新編 真ク・リトル・リトル神話大系1
H・P・ラヴクラフト(著)
/国書刊行会
作品情報
H・P・ラヴクラフトが創造し、A・ダーレスを初めとする作家たちによって拡大しつづける“ク・リトル・リトル神話”の真なるアンソロジー、待望の新装版。狂気のアラブ人、アブドゥル・アルハザードが記した魔道書『死霊秘法(ネクロノミコン)』が初めて登場する「廃都」、邪神クァウグナール・ファウグンとの戦いを描いた「夜歩く石像」など、“ク・リトル・リトル神話”創生初期の名作を収録。
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商品情報
- シリーズ
- 新編 真ク・リトル・リトル神話大系
- 著者
- H・P・ラヴクラフト
- 出版社
- 国書刊行会
- 書籍発売日
- 2007.09.20
- Reader Store発売日
- 2021.02.12
- ファイルサイズ
- 1MB
- ページ数
- 346ページ
- シリーズ情報
- 既刊7巻
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この作品のレビュー
平均 4.0 (4件のレビュー)
-
ク・リトル・リトル神話――クトゥルフ神話とも呼ばれるそれは、アメリカの作家であるハワード・フィリップス・ラヴクラフトが創始し、フランク・ベルナップ・ロングやクラーク・アシュトン・スミスらが広げ、オー…ガスト・ダーレスらが体系化した、架空の神話体系です。最初は作家同士で架空の神々や地名や書物等といった固有情報や世界観を創作し、共有し、貸し借りする遊びでした。それに読者も気づいたことで追従者が続出し、それに伴って神話体系も拡大・拡散していきました。
本シリーズは創始者であるラヴクラフトを始め、1989年までに発表されたクトゥルフ神話をモチーフとした作品を掲載したアンソロジー集です。1982年に刊行された旧シリーズから小説作品のみを抽出して再編されました。ゆえに「新編」なのです。
彼らが楽しみつつ広げていったこの異界へと続く扉、それでは開けてみましょう――。
今巻は、かの有名な「無名都市」を舞台にしたラヴクラフトの作品を含む6編を収録。
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『廃都』(ラヴクラフト/1921)
アラビアの砂漠で伝説の古代都市を見つけたわたし。探究心から内部に侵入したわたしが目にしたものは――。
(初めてアブドル・アルハズラットの名が出た作品。恐怖よりも強く感じたのは偽史的な面白さ。)
『妖魔の爪』(グリーン&ラヴクラフト/1922)
小型漁船が海上で一匹の怪生物を仕留めた。船長はこれを見世物にした商売を思いつき、船そのものを博覧会場にする。目論見通りにこれは盛況を博したが、ある日、死体は船ごと消えてしまう。そして、本当の恐怖はその後に起きた――。
(海から来る恐怖を描写した作品。海が与えるものであり奪うものであることのモチーフか。後にラヴクラフトの妻になるソニア・グリーンの作品。だが、その後にラヴクラフトによる添削がされているため、実質二人の共作と言ってもいいだろう。)
『怪魔の森』(ロング/1928)
友人で作家のハワードとわたしが宇宙的恐怖についての談義に花を咲かせていると、恐怖に苛まれた感を見せる隣人がやってくる。触手のようなものに襲われたと言って彼が髪を払いあげると、その側頭部には小さな丸い穴が――。
(ラヴクラフト以外の手による初のクトゥルフ神話小説という記念碑的作品。所々にキリスト教的価値観を感じさせる描写はあるが、全体的にはラヴクラフトが提唱したコズミック・ホラーの表現に満ちており、良作に仕上がっている。)
『俘囚の塚』(ビショップ&ラヴクラフト/1929)
オクラホマにあるインディアン由来とされる墳丘は、幽霊の目撃談や探索者の失踪や発狂、異常死など、怪奇譚に事欠かない。それゆえに好奇心から墳丘を訪れた新たな探索者――私は、墳丘の土中から奇妙な金属筒を発掘する。中に入っていたのは、十五世紀に同じように墳丘を訪れたスペイン人による、墳丘の内部に広がる異世界と、そこでの生活を綴った自伝だった――。
(地下世界に棲んでいたのは、来る者拒まずだが去ること許さず、文化的ながらも保守的で、超能力で霊体化したり死体を操ったりすることができるヤベー種族だったという、設定が盛り沢山なダーク・ファンタジー。ゴーストやゾンビといった、TRPGでもステータスがあるクリーチャーの設定にも使えそうで、シナリオ創作者の人にもおすすめしたい。)
『電気処刑器』(カストロ&ラヴクラフト/1929)
社長の命令で不本意ながらも人探しにメキシコに行く羽目になったわたし。しかも道中の電車内で一緒になった男に、自作の器械の実験体として殺されそうになり、製作の経緯を訊いたり書類の作成を勧めたりして、なんとかこの危機から脱しようとするのだが――。
(原作者であるカストロからの依頼によりラヴクラフトが改作(脚色などして新しい作品にすること)した作品。殺されまいと時間稼ぎに必死になるわたしと男との攻防がメインだが、頭の中で絵にするとなんだかコントっぽくなった。)
『夜歩く石像』(ロング/1951)
中央アジアからマンハッタン美術館に運ばれてきた象頭神の石像。送ってきた担当者は経緯を報告した直後に変死し、翌日には警備員のおぞましい変死体が発見される。学芸員のアルジャナンはオカルティストのロジャーに助けを求めるが、今度は石像が美術館から消え、マンハッタンで被害者が続出する。はたして、アルジャナンとロジャーは凶行を止められるのか――。
(マンハッタンを舞台に吸血生物が暴れまわり、架空の科学兵器が登場する展開が90分くらいのB級映画っぽい。ホラーと言うよりSFだが、パルプ・フィクションとしては王道なのだろう。)続きを読む投稿日:2023.08.22
昔憧れて高価で手が出ず、図書館に通って読んだ真クリ大系がソフトカバーの廉価版で再登場。とにかく買ってしまえ。
ハードカバーの当時はクトゥルフものが読めるアンソロジーなど数冊程度だったが、今では色々なも…のが編まれているのでわざわざ買う必要があるか?とか考えたらダメだ。続きを読む投稿日:2013.03.26
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