この作品のレビュー
平均 3.5 (50件のレビュー)
-
うららかな春の日。
今日は入学式。
そんな日に読み始めた『改良』
びっくりした。
最初からめっちゃエロい。
朝の通勤電車内。
どうしようかと思っちゃった。
しかしである。
その描写を「エロ」と捉えた…自分の想像力に、なんとも苦々しいものを覚えて、最後まで心の器からドロドロとあっつい何かが溢れるのを止められなかったし、それを見逃すことができなかった。
P29「どうして女性と男性とで、かくあるべきという姿が違うのだろう?女性は毛を剃るべきで、男性はそのままにしておくべきだと、そんなことをいったいどこの誰が決めたのだろう?」
例えば、エコバックを持ち歩くこと、お弁当を持っていくこと。
それらを「女子力」と括る人がいる。
別にいい、分かりやすいし。
だけどそれって女性だけがすることなんだろうか。
男性がエコバックを持ち歩いてもお弁当を作ってもいいではないか。それは「女子力」なんだろうか。それは生活そのものなのではないか。男性だって女性だって生活をしているはずだ。しかし、未だに生活を匂わせる部分においては「女子力」と括りがちである。
男は男らしく、女は女らしく?
美しくある男は女々しい?
美しいことは男らしくない?
男が美しくありたいと思うことは、ダメなことなの?
遠野遥さんの『改良』。こちらがデビュー作だ。
芥川賞を受賞した『破局』ではあまり理解できなかったこの虚無感というか、頭の中の言葉が全部溢れて文字にされてる感じがちょっとだけ疲れた脳みそには心地よい。
いつの間にか癖になっている自分がいる。
淡々と、主観的でありつつ客観的でもあるような彼の目線と口調で進む物語と、時折挟まれる主人公の口調の不一致に戸惑う。
中性的な性別の語りから、急に男が顔をのぞかせるような。
それはまるで、彼が美しくあるためにメイクや服で隠しても、どこかで「男」が顔を出しているような状況と似ている。
隠しきれない性別。それに付随する偏見、らしさの押しつけ。
だけど、彼は美しくありたいだけで、娼婦になりたいわけでも、男とセックスがしたいわけでもない。
ただ美しくありたくて、女の子とセックスがしたいのだ。
「男らしさ」「女らしさ」という鉄槌で、彼を傷つける人たち。
極端な描き方をしているけれど、わたしたち、ふだんからやってませんか?
平野さんの小難しい解説もよかった。
従属することや規範意識、『破局』との共通点もかなりあったし、これから先の作品にも「便座の蓋が上がっていることに嫌悪感を示す」描写は続いていくのか、それが楽しみになってくる。
最新作『教育』も漢字二文字で構成されているし、このままでずっといくのだろうか。便座の蓋の話は出てくるのだろうか。
ああ、やっぱり。なんだか癖になっている。続きを読む投稿日:2022.04.24
このレビューはネタバレを含みます
短くて、話も淡々と進んでいくため一気読みしてしまった。とても面白かった。以前、『破局』を読んだがそれと同じようにですます調で話が進んでいったため、主人公の実際の喋り方とかなり異なり、すこし違和感を覚え…
レビューの続きを読む
た。
つくねの「ブスじゃなかったらする必要なかったんじゃないかって」という言葉は重く響いた。私も日本で暮らしていてルッキズムに支配された国だと感じたことは何度かある。ブスだということが、悪であるかのように思えるこの国は異常だと感じた。
最後、主人公が強姦まがいのことをされるシーンは、グロテスクだった。なぜあのナンパしてきた男はあそこまで怒っていたのかもわからないし、執着したのかもわからなかった。続きを読む投稿日:2024.02.24
新刊自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
※新刊自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新号を含め、既刊の号は含まれません。ご契約はページ右の「新刊自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される「増刊号」「特別号」等も、自動購入の対象に含まれますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると新刊自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約・新刊自動購入設定」より、随時解約可能です続巻自動購入は、今後配信となるシリーズの最新刊を毎号自動的にお届けするサービスです。
- ・発売と同時にすぐにお手元のデバイスに追加!
- ・買い逃すことがありません!
- ・いつでも解約ができるから安心!
- ・優待ポイントが2倍になるおトクなキャンペーン実施中!
※続巻自動購入の対象となるコンテンツは、次回配信分からとなります。現在発売中の最新巻を含め、既刊の巻は含まれません。ご契約はページ右の「続巻自動購入を始める」からお手続きください。
※ご契約をいただくと、このシリーズのコンテンツを配信する都度、毎回決済となります。配信されるコンテンツによって発売日・金額が異なる場合があります。ご契約中は自動的に販売を継続します。
不定期に刊行される特別号等も自動購入の対象に含まれる場合がありますのでご了承ください。(シリーズ名が異なるものは対象となりません)
※再開の見込みの立たない休刊、廃刊、出版社やReader Store側の事由で契約を終了させていただくことがあります。
※My Sony IDを削除すると続巻自動購入は解約となります。
お支払方法:クレジットカードのみ
解約方法:マイページの「予約自動購入設定」より、随時解約可能ですReader Store BOOK GIFT とは
ご家族、ご友人などに電子書籍をギフトとしてプレゼントすることができる機能です。
贈りたい本を「プレゼントする」のボタンからご購入頂き、お受け取り用のリンクをメールなどでお知らせするだけでOK!
ぜひお誕生日のお祝いや、おすすめしたい本をプレゼントしてみてください。※ギフトのお受け取り期限はご購入後6ヶ月となります。お受け取りされないまま期限を過ぎた場合、お受け取りや払い戻しはできませんのでご注意ください。
※お受け取りになる方がすでに同じ本をお持ちの場合でも払い戻しはできません。
※ギフトのお受け取りにはサインアップ(無料)が必要です。
※ご自身の本棚の本を贈ることはできません。
※ポイント、クーポンの利用はできません。クーポンコード登録
Reader Storeをご利用のお客様へ
ご利用ありがとうございます!
エラー(エラーコード: )
ご協力ありがとうございました
参考にさせていただきます。