おはよう、いばら姫(3)
森野萌(著)
/デザート
作品情報
「丘の上のおばけ屋敷」と噂のある空澤(からさわ)家の一人娘・志津(しづ)。実は「死者の魂を呼び寄せる憑依体質」のため、その体にはいろんな人格が出入りしている。ワケあって家政夫バイト中の高校生・美郷 哲(みさと・てつ)は、志津に普通の女の子の体験をさせようと、自分の通う学校にこっそり連れて行くけれど……?
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商品情報
- シリーズ
- おはよう、いばら姫
- 著者
- 森野萌
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- デザート
- 書籍発売日
- 2016.02.12
- Reader Store発売日
- 2016.02.26
- ファイルサイズ
- 61.6MB
- シリーズ情報
- 全6巻
※この商品はタブレットなど大きなディスプレイを備えた機器で読むことに適しています。
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この作品のレビュー
平均 5.0 (3件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
(はじめに謝っておきます。とても長く、暑苦しい感想になっております・・・)
レビューの続きを読む
こんなの泣くに決まってます!泣
んもう~~こんなのぜったい泣いちゃうんです~~~泣
もうね、哲がいろいろ背負いすぎなんです!
哲っていうのは、この物語の主人公・美郷哲のことなんですけれど
どんな主人公か簡単に説明しますと
10歳のときに母親が入院して以来、
妹二人の面倒を見ながら家事をこなし
(妹の新学期の雑巾まで縫う)
友達と遊ぶ時間も減り
遊びたいことも
やりたいこともいっぱいの
二度と戻らない
人生に一度きりの青春時代を
家庭に捧げ
それでもなんとか
大好きなサッカーだけは続けていた。
そして中学に上がり、サッカー部に入る。
けれど練習もままならず、早退ばかり。
そんなんじゃ試合にだって出してもらえないし
挙句の果てには顧問に
全身全霊で打ち込めないなら辞めたほうがいい
と言われてしまう。
その言葉が胸に刺さった哲は
めずらしく最後まで部活に出る。
その帰り道、
千尋(幼なじみ)の
「どうしたんだよ・・・涼たちのご飯いいのか?」
との問いに
「レトルトあるし・・・なんとかしてるだろ・・・」
と答える哲。
そう言って玄関を開けると
中から泣きわめく声が・・・
「ご、ごめんなさい~~~・・・!」
台所には
がんばってご飯をつくろうとしたけど
うまくいかなくて
わんわん泣いてあやまる妹たち。
「兄ちゃんのほうがゴメン・・・!」
そう言って、妹たちを抱きしめる哲なのであった。
(↑ここめちゃくちゃ泣ける・・・)
その夜、
となりの布団で寝てる千尋(←泊まった)に
「俺、部活辞める」
と告げる哲。
「高校はあんま強くないとこにしようかな・・・」
「そしたら俺でも試合出るチャンスあるかな・・・」
「なんつって、・・・卑怯かな」
そう言って「・・・ずずっ」と鼻をすする。
思わず哲のほうを振り返る千尋。
頭まで布団をかぶった哲の背中を
しばらく見つめてから
自分も再び背を向けて、
独り言のように宙に舞った哲の言葉に
独り言のように返す。
「そうでもないと思う」
そして高校に入学!
千尋も哲と同じ高校へ!
行こうと思えばもっとサッカーの強いとこにも行けたはずなのに
哲と同じ高校へ!
そしていっしょにサッカー部へ入部!
そこは地区予選7年連続初戦敗退の
弱小サッカー部!
だから全国大会なんか目標じゃない。
純粋にサッカーを楽しむためにみんな入部してくる
そんなサッカー部!
