挑発する少女小説
斎藤美奈子(著)
/河出文庫
作品情報
若草物語、赤毛のアン、あしながおじさん……大人になって読む少女小説は、発見に満ちている。かつて夢中になった人にも、まったく読んだことがない人にも。あの名作はいま、何を教えてくれるのか?
魔法使いと決別すること――バーネット『小公女』
男の子になりたいと思うこと――オルコット『若草物語』
資本主義社会で生きること――シュピーリ『ハイジ』
女の子らしさを肯定すること――モンゴメリ『赤毛のアン』
自分の部屋を持つこと――ウェブスター『あしながおじさん』
健康を取り戻すこと――バーネット『秘密の花園』
制約を乗りこえること――ワイルダー『大草原の小さな家』シリーズ
冒険に踏み出すこと――ケストナー『ふたりのロッテ』
常識を逸脱すること――リンドグレーン『長くつ下のピッピ』
かつて夢中で読んだ人も、まったく読んだことがない人も。
いまあらためて知る、戦う少女たちの物語。
解説:恩田陸
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商品情報
- シリーズ
- 挑発する少女小説
- 著者
- 斎藤美奈子
- 出版社
- 河出書房新社
- 掲載誌・レーベル
- 河出文庫
- 書籍発売日
- 2024.04.08
- Reader Store発売日
- 2024.06.14
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 272ページ
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この作品のレビュー
平均 5.0 (1件のレビュー)
-
子どものころ夢中になって読んだあの少女小説の古典を大人になってから読み返すと何が見えてくるか。家庭的な女性を求める時代の要請に応えながらも反抗心を持ち続け、挑発することをやめなかった少女小説を再評価す…る。
本書で取り上げられている少女小説は超古典的なラインナップなのだが、私は昔からファンタジー派だったので『若草物語』と『赤毛のアン』と『あしながおじさん』しか読んだことがない。たぶん同世代で子どものころから本が好きという人でも、全部読んでる人は稀な気がするなぁ。
とはいえ読んだ作品はやっぱり特別な存在になっていて、なかでも私はアンが好きだった。アンに倣って樹に名前をつけたりクランペットを焼いてお茶会をしたし、夜に蝋燭の灯りでダイアナに暗号を送るやつをやりたかった(笑)。ドラマの「アンという名の少女」も見たし、結婚しない生き方を選んだマリラとマシュウにシンパシーを感じるようになった。
だから本書で『赤毛のアン』とは、「男の子になりたい」と願う『若草物語』のジョーとは真逆の「女の子らしさを否定しない」という思想の小説なのだと言われたとき、そしてマシュウの「12人の男の子よりお前がいいよ」「奨学金をとったのは男の子じゃなくて女の子だったじゃないかね」という台詞をあらためて読んだとき、自然と涙がでてきた。普段着はいつもズボンだったけどバレエの発表会で着る衣装も大好きだった子どものころの気持ちを、この小説が受け止めてくれていたのだと気づいた。「ふくらんだ袖を肯定する思想」というフレーズがまた憎い。
とにかく最初から最後まで斎藤美奈子節が炸裂していて、フェミニズム的な観点からそれぞれの少女観・家庭観・男女観などにバサバサ切り込んでいく。「おとぎ話の王子ってものは、親の威光で食ってるくせに女を容姿で判断するような男ばかりです」が最高。語りがあまりに面白いので今まで少女小説に触れてこなかった人もどれかは読んでみる気になると思う。私は『ふたりのロッテ』が気になった。この本で取り上げられているなかでは唯一男性作者のケストナーによる、離婚と子どもの関係を描いた小説。
古典的な少女小説にはセオリーがあり、型がある。それは子どもの親が気に入らないと買ってもらえないということで、そのために自由と平等を求めたはずの少女たちが最終的には保守的な家庭観に収まっていってしまうことも多い。けれど本当は行間からずっと挑発し続けているのだ、と斎藤さんは言う。結婚をハッピーエンドとして描く作品だって、一旦はそこからはみだした生き方を魅力的にみせることで少女たちに脱線を促していたのだと。だからこそ、その目配せを読み取った少女たちに読み継がれてきたのだと。
そしてこの読みこそが〈少女小説を愛したかつての自分〉を肯定するために斎藤さんが行間を繋ぎ合わせて作りだしたものなのだ。そこがさらりと語られる「あとがき」が最高。子どものころ好きだったものを「本当はくだらないものだった」で終わらせずに大人になった自分の力で掬い上げる。魂の批評だ。続きを読む投稿日:2024.04.14
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