永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編
カント(著)
,中山元(訳)
/光文社古典新訳文庫
作品情報
カントが普通の言葉で語り始めた! 本書で繰り返し説くのは、自分の頭で考えることの困難と重要性。「永遠平和のために」は常備軍の廃止、国際連合の設立を唱え、「啓蒙とは何か」は、他人の意見をあたかも自分のもののように思いこむ弊害を指摘している。他に「世界市民という視点からみた普遍史の理念」「人類の歴史の憶測的な起源」「万物の終焉」を収録。現在でも輝きを失わないカントの現実的な問題意識に貫かれた論文集。
もっとみる
商品情報
- シリーズ
- 永遠平和のために/啓蒙とは何か 他3編
- 出版社
- 光文社
- 掲載誌・レーベル
- 光文社古典新訳文庫
- 書籍発売日
- 2006.09.01
- Reader Store発売日
- 2013.12.20
- ファイルサイズ
- 0.4MB
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 3.8 (41件のレビュー)
-
イマヌエル・カント(1724~1804年)は、プロイセン王国に生まれ、『純粋理性批判』、『実践理性批判』、『判断力批判』の三批判書を発表し、認識論における所謂「コペルニクス的転回」をもたらした。ヘーゲ…ルへと続くドイツ古典主義哲学(ドイツ観念論哲学)の祖とされ、彼による超越論哲学の枠組みは、以後の西洋哲学全体に強い影響を及ぼしている。
本書には、カントの政治哲学、歴史哲学に関連した重要な論考である、「啓蒙とは何か」、「永遠平和にために」のほか、「世界市民という視点からみた普遍史の理念」、「人類の歴史の憶測的な起源」、「万物の終焉」が収められている。
「啓蒙とは何か」のエッセンスは、冒頭の一段落に集約されている。「啓蒙とは何か。それは人間が、みずから招いた未成年の状態から抜けでることだ。未成年の状態とは、他人の指示を仰がなければ自分の理性を使うことができないということである。人間が未成年の状態にあるのは、理性がないからではなく、他人の指示を仰がないと、自分の理性を使う決意も勇気ももてないからなのだ。だから人間はみずからの責任において、未成年の状態にとどまっていることになる。こうして啓蒙の標語とでもいうものがあるとすれば、それは「知る勇気をもて」だ。すなわち「自分の理性を使う勇気をもて」ということだ。」
本稿が発表されたのは1784年、近世から近代の転換点と言われるフランス革命(1789年)の直前で、「啓蒙」という概念がイギリス、フランスからプロイセンに入ってきて、一般市民にも教育の関心が高まってきた時代で、その時代の要請に応える形で書かれたと言える。しかし、それから2世紀以上を経た現在、我々は「自分の理性を使う勇気」を持ち得たのだろうか? 第二次大戦のファシズムは言うに及ばず、現在世界を席巻するポピュリズムも、「自分の理性を使う勇気」を放棄した結果の現象なのではないだろうか。。。今こそ読み返す価値のある短著である。
また、「永遠平和のために」は1795年に発表された。同年はフランスとプロイセンがバーゼルの和約を締結した年であるが、同和約は将来の戦争を防止するものではなく、戦争の戦果を調整する一時的な講和条約に過ぎず、こうした条約では永遠平和の樹立はできないと考え、カントには永遠平和の実現のための具体的な計画を示す必要があった。
そして本稿では、永遠平和を実現するための予備条項と確定条項が示されている。予備条約では、①将来の戦争の原因を含む平和条約、②継承・交換・売却・贈与等による国家の所有、③常備軍、④国家間の紛争を理由とした国債の発行、➄他国に対する暴力による内政干渉、⑥相互信頼を不可能にするような敵対行為、を禁止するとしている。また、確定条項では、平和の条件として、①各国の政治体制が共和的なものであること、②国際法は自由な国家の連合が基礎となること、③世界市民法は普遍的な歓待の条件に制限されるべきこと、が定められている。
しかし、カントは、永遠平和の実現は容易ではないとし、本書を「公法の状態を実現することは義務であり、同時に根拠のある希望でもある。これが実現されるのが、たとえ無限に遠い将来のことであり、その実現に向けてたえず進んでいくだけとしてもである。だから永遠平和は、これまでは誤って平和条約と呼ばれてきたものの後につづくものではないし(これはたんなる戦争の休止にすぎない)、たんなる空虚な理念でもなく、実現すべき課題である。この課題が次第に実現され、つねにその目標に近づいてゆくこと、そして進歩を実現するために必要な時間がますます短縮されることを期待したい。」と結んでいる。第二次世界大戦の後、(現代しか知らない我々には)未来永劫続くとさえ思われた東西冷戦は20世紀末に終結したが、その後の世界は、文明・宗教間の衝突の渦の中におり、解決は到底不可能なようにも思える。しかし、「永遠平和」は、カントの言うように、義務であり、根拠のある希望であり、実現すべき課題であり、人類として諦めることは許されないのだ。
今こそ、18世紀にカントが希求した啓蒙への夢とヨーロッパ的な共和国(=永遠平和)への夢を、改めて考えるべきときなのだと思う。
(2019年12月了)続きを読む投稿日:2019.12.27
本書が国際連合の理論的根拠にされているのは有名だ。
その骨子は、永遠平和を実現するための6つの予備条項と3原則を柱としている。
本書を手にとって把握できたのはそれくらいのもので「100分de名著」な…どの入門紹介本でもそれくらいのことはしっかり解説されている。
つまり結論としては、「問い」を用意していたり、筆者や本の主張に「特別な関心」を持っていない場合においては、数十年以上前の名著については要約された入門書で十分だと思った。続きを読む投稿日:2023.01.20
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。