言葉の展望台
三木那由他(著)
/講談社
作品情報
いま、あなたとの会話で起きたことは、いったい何だろう?
マンスプレイニング、コミュニケーション的暴力、会話の引き出し、言語的なポリティクス、アイデンティティと一人称、人々をつなげる言葉、誠実な謝罪と不誠実な謝罪……。難しくて切実で面白い「言葉とコミュニケーション」を、「哲学」と「私」のあいだのリアルな言葉で綴るエッセイ。
【目次】
プロローグ コミュニケーション的暴力としての、意味の占有
そういうわけなので、呼ばなくても構いません
ちょっとした言葉に透けて見えるもの
張り紙の駆け引き、そしてマンスプレイニング
言葉の空白地帯
すだちかレモンか
哲学と私のあいだで
会話の引き出し
「私」のいない言葉
心にない言葉
大きな傘の下で会いましょう
謝罪の懐疑論
ブラックホールと扉
もっとみる
商品情報
以下の製品には非対応です
この作品のレビュー
平均 4.1 (25件のレビュー)
-
言葉の持つ両義性(どころが多義性)は私も好物なので、イルカさんや地球っこさんのレビューで知らさせれて本書を手に取った。
1番読み応えあったのはプロローグ「コミニュケーション的暴力としての意味の占有」…なのだけど、それは地球っこさんが紹介しているので、その他の「気づき」について書く。
私が言葉に敏感になるのは、多くは二つの場面。ひとつは、政治的言語である。もうひとつは、映画や小説で使われる言葉である。
政治的言語から。
吉村大阪知事の「ガラスの天井」誤用発言。政治的公の場でのLGBTQ+の人々への差別発言。誠実な謝罪とはどういうものか?等の考察が興味深い。
多くの場合、「公」は力的には私たちよりも上だ。認識のすれ違いも、影響力があることから問題を発生させる。
ビックリしたのは、トランスジェンダーの著者が、差別発言の正否もわかり、経験も積んでいるのに、それについて考え始めた途端に帰りの電車で涙ぐんでしまったということである。慣れたはずなのに、シュミレートすると過去の辛さが蘇ってしまい、子供の様に泣いてしまったらしい。差別発言のもたらす影響に、まだ私は想像力が不足しているのかもしれない。
「誠実な謝罪」だとわかるのは、ホントにつくづく難しい。いや、政治家の謝罪はわかりやすいですよ。彼らの謝罪は悉く誠実ではない、という意味ではわかりやすい。でも例えば(最近のニュースを観て)子供を死なせてしまった母親の裁判所での謝罪というのは、非常にわかりにくかった。
是非とも三木さんに、安倍語録のひとつひとつを、哲学的に分析して、一つの本をとして公刊してもらいたい。きっと売れると思う。
「マンスプレイニング」という哲学用語も紹介される。私的に訳せば「マウント取り」。相手が無知であるということを前提として話される説明、とのことだが、私の作品批評がそれにならないだろうか?と自問する。私は作品は政治的発言と同じ公のものだと思っているから、陰口と違って作者が目の前にいなくても悪口は言えると思っている。辛口に批判する時には必ず根拠を上げてするようにしている。でも、そういう批判をすると、離れていく人もいるようだ。私は一方的に批判しているつもりはない。聞いている人に反論してもらいたいと思っている。でも、そもそも相手がそれを言えないような空気感を感じていたら‥‥等々いろいろ考えた。
ドラマの台詞として。
あるドラマの台詞のやりとりを著者は例示する。2人は、実は言葉と気持ちは正反対のことを言い合っている、という例である。数日前、映画「キングメーカー大統領を作った男」で、全く同じような台詞のやりとりがあったのを観た。わかりやすく書こうと思ったけど、重大なネタバレになるので省略します。ともかく、これこそ映画だと思った。(俳優の演技力は必要だけれども)気持ちとは裏腹の台詞のやりとりがあった方が、間違いなく名作に近づくだろう。
反対に全く同じ台詞を繰り返すのに、毎回意味が違うということも起こるという。この前「ちょこっと京都に住んでみた」というドラマ(木村文乃主演Amazonプライム)を観た時に、近藤正臣が「知らんけど」という台詞を毎回言うのだけど、意味が少しづつズレていった。
言葉は言葉だけでは伝わらない。
力関係、場面設定、それぞれの歴史、等々が関係する。
著者は、本書の中で、まるで時代劇の決め台詞のように「仮にも言語とコミニュケーションの哲学者を名乗る身だ」と言って、哲学的意見を開陳する。そして、‥‥ここをもっと深掘りすれば、現代の哲学界に新しい光を当てられるかもしれない、というような意味のことをしばしば書いている。実は、それが正直鬱陶しかった。一般読者を対象にするエッセイとしては、そういう哲学者としての野心は、少なくとも私には要らない。‥‥最後だけ辛口にしてみました。続きを読む投稿日:2022.09.14
エッセイから分析哲学への接続がきれいでとても読みやすい 筆者の個人的な話を交えながら、するりとコミュニケーション論について考えを巡らすことが出来てよい
投稿日:2024.04.12
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。