失楽園のイヴ
藤本ひとみ(著)
/講談社文庫
作品情報
イヴの異称を名前に持つ女、上田絵羽。絵羽はある野望をもち、日本国内の超進学校に潜り込む。そこには数学の天才児・上杉和典が在籍していた。絵羽は己の目的を達成するために、自分が目を付けた優秀な人間に扇情的な言葉を投げかける。絵羽からの荒唐無稽な要望に強い拒絶感を感じる一方で、強く惹かれる和典。しかしその裏に見え隠れする、得体の知れない闇に危険を感じ、それが何なのかを探り始める。
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商品情報
- シリーズ
- 失楽園のイヴ
- 著者
- 藤本ひとみ
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2022.10.14
- Reader Store発売日
- 2022.10.14
- ファイルサイズ
- 3.7MB
- ページ数
- 352ページ
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この作品のレビュー
平均 2.0 (2件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
女性のことを見下している厭な奴。それが主人公の第一印象でした。
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けれど読み進めていくと、お母さまとの問題がかなり大きいことがわかり、親近感を抱きました。
その問題をどう解決するのかと期待していたら……「え? それだけのことばで解決してしまうの?」とびっくりしました。正直、彼女のことばは、わたしには一切響きませんでした。
親と子は、どうしても、対等な立場にはなれません。大人がどんなきれいごとを並べようとも、子どものほうが弱い立場になります。
それを……悪い言い方をすれば、利用している感じがして厭でした。言いたいことはわからなくもないけれど、じゃあ、それで子どもの心身がしんでも構わないのですか? と思ってしまいます。
子どもたちは、従順な奴隷ではありません。人形でもありません。
家族関係は個人的に地雷ですね……。
あと気になったのは、後半の登場人物たちの動きや発言。
※ごめんなさい、以下ネタバレになる可能性があります。
「この人はなかなかしゃべってくれないだろう、さてどうしようか……」と主人公が構えていたにも関わらず、頭が良さそうという描写があるにも関わらず、初対面の男性(主人公)にベラベラと個人的な情報をとある女性がしゃべっていて、本当にびっくりしました。いくら若い男の子(とは言え高校生)でも、女性が簡単に家の中に入れますか……? 女友達のことを本人の許可なく伝えますか?
主人公のことばを省略しているだけなのかもしれないですけれど……読者としては、主人公が全然しゃべっていないのに、主人公が必要としていることを彼女はどんどん話しているように感じました。
まぁ、海外まで行くなら、ご都合展開があるのは想像できますけれども。あまりにも、急に話すのでびっくりしちゃいます。
それから、別の女性……。
あらゆる男性の心を掴むのが巧いとのことでしたけれど、単純なミスというか……幼稚な恋心というか……詰めの甘さというか……。そんなことします? って思ってしまいました。
人さまのご趣味に対してとやかく言う権利はないのですけれど、正直、引きました。女子高生ですか?
ハート……? いや、まぁ、いいですけれど……。
人は年齢ではないですけれども。いろんな方がいていいのですけれども。「30代の大人の女性」の描き方が、一気に変わってしまって、ついていけませんでした……。
p.293
“何かを決意した女を変えるような強い力を持っているのは、恋だけよ。”
に関しては、恋愛脳の方なのですねえ……と感じました。
その割に、男性の描写傾向がほぼ一定。「男は下半身で生きている」と言わんばかりの、行動源が基本女性になっている男性たち……。
恋愛を中心に生きてもいいと思いますけれど、それならもっと男性たちを、人間のあらゆる面と向き合ってほしいなぁと謎目線で思っちゃいます。これは小説を通り越して作者の女性に対しての考えなので、嫌な読者になってしまって本当に申し訳ないのですけれど。
気になるところはありつつも、読み切ることはできたので、読者を留める文章力は一定以上あると感じました。細かいことは気にせず、さらっと読むタイプの読者には良いかもしれません。
(以下、読みながら綴った感想)
