鬼を飼う(3)
吉川景都(著)
/ヤングキングアワーズ
作品情報
昭和8年、東京本郷の地にて奇妙な生き物を扱う「四王天鳥獣商」なる店の主人・四王天と少女・アリスと関わることになった帝大生・鷹名は様々な奇獣と出会い、不可思議な生物にどんどんひきこまれていくが、国の軍部にも奇獣の影がちらつき始め・・・!?
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商品情報
- シリーズ
- 鬼を飼う
- 著者
- 吉川景都
- 出版社
- 少年画報社
- 掲載誌・レーベル
- ヤングキングアワーズ
- 書籍発売日
- 2017.09.08
- Reader Store発売日
- 2017.09.08
- ファイルサイズ
- 81.2MB
- シリーズ情報
- 全7巻
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この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
-
ほんと、この『鬼を飼う』は私の好みど真ん中
吉川先生の絵柄は、『うしおととら』の藤田和日郎先生、『足洗邸の住人たち。』みなぎ得一先生、『妖怪少女‐モンスガ‐』のふなつかずき先生と言った、妖怪漫画の名手…にこそ、威圧感で劣っちゃいるけど、ストーリーは互角である、と私は思っている
時代背景が昭和初期ってのが、妙にリアリティ
この頃なら、こういう不思議っつーか、オカルトが表向きにこそ認知されていなくても、成長の陰で活発になっていてもおかしくはない、とストーリーが読み手に思わせる
登場する奇獣を主軸に、質の好い人間ドラマを展開させられるのは、吉川先生に確固たる実力があるからに他ならないだろう
私個人の印象ではあるが、もし、司ってキャラが登場していなかったら、ここまで惹かれてはいなかったと思う
ハッキリと役に立っていると言える訳じゃない、司は。けど、この作品のストーリーにも、鷹名の人生にも、彼は必要だ
良い意味で一般人としての常識と友情で動く司が、傍にいるからこそ、鷹名は今の所は一線を半歩だけ踏み越えているだけで済んでいるんだろう
鷹名に何かと助けられている印象を持たれがちな司だが、案外、彼の方が鷹名の心を救っているのかも知れない
そんな鷹名の運命が、四王天とアリスの思惑により加速を始めている、この(3)では
二人の真意は読めない鷹名だが、その波に抗わず、運ばれるがままに行き着くべき場所へ進んでいく
果たして、彼はその瞬間が来たら、どんな決断を下すんだろう
まぁ、鷹名は淡々としていて、感情で動かないタイプのように見えて、実際は自分の心のままに考えなしで行動しちゃう奴だから、躊躇いなく、自分の前に開かれたドアを潜って、あちら側に行っちゃうだろう
もし、そうなっても、司は鷹名への対応を変えず、程好い距離の友達でい続ける気がする。そういう、普通なトコが、司の長所だ
一方で、奇獣を軍事利用し、金儲けを画策している、頭のネジが飛んでいる物騒な軍人も行動を開始し、同時に、これまで仲違いしていた四王天と三条が同じ敵に立ち向うべく、一時的な共闘関係を築くと言った変化も起きている
緩さと鋭さがバランスよく成立している、このストーリーは、ほんと、読み応えがある
どの回も、妙な胸の昂りを感じさせてくれるが、個人的に印象に残ったのは、第29話だ。鷹名が自分の環境に異変が生じ始めている事に気付きつつも、あるがままを受け入れようとしている姿勢や、次巻への引っ張り方が上手いってのも薦めたい理由だが、それ以上に、猫又が可愛すぎやしないだろうか。こんな猫又なら、ぜひ、飼いたい
この台詞を引用に選んだのは、大人の女性の魅力に参ってしまいそうになったので。大人の定義は色々だろうけど、自分の領分や立ち位置を弁え、手に余る事には手を出さず、三猿を徹底するのも大事だ。踏み込まず、踏み込ませない、その躱しは勉強になる続きを読む投稿日:2017.12.04
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