- 最新巻
続 夫の後始末 今も一つ屋根の下で
曽野綾子(著)
/講談社
作品情報
自分の死が迫っていることを知らなければ、実は人間は「その日」を生きることなどできない。果たして、死はそれほど恐ろしいか、ということになると、私は少し疑っている。――夫である三浦朱門を在宅介護で看取ってから約2年。作家・曽野綾子は静かに、慎ましく一人の毎日を生きていた。
一汁一菜の食事をしみじみと味わい、新たな飼い猫の姿を横目に、これまで歩んできた年月の記憶に遠く思いを馳せる。優しさとはなにか、哀しみとはなにか。そして、人間がこの世に生まれてきた使命とはなにか。やがて否が応でも頭をよぎるのは、自分自身の「最期」をいかに迎えるかということ。
「私は、すべてを受け入れ、平凡な生活を心底愛する」。いずれは誰もが一人になる。そのとき、どうあるべきか。老いに直面するすべての人に読んでほしい、88歳の著者が至った「最後の境地」。
大ベストセラーとなった『夫の後始末』続編、週刊現代連載の待望の単行本化。
もくじ
第一部 夫の死、それから
最後の日、思い出すこと
私は取り乱さなかった
その日がしあわせであること
いつ捨てても、惜しくない体
慎ましく、変わらぬ日々
人間の運命は予測がつかない
「へそくり」を見つけて
夫へのささやかな仕返し
第二部 新たなる家族の来訪
ペットショップで猫を見かけて
同じ日課で生きる
それぞれの運命を受け入れる
欠けていることこそ、人間の妙味
夫の死後、しつらえたテーブルで
どこで飼うか、という難問
猫たちの上下関係
第三部 人間の器量
早寝早起き、律儀に暮らす
暑さの凌ぎ方に、昔日を思う
バカであることの偉大さ
老年の悲しさとは
「いい人」ほど始末に負えない
寛大さと優しさ
第四部 自分の後始末
私が死んだら、家族はどうなるか
死に場所をどこに見つけるか
「善悪」とは別の気休め
苦悩もまた、人間の資産
魅力的な人生を生きるために
そして死は迫りくる
寄り添って生きるということ
私たちに与えられた使命
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商品情報
- シリーズ
- 夫の後始末
- 著者
- 曽野綾子
- 出版社
- 講談社
- 書籍発売日
- 2020.08.19
- Reader Store発売日
- 2020.08.18
- ファイルサイズ
- 2.6MB
- ページ数
- 192ページ
- シリーズ情報
- 既刊2巻
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この作品のレビュー
平均 3.3 (3件のレビュー)
-
物語は夫の死の直後から始まる。夫が残しておいたへそくりを何に使おうかと思案しているときに、彼女の目にとまったものは、子猫であった。
子猫はやがて二匹となり、彼女の心の中で、しだいに、家族になっていくの…である。
気になったことばは以下です。
・いつも思うことだが、書くのは作家だが、本を創るのは編集者である。作家は人生を切り取って見せることはできるが、その源泉のエネルギーの無言の存在に気づく側は意外なほど少ないように思う。
・自分が育った家では、父が厳しくて心の休まる日もなかったから、今の私の家は、気楽で、楽しくて、あたたかく、おいしいものがあって、失敗を笑いあっている空間にしておきかった。
・とにかく私たちは人間として、この地球上で恵まれた生活をさせてもらえたのだ。生涯にたった一度使うだけの火葬場の時間などに、文句を言える立場にない。
・家庭が奇形だったら、私は平凡な家を愛するようになった。見栄でそうなったのでもない。私は非常識な生き方をしている割には、平凡という状態は、「偉大な安定だ」と心底感じていたからである。
・事実私は、夫の死後ひどく疲れているのを感じた。いくらでも、いつでも眠れる。私は時の癒しというものを信じていたから、眠りによって時間の経過を稼ごうとしたのかもしれない。
・それは配偶者の死後、取り残された者は、一年ぐらい何もしないほうがいいとうことだった。急に転居したり転職したり、株に手を出したり家の修理をしたりするのは一切やめたほうがいい。
・少なくとも、私は現実主義者だった。過去はどうでもいい。未来もよくわからない。しかし今日の現実が易しく感じられればいい。
・(古い道具がたくさん残っていることについて)人だって物だって、「ここまで来るには」時間も手数も、もちろんお金もかかっている。つまり原価は安くないということだ。だから、大切にしっかり使わねばならないということだ。
・(買ってきた新参の猫を、これまでいた猫と引き合わせするとき)私はやれやれである。人生「なあなあ」で通る地点を見つければ、それだけで大成功だ。
・私は人でも、物でも、「完全」であることをあまり望まなかった。完全な人などいたら、多分私はつき合わない。しかし、私だけでなく、欠けているところには味があるとは、多くの人が思うところだろう。
・世の中の書物に書いていないことも、私は、知人に教えてもらいながら生きて来た。
目次は、以下の通りです。
まえがき 人生は喜劇か、それとも悲劇か
第1部 夫の死、それから
最後の日、思い出すこと
私は取り乱さなかった
その日がしあわせであること
いつ捨てても、惜しくない体
慎ましく、変わらぬ日々
人間の運命は予測がつかない
「へそくり」を見つけて
夫へのささやかな仕返し
第2部 新たなる家族の来訪
ペットショップで猫を見かけて
同じ日課で生きる
それぞれの運命を受け入れる
欠けていることこそ、人間の妙味
夫の死後、しつらえたテーブルで
どこで飼うか、という難問
猫たちの上下関係
第3部 人間の器量
早寝早起き、律儀に暮らす
暑さの凌ぎ方に、昔日を思う
バカであることの偉大さ
老年の悲しさとは
「いい人」ほど始末に負えない
寛大さと優しさ
第4部 自分の後始末
私が死んだら、家族はどうなるのか
「死に場所」をどこに見つけるか
「善悪」とは別の気休め
苦悩もまた、人間の資産
魅力的な人生を生きるために
そして死は迫りくる
寄り添って生きるということ
私たちに与えられた使命続きを読む投稿日:2022.09.08
このレビューはネタバレを含みます
曽野綾子「続 夫の後始末」、2020.8発行。ほぼ猫の話ですw。 スコティッシュ・フォールドの猫二匹。トースト色の直助くんと白色の雪ちゃん。ナーオちゃん、ユーキちゃんと猫なで声で呼んでるそうです(^…-^)続きを読む
レビューの続きを読む投稿日:2021.12.23
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