贄姫と獣の王 11巻
友藤結(作者)
/花とゆめ
作品情報
魔族の新たなる王を名乗る男・フェンリルに捕らわれてしまったサリフィ。ラントたちの活躍によってなんとか脱出を果たすが、すぐにフェンリルに追いつかれてしまい!?一方、レオンハートはサリフィ救出のために動き始め・・・。絶体絶命のサリフィ一行を救い出すことはできるのか!?
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商品情報
- シリーズ
- 贄姫と獣の王
- 著者
- 友藤結
- 出版社
- 白泉社
- 掲載誌・レーベル
- 花とゆめ
- 書籍発売日
- 2019.08.20
- Reader Store発売日
- 2019.08.20
- ファイルサイズ
- 34.1MB
- シリーズ情報
- 全17巻
※この商品はタブレットなど大きなディスプレイを備えた機器で読むことに適しています。
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この作品のレビュー
平均 4.5 (2件のレビュー)
-
少女漫画でありながら、巻の大半を男と男の勝負で占めている点はちょっと尊敬する…かも
そんな内容だからサリフィに出来る事は本当に少しだけ。いつものようにその胆力によって示せるものにも限界がある。
いや…、第60話で嘘の誓約をしてフェンリルの油断を誘うサリフィには本当に驚かされたけど。王妃として成すべき事をする為ならサリフィってどのような方法をも使えるのだなと再認識
その後に始まるのは誰も立ち入れないレオンハートとフェンリルの矜持を懸けた闘い
その中では大量の血が流れるし、レオンハートが敗れそうな瞬間も有る。けれど、それをサリフィが止めようとしなかったのは印象的
レオンハートが国を守る為にどのような想いで居るか、そしてレオンハートと闘う為にフェンリルがどのような想いでここまで来たかを知っているサリフィは争いを止めはしない
後方から「おーさま!!」と叫び彼の支えになろうとする。サリフィの存在こそ、レオンハートが何を誇りに立っているかを思い出させる存在だから
なら、フェンリルにそのような支えが無いかといえばそうではなく、ニルがその役割を担うわけだ。ニルの欠けた片目、そして「フェンリル」という呼び方がフェンリルが何を取り戻さなければならないかを思い出させるキーとなる
だとしたら、二人の勝負を分けた差は本当に小さな差なのだろうな
勝負が終わった後のニルの行動には驚かされたが、フェンリルの真意が明かされた後の描写にはちょっと泣かされてしまったよ…
外れ者の二人が分かち合った命。そして離れず共に散ると選んだニル。
誰にも王だと認めてもらえず終わったフェンリル。ただ、彼の傍にずっと居たニルからすれば誇り高き王であり。
二人は何も手に入れられなかったかもしれないが、何も手にしていなかったわけではないのだろうなと、そう思える終わり方だった
動乱が終わった後の王都は久しぶりに穏やかな様子だね。
ラントベルトは動乱の中で己の不甲斐なさを感じ、サリフィを守れる強さを求めるようになった。それはヨルムンガンドやアヌビスから認めれる強さの方向性。
ラントベルトも態度を改めたようでこれからの彼の成長が気になる描写だったね
また、人間の姿でイチャイチャするサリフィとレオンハートの様子はちょっと悶えるくらい甘々でしたよ?いいぞ、もっとやれ
ただ、もうちょっと二人のイチャイチャを見ていたい気がするけど、裏で暗躍する人物がいる事を考えるとレオンハートが人間形態になっているのは危ういような……続きを読む投稿日:2019.08.25
このレビューはネタバレを含みます
先にぶっちゃけると、私はまだ、(12)を読んでいない
レビューの続きを読む
本当に面白い、と感じさせてくれる漫画は、感想を書くまで、新刊を読まない、と自分ルールを設けているからである
漫画読みなので、新刊は出たらすぐに読み…たい、その気持ちは、私にも他の漫画読みの方と同じく、ある。けれど、前の巻が、冗談抜きでイイものだと、そう、すぐには、自分が納得できる感想が書けないのも事実
これは、単に、私の感想を書く能力が、他の方より劣っているだけだが、一度、決めたルールは、そう簡単に撤廃できないのは事実
