- 最新巻
感情教育(下)
フローベール(著)
,太田浩一(訳)
/光文社古典新訳文庫
作品情報
故郷で悶々とした生活を送るなか、フレデリックに思わぬ遺産がころがりこんできた。パリに舞い戻ったフレデリックは愛をうちあけ、ついにアルヌー夫人から媾曳きの約束をとりつけることに成功する。そして、運命のその日、二月革命が勃発するのだった・・・・・・。フローベールがみずからの青春時代に材をもとめ、多彩な登場人物を配して時代の精神史を描こうとした、自伝的作品にして歴史小説の傑作。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 感情教育
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社古典新訳文庫
- 書籍発売日
- 2014.12.01
- Reader Store発売日
- 2015.04.24
- ファイルサイズ
- 4.6MB
- シリーズ情報
- 既刊2巻
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.7 (3件のレビュー)
-
ついに…読み終えてしまった…!めちゃくちゃにおもしろくて、素晴らしい作品…
①ダンブルーズ氏の葬式における描写。
・フローベールの死に対するあっけない滑稽な描きかた。『ボヴァリー夫人』でも死人の扱い…はさっぱり、淡々と扱う。死にゆくまでの肉体的な苦しみは丁寧に描くものの、死そのものに対する厳かな目線はない。
「小石まじりの土がかけられた。これでもう、だれひとりとしてこの男のことなど気にかけないのだろう。」
という文章に見られるように、死んでしまえばおわり、という達観した死生観がみられる。⇔だからこそ、生きている間の滑稽なまでの生にしがみつく動き、がおもしろい
・葬式の「形式」を批判。参列した人はみな葬式のことなんてこれっぽっちもわかっておらず、口ぐちに俗物てきな話ばかりしている。
②フレデリックのアルヌー氏化
フレデリックはアルヌー夫人に恋をし、はじめはそんなアルヌー夫人を妻としてもちながら外で遊び歩いているアルヌー氏を軽蔑している。しかし物語がすすみ、アルヌー夫人と思い通りの関係になれないと、むしゃくしゃして他の女性に手をだしてしまう。
まずフレデリックが手を出すのが、ロザネットだ。ロザネットは、もともとアルヌー氏の愛人だった。フレデリックはアルヌー氏への当てつけの意味もあり、ロザネットと関係を持つ。
その後も故郷のルイーズや、上流階級のダンブルーズ夫人など、さまざまにタイプのちがう女性にあっちへこっちへ気がおもむくままに手を出す。結局、四人の女性の間で身動きが取れなくなるが、フレデリックが最後に出会い、最後まで想いを寄せていた相手はアルヌー夫人であった。これはアルヌー氏も同じである。
しかし決して、フローベールはそんなフレデリックやアルヌー氏を非難しているとは思えない。
「どれほど心を開いたうちあけ話でも、相手にたいする気がね、思いやり、憐憫の情などから、かならず口にだせないことがあるものだ。相手の、もしくは自分の心のなかに懸崖や泥沼を見いだして、それ以上さきへ進むことができなくなる。話したところでとうてい理解してはもらえまいという気持ちになる。どのようなことであれ、それを的確に言いあらわすのは至難のわざだ。人と人との理想的な結びつきがめったに見られないのも、そのためである。」
から見られるように、人と人が一対一で完璧につながり合うことなど不可能であるのだ。フレデリックも、アルヌー夫人に寄せた恋心は本物であるが、相手が既婚者なため理想的な関係にはなれない。ほかの女性でも、ここはよくてもあそこは欠点だというように、完璧に好きになることができない。それが人間関係の当たり前のことだと、フローベールは理解していたのだろう。
それでも、最後にはアルヌー夫人と再度恋心を確認し合う、しかしその時にはアルヌー夫人の白髪をみて、フレデリックは一瞬幻滅してしまう。恋というもののもろさを暴き出し、そして最後にはデローリエとふたり、まだ恋というものを知らなかった、夢見ていたころ、友情こそが第一だったときを思い出して「あのときがいちばんよかった」と語り合うのだった。続きを読む投稿日:2020.02.20
「一瞬、まぼろしがたち現れたのかと思った」
アルヌー夫人との出会いが、強烈に印象深い、まるで時が止まったかのような、一文で描かれている。
私はこの一文が好き。
フレデリックは4人の女性と恋沙汰になる…けど、結局1人だけを愛し続けていたし、人生思うようにならない歯痒さや時代に翻弄される感じが泣けてしまう。
フランス革命、特に二月革命でナポレオン3世が第二共和国時代を立てた時代が、鮮明に描かれている。
後年アルヌー夫人へ愛を語る際、もはや情熱が無いことを意識しながらも自分の言ったことに酔うところも良い。
上巻はルイ・ナポレオンによるパリ大改造前のパリの詳細を描き物語はあまり進展しないのだが、下巻で一気に進み始める。
あっという間に読了してしまった。
フローベールはこの小説を、同じく二月革命を体験した同世代の人達に向けて書いたと言われている。昔のパリを懐かしく思う気持ちもあったろう。(私は衛生的な改造後のパリの方が好ましいけど)
19世紀の小説とは。
フローベールはやっぱり面白い。続きを読む投稿日:2022.02.06
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。