になってしまった、という話です。
メールのやりとりで話が進んでいくというところが現代的なんでしょうね(今の日本ならLINEのやり取りだとも思いますけど)。
いいんですけど、ちょっと演出のために無理矢理感を感じた点も多かったです。
最初にベットから来たメールに対して、エイブリーがちゃんと相手にしていること。そして、少しずつですが、お互いに自己開示していること。
これ、ちゃんとあとがきででも注意しておかないと危ないですよ。なりすましだったらどうするんだろうって心配になります。
父親たちが恋に落ちたから、と、娘たちに仲良くなることを薦めたのに、自分たちは不仲になって帰ってくるなんて、とっても無責任。双方の家族に紹介するときは、それなりの覚悟を持ってからしないと、周りが振り回されますよね。
キャンプの医師が参加者のことを番号で呼び、その文章をそのままベットの父親に送っている。実際にアメリカのキャンプではあることなのかも知れませんが、失礼ですよね!!!
ベットが「家族の日」に、10年以上会っていなかったエイブリーの母クリスティナをサプライズで呼ぶのもおかしい。人の家の事情なのに。
それに、有名劇作家が来るからといって、それを他の参加者にまで伝えるのはプライバシーの侵害ではないの???
さらに、クリスティナは、キャンプから出たあとまたそこに戻って娘たちを夜中に連れ出し、結果的に娘たちはキャンプから追い出されてしまった。その時も、ただ血がつながってるからと言う理由で、親権者でもないのにエイブリーの引き取り手になっている!!!こんないい加減なこと許していたら、熾烈な子どもの奪い合いが起きてしまいますよ。
それに、今回のことがきっかけになって、また母親と会えるようになったエイブリーが家に訪ねてきたとき、一緒に見た映画が「クレイマー・クレイマー」だったなんて!!!思いやりなさすぎでしょう???
また、ベットを引き取りに来た祖母が、そこで行われていた練習で偶然いない役者の代わりをして演技力を認められ、オフ・ブロードウェイの舞台に立つことになるなんて。うまく行き過ぎも行きすぎでしょう?
湖に落ちたベットを助けに、水が怖いエイブリーが飛び込んでいますが、これも危険。すぐにすべきことは、笛を吹いて危機を知らせることでした。おかげで3人も救急車に乗る羽目になったんですから。これについても、主催者側が、「見えなかった」と主張していること、ライフジャケットを着ていない子がいたこと、どれも責任を問われておかしくないことですよね。
ふたりが入院している病院のそばのモーテルが1室しか空いていなかったからと、親たちがみんなで泊まったとき、エイブリーの両親は同じベットで寝ました。いやぁ、普通別れた夫婦はそんなことできんでしょ?と思いました。それに加えて、ベットの祖母は、元夫の体に腕を回す元妻の写真をこっそり撮っているんです。これって、エイブリーにはほっこりな出来事かも知れませんが、けっこうなプライバシーの侵害ですよね。
そしてラスト、いろいろあったけどめでたく結婚式を迎えましたーって言っていたら、それは父親たちではなく、ベットの祖母とマンションのドアマンとの結婚だった、とか。
いやぁ、あの状態(ふたりとも新しい相手ができた)で復縁したらすごいなとは思っていたんですが、ここまで来るとなんか騙されたように感じて勝手に不快になりました。
なるぼどと思うところもありました。
一番は、違いすぎるから、と父親たちが別れてしまったのに対して、エイブリーとベットは、ケンカしながらも仲良くなっていったころ。本当に大切な人とはケンカするのも悪くないし、その方が相手に対して誠実になるというのはいいですよね。
きっとこれが、この物語で一番言いたかったことではないかと思います。
ベットの父親が、「キャンプにほかに同性両親の子はいるか?」と聞いていましたが、気になるんですね。アメリカでも、まだまだ同性愛者に対する”特別な目”はあるんだなと思いました。
主人公は12歳ですが、読みやすいので中学年からでも読めます。ただ、メール形式なので、差出人と宛名にちょっと気をつけて読まないとわかんなくなるかも知れません。続きを読む投稿日:2022.03.04
メール、手紙、留守電など、間接的伝達手段で物語が進むYA版現代の書簡体小説。
ある日、突然、ロサンゼルスの知らない人からメールが届いた。
「そっちのお父さんは、うちのお父さんとつきあってるんだよ」?…??????????????
「なにか勘違いしていると思います」
ロサンゼルスとニューヨークに住む、全く知らない少女たちのメールのやりとりがはじまる。」続きを読む投稿日:2023.09.15
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