だれがコマドリを殺したのか?
イーデン・フィルポッツ(著)
,武藤崇恵(訳)
/東京創元社
作品情報
医師のノートン・ペラムは、海岸の遊歩道で美貌の女性に出会い、一瞬にして心を奪われた。彼女の名はダイアナ、あだ名は“コマドリ”――。ノートンは、踏みだしかけていた成功への道から外れることを決意し、燃えあがる恋の炎に身を投じる。それが予測不可能な数奇な物語の始まりと知るよしもなく・・・・・・。さながら美麗な万華鏡を覗くかのように、目まぐるしくその姿を変える事件。『赤毛のレドメイン家』の巨匠フィルポッツの魅力が凝縮された、ミステリ史に残る名編が、読みやすい新訳でここによみがえる。この結末に、あなたは驚かずにはいられない!
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商品情報
- シリーズ
- だれがコマドリを殺したのか?
- 著者
- イーデン・フィルポッツ, 武藤崇恵
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 東京創元社
- 書籍発売日
- 2015.03.13
- Reader Store発売日
- 2015.03.27
- ファイルサイズ
- 3.6MB
- ページ数
- 353ページ
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この作品のレビュー
平均 3.9 (21件のレビュー)
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まず小説を読む楽しさがあり、そして最後に…
読み始めてから、半ばあたりまで読み進んだあたりで、これホントに推理小説なの?と思ってしまった。
推理小説の常道として思い浮かぶのは、まず死体があり探偵が登場、関係者が尋問され、さらに謎が深まって…とい…う流れだが、この小説では、探偵は冒頭に登場するもすぐにどこかへ行ってしまう。
その後に延々と続くのは、ある男女(男の方は探偵の友人)の燃えるような恋愛、結婚、失意、そしてその二人を取り巻く人たちの人間模様。よって、ここを楽しめるかどうかがこの作品を好きになれるかどうかの分かれ目になるんじゃないかと思う。僕は大変楽しめました!
後半(ここで初めて登場人物のひとりが死ぬ)に入ると少しミステリっぽくなってきて、読者も真相についてあれこれ思いを巡らせながら読み進むこととなる。ここで前半の丁寧な人物描写が生きてくるんですね。しかもやっと帰ってきた探偵が驚きの真相についてちらちらと仄めかすものだから、読む方はさらに物語の中へと引きこまれてゆく。最後は古典ミステリにもかかわらず展開がまるでアクション映画的。そのまま一気にに頂点に達した後、驚くべき真相が明らかになる。
物語を読む楽しさを満喫しました。ちょっと2時間ドラマみたいでもあった。2時間ドラマ、お好きですか?僕は結構好きです!
続きを読む投稿日:2015.06.12
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だれかはすぐにわかります
ビッグタイトル。何度も翻訳されている、大変著名な作品です。
しかし、実際に読んでみると、題名を見て予想されるのとは、かなり違った作品でした。
(1)誰が殺した?の謎を解く作品ではない
コマド…リとは、女性のあだ名です。姉がミソサザイで、妹がコマドリ。
主人公のノートンを陥れるためにコマドリを殺した「犯人」は、特に秘密ではありません。犯行に至る動機が復讐であることも、明記されています。そこに謎はないのです。
ついでに、マザーグースの有名な歌(漫画『パタリロ!』における『ポーの一族』のパロディ、「クックロビン音頭」でお馴染みですね)に添って、順に事件が起こるわけでもありません。
物語の約3分の2が過ぎた、第12章「反撃大作戦」以降から、ようやく、探偵ニコル・ハートが活躍する、ミステリーとしての本体が始まります。とはいえ、決定的なポイントでは親切なガイドがあり、初心者がぼんやり読んでいても、何が起きているのかは大体わかります。
したがって、謎解きを楽しむ作品ではないのです。
(2)コマドリは恐ろしい人物
コマドリことダイアナは、かわいい小鳥の名で呼ばれていますが、恐ろしく気の強い女性です。このダイアナが、美男で知的で優しく真面目な好青年であっても、断固として目的を達成する意志を欠くノートンと恋に落ち、悲劇が起こります。ノートンの恋敵ベンジャミン卿も、格好良いスポーツマンですが、やはり意志力の面では頼りない人柄です。彼らはダイアナのプライドの高さを見誤り、文字どおり「劇的」な事態を招いてしまうのです。
高いスペックを活かす意志力がないノートンと、期待を裏切られて怒りに燃えるダイアナ、彼らの心の動きが丁寧に描かれている様子が本作の読みどころです。途中で真相がわかったら、もう一度前を読み返して、ダイアナの凄さ、恐ろしさをぜひ堪能してください。男女の仲を引き裂いたのが、最終的には「信頼」の問題であったというのが、哀しいところです。「自分の愛のほうが深いと思っていたんでしょう?」と相手を責めてしまう救いのなさ。ここを許すことができなかったら、幸せにはなれませんよね。
(3)ネリーさんの不思議
ミソサザイこと姉のマイラ以外にも、本作にはもう1人、重要な女性がいます。ノートンを愛し、支えるネリーです。
実は、私は一読目にはこの人物を、主人公にとってあまりに「都合の良い女性」と判断し、軽く見ていましたが、これは不見識でした。
改めてネリーの視点からすべてを見直すと、この人も決しておとぎ話の理想のヒロインではなく、それなりのリアリティを備えたキャラクターだとわかってきました。とはいえ、まだわからないところはあります。とても奥深い、不思議な人物ではないかと思います。
ノートンとダイアナの激しい恋物語を堪能した後は、ぜひ聡明なネリーの静かな愛のお話も楽しんでみてください。
(4)解説もぜひ!
作者フィルポッツは、「ダートムアといったらフィルポッツ」と称された、田園小説の大家だとか。巻末の解説に詳しいですので、ぜひこちらもご確認を。続きを読む投稿日:2017.06.06
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