実際、早く読みたい、って焦りの気持ちが、却って、頭を冷静にさせ、心の熱を高めてくれる事もある
初っ端から、自分語りをかましてしまったが、本題に入ろう
最初に書いた通り、私は、まだ、(12)を読んでいない
しかし、よっぽどの衝撃的な展開がなけりゃ、この(11)を乗り越える事が、友藤先生は出来ないんじゃ、と心配になるほど、この巻は激烈な内容だった
系統的に言えば、間違いなく、この『贄姫と獣の王』は、ゴリゴリの少女漫画となる訳だが、この(11)で展開されたタイマンは、むしろ、男の漫画読みの方が胸を打たれそうだ
立場や思考を考えても、フェンリルは悪ではない
善ではないにしろ、レオンハートとは、通すべき信念、抱く野望、見ている未来が違うだけで、フェンリルもまた、強き王の器だ
ゆえに、レオンハートとフェンリルは衝突するしかない
フェンリルが、サリフィを危険に晒したのであれば、尚更だ
国を守るべき王としてだけでなく、一人の雄として、愛すべき女の為に戦えるのが、レオンハートだ
例え、他の奴が負けを認めるしかない状況でも、他の奴なら死んでいてもおかしくない傷を負ってしまっても、レオンハートは、サリフィの前で負けてはいけないし、死んでもならない
愛すべき女性に、男が捧げられるのは、勝利だけなのだから
二匹の獣が、野生を剥き出しにし、その牙と爪だけで、相手の命を奪おうとする姿勢は、ほんと、ファンタジー系とは言え、少女漫画として、ギリギリ
けど、この描き方でしか、友藤先生は、自分の想いを、私たち読み手に伝えられなかったんだろうか
なら、私は、友藤先生の猛攻を、この体で真っ向から受けきりたい
サリフィの声で、一度は諦めかけたレオンハートが立ち上がり、勝利への執念を剥き出しにして、フェンリルの圧を上回り、勝利をその牙で噛み取った決着に、グッと来ない男はいないだろうよ
しかも、その後の展開が、これまた、良い意味で少女漫画的じゃなくて、私としては、ますます、友藤先生への好感度が爆上がり必至
勝者がすべき義務があるように、敗者には敗者の、譲れない矜持と渡せない「何か」がある
それを貫き通したフェンリルとニル、彼らの王、右腕としての姿勢には、目頭が熱くなった
言うまでもない事だが、決して、ニルの忠義が、サリフィの純愛より劣っていた訳じゃない
何が勝敗を分けたのか、ハッキリ言って、それは誰にも判らない
ただ、あえて、強引に、レオの勝因を挙げるのであれば、彼が天に選ばれた、そういう事じゃないだろか
この戦いで、サリフィやレオンハートは多くの大切な事に気付き、距離を大きく縮め、より深い愛で結ばれるようになった
一方で、ラントベルトは、大人らの強さを間近で見て、己の体で受け、心に響かされた事は、戦士として良い成長の糧になった様子
彼は、まだまだ、強くなれそう。これからが楽しみ
しかし、二人の王の衝突、これは、何者かの計略であった可能性も出てきた
できりゃ、レオンとサリフィには、しばらく、イチャついてほしいが、新たな敵の影がチラつくとなると、難しいか?
この台詞を引用に選んだのは、シンプルに重く、鋭く、威力があったので
私個人の勝手な受け取り方ではあるが、この言葉こそが、友藤先生が、この『贄姫と獣の王』を愛読するファンへ、最も強く言いたいメッセージだったんじゃないだろうか
大袈裟でも何でもなく、友藤先生が、迷いながらも、自分で選び続け、ここまで来てくれた事には、心からの感謝しかない
けど、先生なら、まだ先に進める、とも信じてる
「・・・私も、この頃、考えることがある。生きる、ということは、選び続けるということだ。何を成すも、成さぬも、どこへ行くも、行かぬも、その選択を他者に委ねることさえ、結局は、その道を自分で選んだことになる。たとえ、それで、望まぬ結果になろうとも、それを間違いだった、と誰が決められる?答えは、出るまで誰にも分からない。選んだ先に、答えがある。そこには、きっと、正しいも間違いもない。ただ、結果があるだけ。そして、また、次に行く道を選択する。生きる限り、選び続け・・・そして、どんな結果に到ろうとも、そこから、目を逸らさず、向き合わねば、前へ進むことはできないのだ、と・・・」(byレオンハート)続きを読む投稿日:2020.02.02
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