血の郷愁
ダリオ・コッレンティ(著)
,安野亜矢子(訳)
/ハーパーBOOKS
作品情報
19世紀シリアルキラーの完璧なる模倣。
噛みちぎられた惨殺死体と10本の針――イタリア史上初の連続殺人事件が蘇る。
バンカレッラ賞最終候補作。
北イタリアの村で発見された女性の変死体。定年間近の新聞記者マルコは、インターンのイラリアからある情報を得る。ふくらはぎを噛みちぎり、内臓を抜き、死体の傍に針を置く残忍な手口が、イタリア犯罪史に名を残す19世紀の連続殺人犯のそれと同じだというのだ。二人は村に潜む狂気を追うも、カニバリズムを思わせる死体がまた一つ……。歴史と文化に血の香りが混じりあう、重層的スリラー。
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商品情報
- シリーズ
- 血の郷愁
- 著者
- ダリオ・コッレンティ, 安野亜矢子
- ジャンル
- 小説 - ミステリー・サスペンス・ハードボイルド
- 出版社
- ハーパーコリンズ・ジャパン
- 掲載誌・レーベル
- ハーパーBOOKS
- 書籍発売日
- 2019.06.20
- Reader Store発売日
- 2019.06.21
- ファイルサイズ
- 0.6MB
- ページ数
- 576ページ
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この作品のレビュー
平均 4.3 (4件のレビュー)
-
19世紀イタリア初の連続殺人犯を真似た残虐な事件。それを追う記者のマルコとイラリア。二転三転する事件と先の見えない捜査。そんななかマルコとイラリアの息が徐々に合ってくる。年の離れた2人のやりとり、記者…しかないと生きている2人の強さと弱さ。事件のなかにどんどん入り込んで魅了されたように追い続ける。犯人がなぜ残虐なことをする人間になったのか。そうならざるを得なかった訳は。生まれ、生い立ち、環境。怖さとともに色々な感情が溢れてくる。ぜひシリーズとして続いてほしい。続きを読む
投稿日:2019.06.23
ヒロインが実に珍しいタイプである。
主人公は二人。
一人は、オッサンである。
マルコ・ベザーナ。定年間近の、早期退職を迫られてさえいる、たたき上げの新聞記者である。
仕事に全力を注ぎ、家庭を顧みな…かったものだから、その上うっかりやらかしたものだから、家庭は破綻している。
その相棒として立たせるならば、どんな人物がいいだろう?
若くて、女性で、インターン(見習い記者)、やる気も実力もあるのに、機会に恵まれずクサクサしている、勝ち気なガツガツ美人?
よくあるのはこんなところだろうが、イラリア・ピアッティは違う。
26才、女性で、インターンではあるが、服のセンスの全く無い、話し方のモタモタした、相手をウンザリさせる、方向音痴、路線音痴、不安定、
モサ子、ダサ子、ドジっ子、メガネっ子、・・・・・・
断言しよう。一部男性に、たまらなくモテる、「萌え」をそそる人物造形である。
ヒロインとしてはたいへんに珍しいタイプの彼女を主人公の一人に据えたのが素晴しい。
このマルコとイラリアのコンビが、連続殺人に取り組むのである。
イタリア北部の街ベルガモで、一人の女性の死体が発見される。
なかなかむごい状態なのだが、あまりそれを感じることはない。
描写をおとなしくしていることもあろうが、主人公が新聞記者だからという理由もあるだろう。
例えば警察官が主人公ならば、彼が見たまま捉えたままを描写しがちだろうが、彼らは記者なので、警察から話を聞く形で被害者の様子を知っていく。
読者に与えられるのは、その間接的な情報なので、描写はおとなしくなっている。
しかし、その話し手の司法警察官がマルコの義弟で、いっしょにカルボナーラを食べながらという点で、別の印象を抱くかもしれない。
そう、これはイタリアミステリなのだ。登場人物は皆よく食べる。美味しそうなものがよく出てくる。
マルコなぞは、おぞましい死体を見たばかりだというのに、燻製生ハムとブリーチーズのパニーノをビールとともにかっ食らう。
ある犯罪学者はグリッシーニをかじり、からすみスパゲッティを作りながら、えげつない犯罪のあれこれを語る。
事件の重要なところに、ピッツェリアがあり、リストランテがある。
ステリーネのスープ、ソーヴィニオンのグラス、プンタレッラのアンチョビ炒め、水牛のモッツァレラチーズ、アーティチョークのパルメザンチーズ和え・・・・・・
さりげなく次々と出てくるのだ。
「まったりとしたクリームの舌触りが」
「パリパリという音とともに香ばしさが鼻をくすぐり」
などという余計な説明もなく、ましてや作り方もレシピもない。
これがいい。
彼らはごく当たり前に、美味しいものを作り、食べ、飲み、味わい、日々の活力としているのだ。
作者ダリオ・コッレンティは、匿名の男女二人組である。
どちらも報道の世界をよく知っているというが、新聞記者として長くやっていた人達ではなかろうか。
というのも、マルコの口を通して語られる今昔の記者エピソードが、実に生々しいのだ。
マルコが新人だったとき、編集局には名士しかいなかったとか、バブル華やかなりし頃の特派員は驚くほどぼろもうけだったとか、インターネットとやらが現われた時、新聞業界はどれほどそれを侮っていたかなどである。
それが今や紙の新聞は、ネットやSNSの時代になり、過去のものとなりつつある。
そんな中にあって、記者というものはと、マルコはイラリアによく語る。
定年間近のオッサンの面倒くさい説教とボヤキと読むこともできる。
けれどもそれは、報道のありよう、あるべき姿を説くものであったり、新聞記者だけでなく、マスメディア全体の変遷を語るものであったりする。
マスメディアの歴史を見るようで、たいへんに興味深い。
定年間近のマルコは、まるで紙の新聞のありようを体現しているようだ。
イラリアは、滅び行く世界に足を踏み入れてしまったのだが、今後どうなっていくのだろう?
「新しい形の報道」を、その体現者として模索していくのだろうか。
イタリアでは、既に2冊目が刊行されている。
そうはいってもまだまだ勢い盛んなマルコと、才能はあっても危なっかしいイラリアの活躍を、日本でも早く読みたいものである。続きを読む投稿日:2020.06.20
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