この作品のレビュー
平均 3.9 (70件のレビュー)
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妻子にひどく嫌われてしまった経験があり、その状況がずっと続いている哲学者の著者。生い立ちもかなり大変だったよう。そういった経験をした著者だからこそ書けたのだろうと納得の一冊だった。どこかで聞いたこと…のある話、ではなく、著者の考えた完全オリジナルの話、と感じた。〔人を好きになる事と同様、人を嫌いになることの自然性にしっかり目を向けよう〕と呼びかけ、〈嫌い〉の段階や原因を考察している。
部分的に抜き出すと、とても誤解を受けやすい内容だと思うので、安易に紹介するのは怖い一冊だ。なので、気になったり引っかかったりした方は是非通読してみて欲しい。私も途中まで、人を嫌うことをこんなに肯定してどうするんだ?嫌いにまみれたら辛いではないか、と居心地が悪くなり、自分の中にある〈嫌い〉の感情を余計に情けなく思ったりしたが、終盤になると靄が晴れた。
〈嫌い〉の原因について八つ書かれている中で、(一)相手が自分の期待に応えてくれないこと(四)相手に対する軽蔑 が特に興味深かった。
(一)のカテゴリーより
○善人とは(他人と感情を共有したい人)のことです。(略)しかし、ここにとどまりません。彼ら(近い他人)も同じように自分を気にかけてもらいたい。期待してもらいたい。(略)ですから善人とは嫌いに向き合わない人といえます。
この人種には大きく二通りある。一つは自分はいつも善意の被害者であり、相手がいつも加害者であるという人。自分の加害性に全く盲目なのです。こういう善人は常に愚痴ばっかり言っている。(略)
もう一つのタイプは、全て他人は善人だとみなす人。すべての人を好きになるべきだと考えている人。(略)
両者とも、自分と相手との対立を正確に測定しない。
こうした善人たちは、この国では猛威を振っていて、それに抵抗する事はまずできない。(略)
私があえて本書で試みているのは、こうした日本人の体内に染み込んだ幻想をわずかでも打ち砕こうというささやかな抵抗です。79
そして、終わりに近づくと、著者が、自分が経験したように〈嫌い〉にがんじがらめになっている人を心から助けたい、自分が楽になった方法を教えてあげたいと思っていることが伝わってきます。ここがとても私にとって助けになりました。
○自分を含めて人間一般が嫌いというタイプが、難攻不落の城のように堅固な構造している。ここで嫌いの発展段階は行き止まりであって、死ぬまでこの城の中で暮らすほかはない。「それでいい」と言う人に何も言う事はありませんが、老婆心ながら付言しますと、こうした城の中に住んでおりますと、本人でも気づかないうちに、肉体的にも精神的にもやせ細ってきて、抵抗力がなくなり、干からびてくる。そのまま仙人のように死ねば良いのですが、どうも凡人にとっては少し無理があり、あまりお勧めできません。私は、こうした城を築いた人に、あえてもう一度娑婆に、、ただし「半分だけ」引き戻してはどうかと提案したい。こうした城を改築して、適当に敵がなだれ込み、戦闘状態を繰り返すような安手の城に生きる方が、凡人にとってはハリのある豊かな人生だと思うのです。177
○リルケは人生を(重く取る)ことを提唱しています。重く取るというのは、真の重さに従って受け取ること以外に他意はありません。物事を疑いや運や、偶然で測るのではなく、心の重量で測ろうとする試みです。この世に存在することに対するどんなに無限の同意であり、賛同であることでしょう。 196
この方の考え方、よくよく読むと結構好きでした。「嘘がない」ということが、私のような人間嫌いな人が、人に対しても自分に対しても欲している特に重要なことで、著者の言い分も、勧めていることも、嘘がないからだと思う。続きを読む投稿日:2023.09.01
メモ→ https://x.com/nobushiromasaki/status/1774994482632827165?s=46&t=z75bb9jRqQkzTbvnO6hSdw
投稿日:2024.04.02
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