言の葉の森――日本の恋の歌
チョン・スユン(著)
,吉川凪(訳)
/亜紀書房
作品情報
何かを偶然共有するというよりも、手を繫ぐようにして、私たちは同じものを持つ。
言葉が違っても、国が違っても。――最果タヒ
太宰治や宮沢賢治、茨木のり子、最果タヒ、崔実などの作品を手がける韓国の人気翻訳家が「日本の恋の歌」をめぐって綴る情感ゆたかなエッセイ。
小野小町、紫式部、清少納言、伊勢、和泉式部……が詠んだ熱烈で芳潤な65首をモチーフに、二つの言語の間を行き来しながら日々の生活や仕事について描く。
君がため 春の野にいでて 若菜摘む わが衣手に 雪は降りつつ
그대 위하여 봄 들판으로 나가 어린 순 뜯네 나의 옷소매에는 눈송이 흩날리고
〈百人一首や古今和歌集の三十一文字の世界を日本語と韓国語の両言語で併記〉
千年の時と国境を超え、〈恋の歌〉が今もなお瑞々しく響く。
韓国の人気翻訳家による65首の和歌をめぐる情感ゆたかなエッセイ。
【目次】
■序文 二つの言語を行き来する旅
■一章 言の葉の森で
■二章 翻訳家の仕事場
■三章 孤独を応援します
■四章 悲しみではなく、愛
■日本の読者の皆さんへ
■訳者あとがき
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この作品のレビュー
平均 3.8 (5件のレビュー)
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読んでいて印象に残ったところのメモ。
「日本人は愛してると言うことは少ないけど、どうやって愛を伝えているの?」の答えが「一緒にカレーを食べると美味しいとか、今度天気のいい日にツーリングに行こうとかっ…て言うよ」と。
私の「愛してる」は「気をつけて来てね・帰ってね」だなぁと思った。
平安時代、女性は名前を公表しなかった。神聖なものだから。とあって、今はそんなことないやろ〜と思っていたら、そんなこと大有りであった。
大人になってから、下の名前を呼ばれることってそんなにないもんね。自分の名前をとても気に入っているので、積極的に呼んでもらおう。
装丁もすごくかわいい。
1000年前の言葉なのに、国の違う私たちをつなげてくれるなんてすごいな。同じ言葉が1000年も続いているのもすごいな。
この本は、「歌?なにそれ?」な人にもぜひ読んで欲しい。
31文字に込められた想いを自分の心に置き換えてみて欲しい。今までは気づけなかったこと、あの時の自分のこと、何か共通点を見つけられるはず。続きを読む投稿日:2022.12.18
韓国人翻訳者が日本の萬葉集や古今和歌集などから取り上げた和歌と自身のエッセイを交えた読み物。
まず、外国人が日本の古い和歌に興味を持っていること。とて嬉しい。
「ながらへば またこのごろや しのばれ…ん うしとみしよぞ 今は恋しき」P74
辛いことがあっても、生きていればいずれ過去になる。そんな時、振り返ってみれば、懐かしく思えるようになっている。いつの間にか。
これは好きな歌。
P110
「はるかなる 岩のまざまに ひとりいて 人目思はで もの思はばや」
里から遠く離れた岩の間で身を隠し、人目気にせず物思いにふけりたい。
とても分かる。この気持ち。
ドキドキした恋ごころを1人でこっそり、しかしダイナミックに感じたいのだ。
P143
「いけるもの 遂にも死ぬる ものにあらば この世なる間は 楽しくあらな」
この気持ちも分かる。生まれてきたものは必ずいつか死ぬ。遅いか早いかで。
有限の命なのだから、せめてこの世では楽しく過ごしたいものだ。
人生を達観しているな。その俯瞰した目線、仏らしさを感じる。
P224
「世の中は なにか常なる あすか河 昨日の淵ぞ 今日は瀬になる」
平家物語の序章 祇園精舎の鐘の声〜
でもあった。諸行無常。の理が和歌でも歌われている。
人も物も変わっていく、留まっていられない。
不可能に思えるものでも、着手さえしてしまえば先へ先へ進んでいく。
淵に渦巻いていた水がいずれ急流になって川を下るように。
最後の一首は応援歌のようだな。
夢に向かって努力しよう。努力は人を裏切らない!
ဗီူဗီူ ဗီူဗီူ
続きを読む投稿日:2024.03.09
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