文芸ピープル 「好き」を仕事にする人々
辛島デイヴィッド(著)
/講談社
作品情報
著名な賞の受賞、ベストセラー……、日本の現代文学が、いま英語圏で注目されているのはなぜか?
アメリカ、イギリスの翻訳家、編集者、フェス運営者、装幀のデザイナー、書店など、
本作り&文芸に関わる人々=文芸ピープルを取材し、その声と仕事を伝えるルポ・エッセイ!
日本文学が、ここ数年、次々に英訳され、読者を獲得し、そこからまた世界に広く紹介されている。村田沙耶香『コンビニ人間』などベストセラーも生まれ、昨年は柳美里『JR上野駅公園口』が全米図書賞を受賞するなど、読者が広がり、高い評価を受けている。注目されるのは、若い翻訳家や編集者による紹介、独立系の出版社からの刊行、という新しい動きだ。
いま何が起きているのか?
作品はどのように発見され、翻訳出版されているのか?
なぜ女性作家が注目されているのか?
「日本」はいまどのように受け取られているのか?
〈目次〉
1章 新世代の翻訳家たちに聞く
2章 新しい「日本文学」を編む編集者たち1――『コンビニ人間』が英語圏の読者に届くまで
3章 新しい「日本文学」を編む編集者たち2――日本語の原体験と編集の仕事
終章 変化の年
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商品情報
- シリーズ
- 文芸ピープル 「好き」を仕事にする人々
- 著者
- 辛島デイヴィッド
- 出版社
- 講談社
- 書籍発売日
- 2021.03.31
- Reader Store発売日
- 2021.03.30
- ファイルサイズ
- 5.8MB
- ページ数
- 224ページ
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この作品のレビュー
平均 3.0 (6件のレビュー)
-
【感想】
小説の翻訳とはただの言葉の言い換えではない。
例えば、村田沙耶香の「コンビニ人間」。2018年6月に英訳されアメリカで刊行されたのち、『ザ・ニューヨーカー』が選ぶ「The Best Book…s of 2018」に選出されている。
日本の女性作家の作品がアメリカの読者を惹きつける理由は、日本文化が「未知」であり、小説の描写が新しいものであるからだ。
例えば登場人物。彼女たちが描く女性たちは、今まで日本文学の英訳で多く見られた「エキゾチックな花」ではない。働いている女性も含め、様々な視点から女性を描いている。どこかquirky(奇妙)で、すぐに人や物事を判断しない。ユーモアがある。つまり、一元的な女性像ではないのだ。
そうした「新規性」「奇抜性」を最大限に活用するべく、翻訳者と編集者は趣向を凝らす。
タイトルはコンビニ人間から「Convenience store Women」に変更され、表紙は人の頭の形をしたおにぎりの写真が使われた。可愛らしくてユーモラス、そしてどことなく不気味。それがコンセプトだ。
そうした配慮は本の見た目だけでなく内部にも及ぶ。何と、外国の読者に馴染みやすいよう、作中の固有名詞を変えたりもしているのだ。
小説の醸し出す雰囲気をうまく掴みとり、魅力を増幅させながら、異国で売れるように(読まれるように)調整を重ねていく。翻訳者と編集者は、ときに元の小説を読みこむ以上に、どこまでアレンジを重ねれば原作の雰囲気を壊さず、より優れた作品になるかを追求している。まさにダイヤモンドの原石を、(といっても原作は日本で賞を獲得しているため、すでにダイヤモンドなのだが)丁寧に磨く作業である。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
【メモ】
川上未映子や小山田浩子の作品を訳しているデビッド・ボイドは、日本の女性作家による作品が、英語圏において需要が高まっているという。これは日本の女性作家だけではなく世界的な現象であり、英米の出版関係者・翻訳家が世界中の女性作家の作品を出そうと意識的に努力しているのだ。
とくに若手の編集者は、新人作家を発掘することにより自らのキャリアを築き上げていく必要がある。英語圏ではまだ未知だが才能ある(母国で受賞歴があるという点で質が補償されている)「新人」を見つける最も手っ取り早い方法なのだ。
英語圏で新たに読まれ始めている女性作家たちが描く女性たちは、今まで日本文学の英訳で多く見られた「エキゾチックな花」ではない。働いている女性も含め、様々な視点から女性を描いている。どこかquirky(奇妙)で、すぐに人や物事を判断しない。ユーモアがある。つまり、一元的な女性像ではないのだ。
より多くの女性の作品が訳されるようになったのは喜ばしいことだが、ルーシーは、歴史的、文学的背景に関する理解が限られている中で、日本文学が「消費」されている可能性を指摘する。いずれにせよ、英語圏における翻訳家たちの活動を今後どれだけ支えていけるかが課題だ。
ここ数年、英語圏で刊行された日本の現代文学作品のなかで最も話題となり、多くの読者を獲得したのは、村田沙耶香の「コンビニ人間」だろう。
英語圏では長年「ノヴェラ」は売れないとされてきた。当初はコンビニ人間に短編を加えた作品集にする予定だったが、最終的には単独で刊行されることになった。
タイトルもコンビニ人間から「Convenience store Women」に変え、表紙も人の頭の形をしたおにぎりの写真にした。可愛らしくてどことなく不気味、それがコンセプトである。
2021年以降も、日本文学の海外での勢いはしばらく続きそうだ。数年続いてきたフェミニズム本の流れと、コンビニ人間から始まった日本人女性作家ブームがある。続きを読む投稿日:2021.07.19
日本の現代文学を海外に紹介することを
生業にしている人々について書いた本。
翻訳される頻度も点数も
確実に増えてきているそうです。
日本はわりと各国の物語を
日本語で読める環境が整っていると思うし
…おかげで家にいながらにして
世界の物語を楽しませてもらっているので
逆に世界の本読みさんたちが
それぞれ自国の言葉で同じように
日本の本を楽しんでくれたら嬉しいですね。続きを読む投稿日:2022.12.13
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