紅城奇譚
鳥飼否宇(著)
/講談社
作品情報
16世紀中頃。九州は大友、龍造寺、島津の三氏鼎立状態となっていた。そんななか、三氏も手を出せない国――勇猛果敢で「鬼」と恐れられた鷹生氏一族の支配地域があった。その居城、血のように燃える色をした紅城で、次々と起こる摩訶不思議な事件。消えた正室の首、忽然と現れた毒盃、殺戮を繰り返す悪魔の矢、そして天守の密室……。眉目秀麗な、鷹生氏の腹心・弓削月之丞が真相解明に挑む!
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商品情報
- シリーズ
- 紅城奇譚
- 著者
- 鳥飼否宇
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 講談社
- 書籍発売日
- 2017.07.12
- Reader Store発売日
- 2017.07.28
- ファイルサイズ
- 3MB
- ページ数
- 258ページ
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この作品のレビュー
平均 3.5 (10件のレビュー)
-
戦国時代の九州、暴君の城を舞台に次々と一族が殺されていく事件を描く。
城主・鷹生(たかき)龍久の正室が首を切り落とされた遺体となって発見されたのを機に、第一側室が転落死し、城主の弟が毒殺され、その後も…愛娘に父親に嫡男、第二側室と次々不審な死を遂げる。
鷹生龍久は前の城主や主君を残酷な手法で打ち破っただけでなく一族郎党皆殺しにしている。この連続殺人はかつて龍久に敗れた一族の残党による復讐なのか。
時代背景や城という舞台背景も全てミステリーのためのもの。首無し遺体があったり幼い子供が死んだり、暴君によって容疑が確定してもいない者が呆気なく斬られたりなどという残酷なシーンはあるが、本格ミステリーにもよくあることなので読み流せる。
探偵役は龍久の重臣の一人、弓削月之丞。助手は第三側室の花。龍久は女たちの中でも新参者の花を特に気に入っていて執心しているが、花が想いを寄せているのは月之丞。やがてその想いは通じるが、勿論龍久には絶対にばれてはいけない秘密の関係。
月之丞が調査した結果披露する推理はかなり凝っている。トリックにしてもそこにある心情にしてもそこまでする?と首を捻りたくなるもの。
しかし一連の事件が龍久に対する復讐で龍久を徐々に追い詰めるためのものならそれもありかな、とも思えた。
だがこれで終わりではないだろうと思いながら読み進めると、やはり予想した真相があった。さらに最後に大技が来た! これこそここまでする?と驚いたが、上手く利用したということらしい。納得。
島田荘司さんか綾辻行人さんかという感じで楽しめた。
終始殺伐としているので物語としては入り込めないが、主人公の花としてはハッピーエンドということで良いだろうか。続きを読む投稿日:2021.03.06
このレビューはネタバレを含みます
戦国時代でミステリ。動機やトリックが戦国時代ならではで好みでした。館シリーズや城シリーズみたいな、からくり屋敷の趣もあります。
レビューの続きを読む
物語を貫く狂気と執念が物凄いです。因果因縁。事件で最もおおぉとなったのは…「暴君の毒死」でした。登場人物誰も彼もうーんだったけど、メインキャラのお子さんたちや妹さんみたいな周囲の人々の顛末に、戦国時代の非情さを感じました。
破ラストの合戦、難攻不落ってこういう城の事だっけ…????天守閣本体が兵器って……やり過ぎなかったらその後攻め込んできた島津義弘も困っていたかも。
「奇譚」の題に反しないミステリでした。紅い城は好きですね…安土城とか。暴君度が高いお館様は居城を紅く塗るのかな。九州を舞台にしたミステリ、既読が増えました。
「天守落とし」、言ってみたい日本語だけれど口に出す機会は無い。せつない。続きを読む投稿日:2022.11.20
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