晴れた日の森に死す
カーリン・フォッスム(著)
,成川裕子(訳)
/創元推理文庫
作品情報
ノルウェーの森の奥で、独り暮らしの老女が殺害された。被害者は玄関先の階段で血まみれになり、左目に鍬が突き刺さっていた。第一発見者の少年が、忌まわしい存在として知られる、精神病院に入院中の青年エリケを現場で目撃していた。捜査陣を率いるセイエル警部は、エリケを容疑者だと決めつける者たちの偏見の言葉に左右されず、冷静に証言や手がかりを集めていく。しかし信じがたい事実が判明する。エリケは近くの街の銀行強盗事件に巻きこまれ、銃を持って逃走する犯人の人質となっていた・・・・・・。ガラスの鍵賞受賞作家が贈る衝撃のミステリ!/解説=ヘレンハルメ美穂
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 〈セイエル警部〉シリーズ
- 著者
- カーリン・フォッスム, 成川裕子
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 東京創元社
- 掲載誌・レーベル
- 創元推理文庫
- 書籍発売日
- 2016.09.30
- Reader Store発売日
- 2016.09.30
- ファイルサイズ
- 1.4MB
- ページ数
- 382ページ
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.3 (10件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
舞台はノルウェーの夏。鍬で老婆が殺された。そばにいたのは少年院(ノルウェーでは自由に外出できるらしい)にいる12歳の少年と、精神障害を持った男。男は最有力の容疑者となったが、銀行強盗の人質となり行方不明に。銀行強盗の男と精神障害の男は、行動を共にするうちに不思議な関係となり・・・。あとがきにも書かれているように、作者の犯罪者や弱者に対する視線は優しい。周りの人間は、彼らを一方的に蔑むのではなく、理解しようと努力もする。社会に上手く溶け込めない人たちが犯した犯罪は、彼一人のせいではないと訴えているような、そんな小説でした。精神障害の男が眠るようにあっけなく死に、銀行強盗の男があっさりと捕まったが、それにより彼らが救われたようにも感じた。
レビューの続きを読む投稿日:2023.04.11
ノルウェーの作家「カリン・フォッスム」の長篇ミステリ作品『晴れた日の森に死す(原題:Den som frykter ulven、英題:He Who Fears the Wolf)』を読みました。
「…アンネ・ホルト」の『ホテル1222』に続きノルウェー作品… 北欧ミステリが続いています、、、
「カリン・フォッスム」作品は2年近く前に読んだ『湖のほとりで』以来ですね。
-----story-------------
全世界で累計550万部、30か国以上で翻訳
ガラスの鍵賞受賞作家が贈る衝撃のミステリ!
ノルウェーの森の奥で老女が殺害される。
被害者の左目には鍬が突き刺さっていた。
第一発見者の少年が、精神病院に入所している青年「エリケ」を現場で目撃していた。
捜査陣を率いる「セイエル警部」は、「エリケ」を犯人と決めつける者たちの偏見の言葉に左右されず、冷静に手がかりを集めていく。
だが信じがたい事実が発覚。
「エリケ」は近くの町の銀行強盗に巻き込まれ、銃を持って逃走する強盗犯の人質になっていた。
ガラスの鍵賞受賞作家が贈る衝撃のミステリ!
解説=「ヘレンハルメ美穂」
-----------------------
「セーヘル警部」シリーズの第3作目… 現時点、ノルウェーでシリーズは第13作目まで刊行されているようですが、翻訳されているのは既読で第2作目の『湖のほとりで』と本作品の2冊だけのようですね。
独特の味わいのある作品で、いつの間にか精神病院から抜け出した「エリケ・ヨルマ・ピエテル」に感情移入していましたね、、、
真相は藪の中… と思わせておいて、意外な結末が訪れるエンディングは秀逸で、自分にかけられた容疑が晴れた感じがするほど、気付かないうちに感情移入しちゃっていました。
複雑なトリックがなくても、ミステリって愉しめるんだな… と改めて感じたし、不思議な読後感が印象に残る作品でしたね。
ある日、「エリケ」は精神病院〈ビーコン〉を抜け出した… 「エリケ」は森の中を進み、「ハルディス・ホーン」が鍬を使って草の掘り起こし作業をしている姿をしばらく木陰から眺めていたが、「エリケ」が「ハルディス」の目の届くところにいきなり姿を現したため、「ハルディス」は驚いて不安な気持ちになる、、、
