鉄路の果てに
作品情報
「だまされた」
父が遺したメモを手掛かりに、
気鋭のジャーナリストが戦争を辿る。
いつの時代も、国は非情だ。
本棚で見つけた亡き父の「だまされた」というメモ書き。
添えられた地図には、75年前の戦争で父が辿った足跡が記されていた。
どんな思いで戦地に赴き抑留されたか。
なぜ、犠牲にならねばならなかったか。
薄れゆく事実に迫るために、韓国・中国・ロシアへ。
国は過ちを
繰り返してきた。
何度も。
これからも。
目次
序章 赤い導線
1章 38度線の白昼夢
2章 ここはお国を何百里
3章 悲劇の大地
4章 ボストーク号
5章 中露国境
6章 シベリア鉄道の夜
7章 抑留の地
8章 黒パンの味
9章 バイカル湖の伝説
終章 鉄路の果てに
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商品情報
- シリーズ
- 鉄路の果てに
- 著者
- 清水潔
- ジャンル
- 教養 - ノンフィクション・ドキュメンタリー
- 出版社
- マガジンハウス
- 書籍発売日
- 2020.05.21
- Reader Store発売日
- 2020.05.21
- ファイルサイズ
- 18.4MB
- ページ数
- 256ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (7件のレビュー)
-
『桶川ストーカー殺人事件―遺言』、『殺人犯はそこにいる』という調査報道における金字塔とも言える二本の名作によりその名を高めた清水潔。帯には「気鋭のジャーナリスト」と評されているが、この二本については、…その表現ではまったく不足している。現在の「ジャーナリスト」の枠からははみ出した、特異なる成果であると言っても言い過ぎではない。そして、この二本のスクープ報道の取材体験から、警察への不信、司法への不信、官僚への不信、マスコミへの不信がさらに募ったことは間違いない。それはシステムに埋没する個人への不信感であったはずだし、それに抗って自らリスクを負って義に寄って立ってきたという自負があるだろう。
その後の日本テレビに移籍後の『「南京事件」を調査せよ』では、過去に遡ってかつての官僚的システムの最大のもののひとつであった日本軍とその行状について糾弾した。果たして、この企画が、清水潔の企図したことが実現されたのかは不明だ。しかし、清水潔の思考の傾向が、具体的な出来事に基づく反警察・反司法から、より大きな「反政府」に傾いているように思われた。
本書は、かつて自分の父が戦時に朝鮮半島から満州・ロシアにかけて兵士として陸軍鉄道聯隊に従軍し、そして終戦を満州で迎えてイルクーツクまで捕虜として移送された鉄路の旅を、息子である著者が75年の時を超えて再体験したものを記録したものである。あの戦争を考えるにおいて、満州を抜いて考えることはおそらくできない。その意味では父に導かれて「近代史」というものを改めてきちんと考える時間であったのではないだろうか。それは、『南京事件』プロジェクトをリードしたジャーナリストとしては、魅力的な題材であったはずだ。その点で残念なのは、 友人の元記者で小説家でもある青木俊さんと同行したことかもしれない。テレビ東京の北京支局長を務め、大学でロシア語を専攻しており、何度もロシアへ足を運んだことがあるという理由もあって同行しているのだが、酒飲みであり、また気心の知れた友人ということからどうしてもコミカルな描写を入れがちとなるのである。単身で乗り込むのか、もしくはロシア語はできなくとも日本近代史にとても詳しい誰かと一緒に足跡を辿っていれば、この本のトーンも大きく違ったのではないかと思う。それは好みの問題かもしれないが、大切な問題だ。
「鉄道」に着目したいくつかのエピソードは確かに興味深い。軌道の幅が違うこととそのための苦労、バイカル湖を迂回する鉄道建設に至った話などは具体性、すわち歴史性があって面白い。その当時の戦争において、物資補給のための鉄道の重要性は死活問題でもあるから、おそらく色々な語られるべきエピソードはあっただろう。しかし、どうもすっきりと最後に置かれた次のメッセージに結びついてこない、どこかもどかしい読後感を持った。
「同じあやまちを繰り返さないために。
すべては、やはり「知る」ことから始まるのだと思う。
戦争は、なぜ始まるのか――。
知ろうとしないことは、罪なのだ。
何かを学び、何かを知る旅。
必要であれば、私はいつでもその地へ出かけていくだろう。
たとえ、それが遥かなる鉄路の果てでも。」
そういえば、村上春樹も中国に従軍した亡き父の話を書いた。あのころ、多くの人が多くの物語を抱えていただろうし、それはそれを引き継ぐべき世代にはどこか重くまた想像力の果てにあることであり、存命のときにはうまく消化しきることができる物語ではなかった。その物語の中に、自ら物語ることなく死んでいった多くのものたちが含まれる場合には特にそうだ。どこか感傷的で、そうしたくないであろうにも関わらず、どこか私的な、不思議な本。
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『桶川ストーカー殺人事件―遺言』(清水潔)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4101492212
『殺人犯はそこにいる: 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』(清水潔)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4104405027
『「南京事件」を調査せよ』(清水潔)のレビュー
https://booklog.jp/users/sawataku/archives/1/4163905146
『猫を棄てる 父親について語るとき』(村上春樹)のレビュー
https://booklog.jp/users/sa続きを読む投稿日:2020.08.04
ジャーナリスト清水氏が終戦後にシベリア抑留されていた父親の足跡を追って,イルクーツクまで旅をする.わが国がかつて満州で中国の人のみならず自国民ををどんなに痛めつけたか,をたどる旅であり,その過程で日露…戦争から第二次大戦におけるソ連参戦までの日露関係の意味を明らかにしてゆく.続きを読む
投稿日:2020.12.24
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