メメント
森達也(著)
/実業之日本社文庫
この作品のレビュー
平均 4.2 (5件のレビュー)
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「読んでて『もやもや』するので、一度読んでみてください」
ひどくもやもやする。
それが本書を読み終えての、率直な感想だ。
読んだ人全てが同じとは言わないけれど、けど多くの人が、自分と同じく「もやもやしたもの」を感じるんじゃないかと思う。
『~だからタバコな…んて吸うべきじゃない。それはもう当たり前。でも十代後半なら吸ってもよい。いや吸ってほしい。吸いながら自分は今規則を破っていると実感してほしい。~』
『~そもそも被害者が「明るい人だったこと」とか「挨拶をきちんとする女の子だったこと」など、僕は本当に知りたいのだろうか?~』
『~画面だけを消してラジオと比較すれば、テレビのうるささがよくわかる。音の媒体であるはずのラジオのほうが、映像の媒体であるテレビよりずっと静かだ。~』
自分が「当たり前」だと思っていたこと。
特に何も考えずに、受け入れていたこと。
思い込みや固定観念。
そういったものに突然疑問符を付けられてしまうから、もやもやする。
疑問を提示されて、考えざるを得なくて、それでもすっきりとした解答にたどり着けなくて、ひどくもやもやする。
それこそ日常的、身近なことから、普段の生活の中で殆ど考えてこなかったようなことまで。
広く、多岐にわたり、もやもやさせられる。
強い口調で、断定的に書かれた本のほうが、読むほうとしては気分がいいのかも知れない。
読んでいて、楽かも知れない。
すんなり首肯できる本のほうが、読後感もすっきりするだろう。
けれど自分は、この本から与えられた「もやもや」のほうが、好ましい。
世の中のことを、自分なりに考えて生きていこうと思わされる。
だから自分は、あまり適切ではないかも知れないけれど、そのままの言葉で薦めたいと思う。続きを読む投稿日:2013.10.15
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オウム真理教のドキュメンタリ映画『A』、『A2』を撮ったドキュメンタリ映画監督森さんの連載エッセイ集。
タイトルは"メメント・モリ"="死を想う"、から取っている。だったら『メメント・モリ』にしてし…まえばいいんじゃないかと思うが、「モリ=森」なので、何かを掛けているのではと思われることがいやだったんだろうか。藤原新也の有名な著書名とかぶるし、「メメント」~ 想う、だけでいいのだとの説明があるが、それだけではないだろう。繊細だけれども、強情な森さんらしい選択なのかもしれない。もちろん会ったことないのでわからないけど。
「(死を)想う」とのタイトル通り、「死」を巡る多くの体験と思索が綴られている。それは、ペットの死であったり、取材対象の放送禁止歌の歌手の死であったり、昔自殺した友人の死であったり、死刑囚の死であったり、入院患者の死であったり、日々のTVニュースにおける死であったり、宇宙の死であったり、粘菌の死であったり、細胞の死であったり、北朝鮮拉致被害者の死であったり、サリン事件被害者の死であったり、ホロコーストの死であったり、震災下の死であったり、そして父の死であったり。そう思うと、実のところ死はありふれていて、私たちの周りに溢れている。
メディア批判は相変わらず手厳しい。事実と記憶の多面性や、(悪意ではなく)善意こそが徹底的に人を残酷にさせるといった主張など、他の本で提示されたテーマもしつこく繰り返されている。売れるべき『A3』が売れなかったことへの悔しさと恨みごとも、また出てきている。いいと思う。
連載物なので、ときにまとまりなくテーマも揺らぐが、最後『われわれはどこからきたのか、われわれはなにものか、われわれはどこへいくのか』というポール・ゴーギャンの有名な言葉で締める、これを読む読者にも少し考えてほしいなあという森さんの期待が透けるエッセイ集。よいですよ。続きを読む投稿日:2014.08.24
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