その後、地区警官の「ロベルト・グルヴィン」のもとへ、少年院〈ギューテバケン〉へ入所中の少年「カニック・スネリンゲン」が「ハルディスが死んでいる」と知らせに来る… 「カニック」によると「ハルディス」の家の近くに「エリケ」がいたという。
「グルヴィン」は、「ハルディス」の農場へ向かい、「ハルディス」が左眼に鍬が突き刺さった状態で死んでいるのが確認される… 「エリケ」は「ハルディス」を殺害した容疑で手配される、、、
次の日の朝、フォーケス銀行で強盗事件が起きる… 目撃者によると、犯人は若い女性を人質に取って逃げたという。
事件が起きる前に、銀行の近くで銀行強盗犯を目撃していた「セイエル」は二つの事件を追うことに… 防犯カメラの映像から、女性と思われた銀行強盗の人質は「エリケ」だったことが判明、、、
銀行強盗の「モルガン」は、「エリケ」を人質に取ったが、彼が何も喋らず無表情なので不気味に思う… しかし、一緒に行動するうちに、「エリケ」の行動や発言から、「「エリケ」が天才なのではないか」と思うようになる。
「モルガン」と「エリケ」は、森の中の小屋にたどり着いて立て籠もる… 「セイエル」は〈ビーコン〉を訪れ、精神科医の「ソーラ・ストゥリュアル」に会って「エリケ」のことを聞き出すが、「ストゥリュアル」は「「エリケ」が「ハルディス」を殺したと考えるのは間違っている」と語る、、、
「セイエル」は、「ハルディス」殺害事件には、何かおかしなところがあると感じ、「エリケ」は犯人ではないと考える… そして、「ハルディス」の死を警察に届けた「カニック」が偶然、森の中の小屋に近付き、「カニック」の射た矢が「エリケ」の腿に刺さったことがきっかけとなり、「カニック」は「モルガン」と「エリケ」に捕らえられ、微妙な関係の三人がひとつ屋根の下に集うことになる。
三人はウイスキーに酔って眠るが、「モルガン」が目を覚ますと、「エリケ」が血を流して死んでいた… これで真相は藪の中かと思われたが、、、
後日、「セイエル」は、「カニック」に会うために彼が収容されている少年院〈ギューテバケン〉を訪ねるが、「カニック」が弓用の手袋をしているのを見て、「ハルディス」殺害の犯人が「エリケ」ではなく、「カニック」だったことに気付く… 二つの事件が意外なカタチで合流し、頼りない銀行強盗の「モルガン」と、面倒な人質「エリケ」の二人が次第に心を通わすシーンが印象的でしたね。
作者の社会から疎外される人を受け止めようとする誠実さが感じられる展開でしたね… 直感ではなく物証に基づいて真犯人が暴かれるエンディングと、そこにおける「セイエル警部」の態度に好感が持てました、、、
意外なだけでなく、ほっ とできる、安心感を伴ったエンディングが印象的でした… 面白かった!
以下、主な登場人物です。
「エリケ・ヨルマ・ピエテル」
精神病院〈ビーコン〉に入院中の青年。24歳。
生まれつき股関節が悪いため、左右に揺れながら歩く。
フィンランドのヴァルティモで生まれる。
「エルシ・ヨルマ」
エリケの母親。故人。1950年生まれ。
「ハルディス・ホーン」
農家の女性。76歳。フィンネマルカに住む。
「トルヴァル・ホーン」
ハルディスの夫。故人。
「ロベルト・グルヴィン」
地区警官。巡査。
「カニック・スネリンゲン」
少年院〈ギューテバケン〉に入所中の少年。12歳。
弓が入っているケースをいつも持ち歩いている。
「マルグン」
〈ギューテバケン〉の職員。50歳代の女性。
「コンラッド・セイエル」
警部。50歳。デンマーク生まれ。コルバルクという犬を飼っている。
「エリーサ」
セイエルの妻。故人。
「ヤーコブ・スカラ」
セイエルの部下。
「カールスン」
警官。
「モルガン」
銀行強盗犯。本名は、モルトゥン・グルペア。
「カーシュテン」
〈ギューテバケン〉の少年。
「シーモン」
〈ギューテバケン〉の少年。
「シーヴェルト」
〈ギューテバケン〉の少年。
「ヤン・ファーシュタ」
〈ギューテバケン〉の少年。
「ソーラ・ストゥリュアル」
〈ビーコン〉の精神科医。40歳代半ば。女性。
「ギャハル・ストゥリュアル」
ソーラの父親。
「オッデマン・ブリッゲン」
食料雑貨店の店主。ハルディスに品物を届けていた。
「ヘルガ」
ハルディスの姉。ハンメルフェストに住む。
「ヨーナ」
ブリッゲンの店のレジ係。
「クリストフェル・マイ」
ハルディスの姉の孫息子。
「クリスティアン」
カニックに弓を教えている。
「スノーラソン」
医師。
「トミー・ライン」
ブリッゲンの店の元従業員。オッデマンの身内。元犯罪者。
「トーマス・ライン」
クリストフェル・マイが住むアパートの家主。
「ヨハンネス」
農夫。
「エルマン」
警察官。続きを読む投稿日:2022.12.02
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。