そのサッカー部のルールはひとつ。
「全員がなるべく平等に試合出場の機会を得る」
だから
レギュラーは上級生を優先。
3年生になれば必ず試合に出れる。
哲の頭の中は、
それまでの2年間にどんなトレーニングを組んで準備するか
そんなわくわくでいっぱいになる。
哲の青春力はすごい。
家庭の事情で自分のやりたいことを犠牲にしても
それでもできる限り工夫して
そのわずかな「自分の時間」に
めいいっぱいの希望と青春を捧げた。
どんなときも前を見て
キラキラしていて
そんな哲に自然とまわりも引き込まれて
いつのまにかキラキラの大きな渦ができてる。
誰よりも短い青春の中でだって
その中心にいるのはいつも、哲だったんだ。
そして2年生の秋。
3年生が引退し、ようやく自分たちの番になろうとしていたとき
美郷、部活やめるってよ
というわけで
サッカーだけでなくついには進学もあきらめ
母の入院費と妹たちの学費のために
バイト漬けの日々を送る背負いすぎDKが何を隠そうこの物語の主人公
美郷哲なんです!!(バーン)
もう背負いすぎなんで簡単に説明しても
これくらいの尺かかっちゃうんです、はい。
そしてそんな背負いすぎ主人公のために
これまたいろんな意味で背負いすぎ(霊とか)な体温低い系ヒロイン志津が
がんばるんだ・・・!!
これはもう泣く
ラストとか・・・ラストとかもう
これが最終回でいいんじゃないかと思うくらい
胸がいっぱいになりました・・・!
またね、志津がとっても可愛いんです。
ここで言う「志津」は
「中の人」ひっくるめての、志津。
志津自身(本体)は喜怒哀楽が乏しい体温低い系ヒロインなのですが
入れ替わり立ち替わり入ってくる中の人(霊たち)が
それぞれキャラが濃くてにぎやかなのです。
そんな、現時点での憑依レギュラーメンバーがこちら!
ハル(男・無邪気)
みれい(女・魔性)
しのぶ(曽祖父・知的)
カナト(少年・ボクっ子)
これなにがすごいって
たった一人のヒロインの中に
これだけのキャラ属性が入ってるところ。
ドラゴンボールでたとえるなら
悟空の中に、
ベジータとクリリンとブルマとフリーザ様が入っているようなもんなんです!
(なぜドラゴンボールでたとえた・・・)
もう想像しただけでカオスでしょ?
なんだか原因不明の胸ヤケが起きる気しかしない!
でもね、
このマンガはむしろそこが楽しい!
本体の志津が無表情だからこそ
中の人によってコロコロ変わる表情が
すごく生きてくるし、すごく魅力的なんです!
まるで魂の入っていない容れ物に
魂が入るかんじ。
生きている人間に霊がとり憑くと生き生きする
なんて、すごく矛盾してるけれど、
そこがこの作品の不思議な魅力でもあります。
カナトが入ってるときとか、もうね、
無邪気で生命力のかたまりってかんじ。
いつかほんとうの志津がこんなふうに笑えたらなって
願わずにはいられない。
まだ、ほんとうの志津のこんな笑顔は見たことがなくて
だから
カナトの無邪気な笑顔を見ると
読んでるわたしまで、一瞬、
なんだか救われるんだ。
きっと志津だって、こんなふうに笑えるって。
3巻では志津が、かなりかなり、がんばってくれて
まるで赤ちゃんが成長していくような愛らしさと
うれしさでいっぱい!投稿日:2016.04.04
このレビューはネタバレを含みます
哲とお友達になりたいという志津。でも哲は志津のお母さんからお金をもらっているという後ろめたさが生まれてしまう。1.2巻の頃とはうってかわって、哲は中の人たちを怖がるどころか癒されてる。3巻は哲が諦めた…サッカーがメインになってきているような感じ。哲の友達の千尋が出てきて、哲をサッカーの試合に出るように声を掛けてくる。哲が千尋とサッカーを始めたところや、中学時代にサッカーを諦めたこと、高校に入ってから前向きに頑張っていたのに退部届を出したところなどなんか胸が締め付けられるような感覚。切なかった。千尋もなんか秘密があるのかな。妹の涼ともすれ違い。いつのまにか志津にもちゃんと感情が出てくるようになってて、哲が学校の勉強のためにしばらく休むって言った時のショックの受け方とか可愛かった。最後は志津と千尋の計らいで哲を含めてサッカー部引退セレモニー。楽しそうにサッカーする哲も満面の笑みを浮かべる志津も印象的。最後の志津の言葉は恋心って意味で捉えていいのかな。続きを読む
レビューの続きを読む投稿日:2018.03.04
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