この作品のレビュー
平均 3.3 (5件のレビュー)
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“「――君たち、残念なことに、大勢はすでに動いてしまっている。途方もない歴史の流れ、どうしようもない区切りはすでに通過してしまったあとなのよ。個人の力で、今さらそれは覆せない。私たちにできるのは、その…大きなうねりのなかで何を為すかということ。変わってしまった舞台で、どのように振る舞うかということ」
鉄格子の向こうで、古頃の校長は静かにつぶやく。
「全力で思考して、全力で行動しなさい。悔いのないようにね。助言はあげないわ……ただ、この場所には長くいないほうがいいとだけ、忠告させてもらう。あんまり迂闊に今や要塞と化したこの古頃にいると巻きこまれるわよ、子供たち」
それから、ついでのように彼女は付け加えた。
「伊依くんはたぶん、無事でいるわ。えぇ、まさか殺さないでしょう――怪造学会にとっても、彼女の存在は希望なのだから。ただ、覚悟はしていて」
謎めいた、不安になるような言葉を添えて。
「次に会ったとき、もしかしたら君たちは彼女を彼女と認識できないかもしれない。空井伊依は間違いなく歴史の巨大なうねりのなかでねじ曲げられる。その歪みをどこまで抑えられるか、どれだけ元に戻せるかは――君たちしだいよ、お友達?」
話は終わりだとばかりに、それだけ一方的に告げると、彼女は魔夜たちに背を向けてしまった。あとには――痛いくらいの静寂のみが残される。”
ヘッケンタール:赤色の服の鼠
オヴリビオン:緑色の服の鼠
クラムクラム:青色の服の鼠
終わりに向けて急速に加速しだした感じ。
魔王の復活に、憤怒大公との約束の成立。
遊はユウキに監禁され、真子は目的を得、次郎花は異常事態。
魔姫と彼女、どちらが本物で複製か。
魔王と総長、どちらが本物で複製か。
戦いはまだ、幕を開けたばかり。
“誇り高き竜の王。
彼はいったい、今、この状況で何を考えているのだろう?
<……嬢ちゃん>
遠く、雲すら突き破りそうな巨体を揺らし、竜王は凄んでくる。
<儂もな、区切りをつけるべきじゃと思うよ……陛下は、長く苦しみすぎた。哀しみも怒りも何もかも、必要以上に先延ばしにされてしまって、腐りきり、全てを滅ぼしてしまいそうじゃ。この嫌な状況を終わらせるために、激流院潮静を潰したるのは儂なら簡単じゃがの……嬢ちゃんと、姫様に会って気が変わったわい>
がっはっは、とやはり豪快に笑う。
<ほんとうに、みんな幸せにしてくれるかい?>
その言葉は、重い。
<儂は壊すことしかできん不器用な竜の親玉よ。儂にできる解決は全て破壊し尽くし焦土にすることのみ……けどなぁ、そんなん嫌じゃろ?儂はなぁ、姫様の泣き声も、魔王陛下の恨み言も、飽き飽きじゃ。つまらん。嬢ちゃん……終わらせてくれるかい?>
(中略)
ゆえにこその、最終兵器――≪独唱第五番<パンドラ・オンリーワン≫
その効果は……。
<虚界は魔王陛下そのもの――ゆえに、姫様に絶対服従な魔王陛下と等しい虚界の全てのものは、姫様には同じく逆らえない。つまり、姫様は虚界の全てのものに絶対命令権を持つのじゃ>
絶対命令権。
虚界の全てのものに対する、強制的な支配権。
ゆえにこその――最終兵器!
<魔王陛下の命令よりも優先される絶対命令権。それを用いて嬢ちゃんが何をするかは嬢ちゃんの自由じゃ。もちろん姫様が望まない命令はできぬが、嬢ちゃんならそんな命令はださんとわかっとる。よく考えて、その権利……使いこなしてみせい>”続きを読む投稿日:2010.06.18
まさか虚界の創世記がここで明かされるとは・・・結局は愛でしょ?????っていうひひひ節は健在。
憤怒大公すきだからこれで出番一段落かと思うとちょっと寂しいな・・・。
登場人物多いひひひ作品のドロドロ人…間関係好き。続きを読む投稿日:2020.04.25
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