耳すます部屋
折原一(著)
/講談社文庫
作品情報
結末まで決して油断しないでください――娘の同級生を、放課後に預かることになった久恵。だが、母親同様ずうずうしい小学生・ゆかりには、盗癖があった。結婚指輪までが消えた日、包丁を手に、久恵はついにキレてしまう。「ゆかりが帰ってこない」、その夜、鳴り続ける母親からの電話。どこまでも執拗に……。日常の恐怖に彩られた、叙述ミステリーの傑作10編!
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商品情報
- シリーズ
- 耳すます部屋
- 著者
- 折原一
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- 講談社
- 掲載誌・レーベル
- 講談社文庫
- 書籍発売日
- 2003.02.14
- Reader Store発売日
- 2020.11.13
- ファイルサイズ
- 0.2MB
- ページ数
- 336ページ
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この作品のレビュー
平均 3.1 (18件のレビュー)
-
このレビューはネタバレを含みます
○ 耳すます部屋
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ゆかりという母子家庭の子どもを預かった久恵が,ゆかりを殺害してしまったように思わせておいて,実際は,ゆかりの母がゆかりを殺してしまったというオチ。久恵とゆかりの母である八重子が電話をしており,久恵が電話を切らずに話していたので,ゆかりと久恵の会話が全て八重子に筒抜けになっており,話を聴いて,娘が盗みをしたことを知った八重子がゆかりを殺してしまうという話である。「耳すます部屋」というタイトルは,八重子が電話でゆかりと久恵の会話を聴いていたことを示している。
○ 五十像
少年が犯人と見せかけて,五人組の大人が,少女を誘拐した誘拐犯だったという話。しかし,少年が単なる善人ではなく,最後の最後で少女に対し「付き合ってくれるかい」と問いかけ,少女の全身に鳥肌が立ったという描写で終わる。何とも言えない読後感の作品
○ のぞいた顔
夏美という自殺した娘の話を出し,房子という少女が,教師を脅そうとした話…と見せかけて実際はホラー?リドルストーリーのような結末だが,やや練不足か。
○ 真夏の誘拐者
誘拐。ただしメイントリックは母親がパチンコをしている間に,車ごと誘拐されたが,誘拐された段階で子どもが死んでいたという点。母親は自らの罪がバレないように,誘拐犯を殺害するが,勘の鋭い刑事が子どもの解剖をし,母親の罪を見抜いたような終わり方をする。なかなかの作品。
○ 肝だめし
ホラー。肝だめしで「死ぬほど驚かされ」,死んでしまった少年が,翌年の肝だめしで幽霊として驚かすという話。ショートショートらしいショートショート。
○ 眠れない夜のために
折原一らしい短篇。週間雑誌の読書投稿欄において,騒音についての投書がされるという話。読者コーナーの担当者が一方当事者だったという展開は,途中で読めてしまうが関係者が次々死んでいくというブラックな展開も折原一らしい。
○ Mの犯罪
連続幼女殺人事件の被害者のひとりと思われた少女が,実は殺人者であり,彼女の犯した殺人を目撃し,Mという男性に罪を押し付けた変質者を最終的に殺害するという話。折原一の作品に登場する女性は,なかなかの曲者ぞろいである。作品のレベルとしては中の下くらいか。
○ 誤解
猟銃による誤射殺人がテーマ。自分の息子が,いじめにより自殺してしまったことから,藤岡という男の依頼し,いじめをしていた少年を誤射殺人に見せかけ,殺人するように依頼した男の話。藤岡が脅迫をしてきたので,いじめをしていた男の父に手紙を書き,藤岡を殺させようとした。なかなか込み入った話。考えオチという感じ。でも,これは結構いい作品と思う。
○ 鬼
「ひろし」が行方不明になる話から始まる怪談話。百物語として怪談を続けるうちに,「ひろし」は存在し,「敏樹」という少年がいなくなる世界になってしまうという話。世にも奇妙な物語系の作品。デキは普通かな。
○ 目撃者
亭主を殺した妻が,目撃者を殺害するために,目撃者に懸賞金を払うとして目撃者探しをする話。目撃者が出てきたところで,目撃者を殺害するがその殺人を別の目撃者が目撃していて…と続く作品。あらすじだけ聞くと結構面白そうだが,実際は,それほど面白くない…。
連作でもなく,折原一っぽい底意地の悪い作品が10作ある。ここの作品のデキはそこそこだが,折原一好きなら十分楽しめるデキ。寝る前に読む小説向きではなさそうだけど…★3で。投稿日:2015.11.29
「Mの犯罪」みたいな実在の事件と絡めて書く内容が好き。
折原さんの作品は、いつもつい最初から叙述トリックだとかかって読むから、犯人も別角度から出てくるのではとひねって読んでしまう…投稿日:2016.08.03
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