「移動」の未来
エドワード・ヒュームズ(著)
,染田屋茂(訳)
/日経BP
作品情報
ヒトの動きとモノの流れが、
いま、変わりはじめた――
気鋭のピューリッツァー賞ジャーナリストが描く交通(トランス)・(ポーテ)物流(ーション)の「見たくない現実」と「見えてきた希望」。
ネットで注文した商品がその日に届く。そんな「当たり前」を実現するために、世界中の交通・物流システムは悲鳴をあげ、崩壊の危機に直面している――。気鋭のピューリッツァー賞作家が、誰もが目をそらしたくなるような不都合な事実を詳らかにするとともに、自動運転車やAI(人工知能)、IoTなどに後押しされて始動しつつある「移動革命」の姿を展望する。
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商品情報
- シリーズ
- 「移動」の未来
- 著者
- エドワード・ヒュームズ, 染田屋茂
- 出版社
- 日経BP
- 書籍発売日
- 2016.10.25
- Reader Store発売日
- 2016.11.28
- ファイルサイズ
- 1.5MB
- ページ数
- 437ページ
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この作品のレビュー
平均 4.1 (7件のレビュー)
-
モビリティの文脈で読み始めたら、いきなり輸送の話から始まって面を食らう。
朝に飲むコーヒーが手元にあるが、このコーヒーはどこから運ばれてきたのということから始まる。
さらには、このスマートフォン…。
半導体は台湾、日本から、組み立てはアジア、そして最後にアメリカにたどり着く。
その移動量の合計を考えたことがあるか。
日本での二酸化炭素排出量において、運輸部門は産業部門に次ぐ排出量である。
その運輸部門のうち貨物自動車の排出量は40%弱。
Flightshame(飛び恥)が有名になったこともあるが、飛行機はそうでもない。
ただ、考えてみるとグローバル化で生産コスト減を追い求めた結果、とんでもなく遠いところから運ばれてくるものが、なぜこんなにも安いのか。
次には、アメリカの自動車の権利についての説明が続く。
人をひき殺しても、運が悪かったね、人間ミスはあるもんね、でおしまい。
あるサイクリストが轢かれて治療に1年と100万ドルかかったのに、加害者は25ドルと2日間の禁固刑で終了。
2020年のアメリカの交通事故死者数は3万8680人、日本は2839人だ。
ちなみにアメリカの人口は日本の2.6倍ほど。
あまりにも強すぎる自動車の権利に対するアンチテーゼとして、googleやテスラの自動運転車の開発が進んでいるのではないか。
反面、日本ではドライバーの責任は重い。
池袋の事故では、事故のミスではなく、「上級国民」という言葉が生まれるほどに、自動車を持つもの持たないものの格差に焦点があてられた。
しかし、本来の自動車事故の原因に焦点が当てられていない。
運転ミスは全てドライバーの責任というのが、アメリカと日本で大きく違うところと感じた。
そして最後に自動運転車が実現した時の未来が描かれる。
もし、自動運転車が実現したらどうなるのか。
移動コストが下がり、自動車は保有よりもシェアになる。
個人的には、高速道路の自動運転が実用化すれば、移動中に寝ていて、起きたら遠くまで移動できている快適空間が実現してほしい(夜行バスは寝れないんじゃ)。
となると、新幹線の需要はどうなるのだろうか。
高速であることの価値は今と同じなのだろうか。
本書からは、輸送距離が長いほど物が安いという矛盾からは、SDGsの観点からも地産地消が、これからの最適解であること。
自動運転車の実現による交通事故減、移動しやすさの向上、シェアリングエコノミーについて。
など考えた。
モビリティの最適解は都市圏、地方圏によって違うが、自動運転車の実現で一変することは間違いない。続きを読む投稿日:2021.11.02
『1つは、デジタル技術の興隆。1つは、中国が対資本主義闘争の方針を転換したこと。1つは、愛嬌もなく、最新技術とも縁がなく、ただ大きくて醜い金属の箱が起こした輸送革命。この3つのうち、一番地味な貨物コン…テナ(と、その最も派手な派生物である巨大コンテナ船)が、これまで法外な経費でしかなかった大量輸送を、状況に応じて使える手段に変えたことで、残りの2つの「異変」も活かされることになった。
コンテナは、輸送革命の手段であると同時にその象徴とも言える。なぜなら、コンテナ化によって生まれた製品の代表であるスマートフォンそれ自体が、カメラやカレンダー、ナビ、本、音楽、さらには交通の確保手段など、必要なものすべてを内包する究極のコンテナだからだ。ありふれた金属のコンテナと、それがもたらした究極のデジタルコンテナ。世界に計り知れない影響を与えた2つの箱はいまだに進化を続けている。』
スマホ、アルミ缶、コーヒー、飛行機、車、港湾、トラック、船、輸配送、道路、自動運転/無人運転、ヒトとモノの移動に関する多面的な考察。明確な結論に導くわけではなく考えさせられる論考。
個人的にアメリカという国家はもともと好きではないが、これは嫌いになってしまう作品だと思う。
アメリカが戦争で生み出した死傷者数の合計よりも、アメリカで一年間で起きる交通事故の死傷者数の方が多いとか、げんなりしてしまうなぁ〜。
不可逆的な利便性の罠と資本主義が大量生産する欲望装置の消費に、世界は食い潰され、破壊され、汚染されていく。この流れに抗う方法はあるのかなぁ?続きを読む投稿日:2017.11.12
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