2022/10/29 p.7-16
p.7
“知恵の実は、東ヨーロッパにおいては葡萄だった。葡萄からワインを造った最初の人物はノア。方舟に乗ったノアが大洪水を生き延び、アララット山の麓(ふもと)で葡萄からワインを造ったとされている。”
へぇ……! りんごのイメージしかありませんでした。
そういえば、生き延びたあとのノアのこと、知りませんでした。
p.9
“紋章学を齧(かじ)った人間なら”
そういう学問があるのですか。気になります。
p.12
“「アダムの女」”
イヴのことを、そう呼ぶ人ってなかなかいないのでは……。
2022/12/31 p.16-146
p.16
“ただの女だろうが。”
p.17
“アダムが騙(だま)されたのは、ああいうタイプだったのかもな。”
女性を見下しておきながら、女性の魅力に負けているこの方が苦手です。あまり共感できないかもしれません。
p.18
“他人に必要とされる喜びを噛みしめた。”
それは、とてもとても、嬉しいことですね。
p.21
“和典を倦怠の海に沈ませている元凶は、母といえなくもなかった。”
女性に対する嫌悪感って、これが原因なのでしょうか。
p.21
“親との関係は一生、切れないのだ。”
法的に切れなくとも、距離を置くことはできます。
p.37
“母は支配的だった。心の中まで手を差し入れてきて、いくつもの杭を打ちこんでいく。それを抜き、傷痕を癒やすのに精一杯で、自分が本当は何を目指したいのか、何になればいいのか、まだ見つけられずにいた。”
先ほど、この方に共感できないと思ったのですけれど、このあたりはとても共感できます。つらいです。
p.145
“たとえ保護者のルールが間違っていても、理屈に合わなくても、逆らう資格なんかない。保護されている立場で、権利を主張するのは間違いよ。”
いいえ、それは違います。意見が合いませんね。
2023/01/01 p.146-218
p.187
“断わりに行こう。”
わざわざ行く時点でもう堕ちていますね。
p.218
“以前に何度か親に連れられてしていたが、”
親御さんはお金持ちだと伝わってきます……。海外旅行に何度も行けるなんて……。
けれど、その豊かさが、イコールで彼のしあわせにつながっているのかはまた別の問題です。こういった一部の要素だけで恵まれているじゃないか、と言う人もいますけれど。感じ方は人それぞれ。
2023/01/03 p.219-222
2023/01/04 p.222-226
2023/01/08 p.226-349
p.231
“上田絵羽よ。”
知らない男性に、勝手にフルネームを教えるでしょうか?
p.231
“神戸の古いワイナリーの一人娘でね、”
知らない男性に、勝手に個人情報をベラベラしゃべるでしょうか? あまりにも警戒心がなさすぎでは?
p.274
“過去を乗り越えようと足掻くより、別の目標に向かって出発した方がいいと思うの。”
p.275
“自分が作り上げた現在の力で過去を拭い去る方が、幸せに近づけるような気がする。”
乗り越えるのではなくて……塗り替える、とか、そういう意味なのでしょうか。
拭い去る……。それは、過去を否定することとは違うのでしょうか。
希望を感じるような、そうではないような……。
p.293
“何かを決意した女を変えるような強い力を持っているのは、恋だけよ。”
えぇ……それを言い切ってしまうの……。
p.293
“新しい人生を始めさせる。”
人をコントロールできると思ってしまっているところが、ダメですね。
p.294
“それこそが絵羽の幸せであり、自分の満足でもあるのだ。”
えぇ……自己満足だと自覚しているのに、ご自分の考えを押し付けるのですか?
p.297
“かなり立派な羊だぞ、喜べよ。”
ご自分で立派って言ってしまうのは、なかなかですねえ。
p.322
“「マジか」”
何か大きなことが起きたらいいなぁと思っていたら、この方向でしたか……。それは予想外。
p.325
“僕はもう子供じゃありません”
このことばって、子どもほど言いません……?投稿日:2023.01.09
中学時代夢中になって読んだ藤本ひとみさんの「シャルルシリーズ」を思い出し、懐かしさもあってお正月読書の一冊に選びました。あたりまえのことだけど、趣味も趣向も変わってきたので、正直読破するのは忍耐がいり…ました(笑)ただ、読んでいる間、若き日のドキドキしながら読書に夢中になっていた自分を幾度となく感じることはできたかな。続きを読む
投稿日:2023.01.04
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