日本ノンフィクション史 ルポルタージュからアカデミック・ジャーナリズムまで
武田徹(著)
/中公新書
作品情報
「非」フィクションとして出発したノンフィクション。本書は戦中の記録文学から、戦後の社会派ルポルタージュ、週刊誌ジャーナリズム、『世界ノンフィクション全集』を経て、七〇年代に沢木耕太郎の登場で自立した日本のノンフィクション史を通観。八〇年代以降、全盛期の雑誌ジャーナリズムを支えた職業ライターに代わるアカデミシャンの活躍をも追って、「物語るジャーナリズム」のゆくえと可能性をさぐる。
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商品情報
- 著者
- 武田徹
- 出版社
- 中央公論新社
- 掲載誌・レーベル
- 中公新書
- 書籍発売日
- 2017.03.25
- Reader Store発売日
- 2019.04.12
- ファイルサイズ
- 2.1MB
- ページ数
- 320ページ
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この作品のレビュー
平均 3.8 (13件のレビュー)
-
本といえば小説が中心ですが、ノンフィクションも大好物。
一時期、沢木耕太郎にハマって「深夜特急」は全作持っていますし、「テロルの決算」は今でもたまに読み返すくらい好き。
鎌田慧の「自動車絶望工場 ある…季節工の日記」、海外物ではカポーティの「冷血」、伝説のルポライター児玉隆也の評伝「無念は力」(坂上遼著)なんてのまで読みました。
あと、近年ですと、何と言っても増田俊也の「木村雅彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」でしょう。
これには腰を抜かしました。
ただ、じゃあ、そもそもノンフィクションって何? どうやって発展してきたの?
と訊かれると、答えられる方は少ないのではないでしょうか?
それもそのはず、ノンフィクションについてまとめた書物は大変に少ないのです。
少なくとも小説ほどには研究が進んでいません。
それならばと書かれたのが本書。
著者はメディアに精通した武田徹さんです。
私は、先日の読売新聞の書評欄で、評者の宮部みゆきが絶賛していたのを読んで買いました。
まず、ノンフィクションの定義ですが、これが意外と定まっていないのですね。
フィクション(作り物)ではない、つまり事実に即して書かれたものがノンフィクションかというと、そんな単純なものではないようなのです。
たとえば、ノンフィクションの一大ジャンルと呼べる「探検記」。
探検記を書くことを前提に探検をする場合、著者はその物語にふさわしい現実を求めます。
行為者となって行動することで、本来はなかったはずの事実が生じてしまう。
そうなると、ノンフィクションとは言い条、たちまちフィクション性を帯びてしまいます。
もっとも、だからと言って、そうした作品を「フィクション」と呼べるのかというと、それも違います。
このあたりが大変にややこしいですね。
実は、ノンフィクションの歴史は浅く、せいぜい1970年代までしか遡ることが出来ないそう。
この間、書き手の間でも試行錯誤が繰り返されてきました。
たとえば、所得倍増論をテーマにした「危機の宰相」では著者の一人称、冒頭でも触れた「テロルの決算」は当時、米国で勃興してきたニュージャーナリズムの手法に倣って三人称で書かれています。
しかし、ニュージャーナリズムの手法を採って三人称で記述すると、そのシーンを描くための取材がどのように行われたのかが判然とせず、第三者による検証を不可能にしてしまいます。
つまり、厳密に言うと、ノンフィクションの肝である事実が担保されないという事態に陥るわけですね。
一筋縄ではいかないようです。
いずれにしても、フィクション/ノンフィクションと明快に線を引いて区分するのは難しいということが分かりました。
少なくとも作品として完成するまでの過程では、相互に乗り入れている部分がかなりありそうです。
たとえば、実話に基づいた小説というのはよくありますが、作家は作品を書くために入念に取材します。
そこにノンフィクション性が宿ることはしばしばあります。
逆に先ほど例に引いたようにノンフィクションでもフィクション性を帯びてしまうこともままある。
そもそも「作品」である以上、事実の羅列であるわけはないのです。
マクベスの「きれいはきたない、きたないはきれい」ではありませんが、「フィクションはノンフィクション、ノンフィクションはフィクション」なんてことも言えるかもしれません。
うん、大変に面白い本でした。続きを読む投稿日:2017.05.04
「小説中心の文学史はあっても、ノンフィクション史の本はない」その言葉から始まった、多分日本初の貴重な記録。大宅壮一の存在の大きさを強く感じる。
小説よりノンフィクション。創作より事実の持つ大きさが昔…から好きだった。でも簡単にノンフィクションといっても、体験する過程から筆者の恣意的な視点が入るという大きな矛盾。どこまで事実でどこからが筆者の選択か、これは「歴史」と同様に永遠の課題のように思う。
ノンフィクション、ルポルタージュ、リテラりー・ジャーナリズム、アカデミック・ジャーナリズムこらケータイ小説まで。広く網羅しているかと。
本書では実に多くのノンフィクション作品を引用、これだけでもファンにはたまらない一冊。続きを読む投稿日:2020.03.15
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