太平洋ひとりぼっち
堀江謙一(著)
/舵社
作品情報
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1962年、19フィートの〈マーメイド〉で日本人初の単独太平洋横断航海に成功した堀江謙一氏が著した体験記。一人の青年が夢をかたちにするまでの航跡は、ヨットによる海外渡航が認められなかった時代における「挑戦」の記でもある。
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商品情報
- シリーズ
- 太平洋ひとりぼっち
- 著者
- 堀江謙一
- 出版社
- 舵社
- 書籍発売日
- 2004.02.01
- Reader Store発売日
- 2015.04.17
- ファイルサイズ
- 110.7MB
- ページ数
- 279ページ
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この作品のレビュー
平均 3.7 (7件のレビュー)
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1962年、日本人初、西宮からサンフランシスコへ、単独で太平洋を渡った堀江謙一氏の手記。2004年の新装版。関大一高でなんとなく入ったヨット部時代から、大学には行かずに働きながらお金をため、周りの理…解を得られないままについにこっそり太平洋へ飛び出し、嵐や凪に遭遇しながらも3か月間航海して、ついにゴールデンブリッジをくぐってサンフランシスコに到達するまで。
1963年には映画化もされて大ブームが起きたらしいが、そんなことは全く知らず、ただたまたまNHKのドキュメンタリーで知り、こんな有名な本があるということで読んでみた。
何と言ってもコテコテ関西弁。おれも関西人だけど、なんか昔おじいちゃんから聞いたことがあるようなフレーズがちらほら、というかそれ以上の、今時誰も言わないくらいの関西弁がすごくて、それだけで時代(世代?)を感じる。大きいことを成し遂げた著者のメンタルについて語られることが興味深い。ひそかに太平洋横断を計画しながら、具体的な話は誰にもせず、そんな時「夢はカッカと燃える。黙っているから、なお熱してくる。だれかに言いたくて、ムズムズしていた。」(p.39)っていうのは本当によく分かった。おれももう2回転職したけど、人に言っていないでナイショで転職計画を立てている時が、まさに次の目標に向けて突き進んでいっている時だった(良い例なのかどうかは分からんけど)。太平洋に出る前までの話もいいけど、やっぱり航海が始まってからが面白かった。出航からまったく進まない船。だからたまに進んでいる時も「だまされねえぞそういう気持だ。期待は失望のもとになる。あとでガックリするくらいなら、はじめから楽観しないほうがいい。」(p.157)という、太平洋を渡ろうという計画の大胆さとは裏腹に、航海全体を通して、安全第一、慎重さというのが全面に出ていた気がする。42日経って日付変更線を超えたところで「これでどうやらスタート・ラインだ。太平洋横断は、これからはじまる。気をひきしめて、あたらしくファイトを注入する。つねにひかえめに、いつも内輪に見つもって…。(略)気分のうえでも、いい調子になるのを押さえる。ヘコタレないための安全装置である。」(pp.179-80)という気の持ちようも、大きいことを成し遂げるためには必要な心の持ちようなのかもしれない。航海始めは焦りや、どうしようもない悲しさで泣きに泣いたりした場面もあったが、その著者の心境が変わっていくのが見て取れるのも、こういうエッセイを読む楽しさの1つだった。48日目、「ああ、太平洋のひとり旅は気楽だ。だれに気がねも遠慮もない。自分のぺースで生きていかれる。」(p.190)という心境、ここまで思えれば本物なのではないだろうか。そして、「わたるということは、とにかく海との戦いである。」(p.190)と思える強さをついに得た、という物語的な著者の成長、みたいなものが、一読者としてはとても偉そうだけれど、それを見るのが楽しかった。72日目、「出発当時をおもいだすと、ウソみたいだ。あのころは、すごくさびしかった。いろんな意味で四面楚歌だった。(略)つらくて、よく泣いた。もう大丈夫だ。日本幾をメソメソふりかえることは、まるでない。慣れというものは不思議だ。生まれた瞬間から、ひとりきりで暮らしたことのないぼくなのに…。(略)さびしくないわけではない。とてもさびしい。しかし、そのさびしさには、慣れることができる。矢もタテもたまらない気持は、だんだん薄れていく。ぼくはちかごろ考える。孤独と孤立はちがうんじゃあるまいか。(略)まわりに人がいというだけの孤独なら、いつかは我慢できるようになる。出てくる前のほうが、よっぽど、ぼくは孤立していた。が、いまは孤立していない。心はかよっている。孤独なだけだ。」(pp.216-7)、という大海の中で一人ぽつんとこんなことを考える、なんてドラマチックなんだろうと思う。同じように、著者の変化、という点では87日目「ぼく、変わった。はじめのころは、仕事がイヤでイヤで、しょうがなかった。しなくてはならないことがあっても、サボリがちだった。このごろでは、やたらと、することをさがしまわっている。」(p.240)という部分なんかは、おれがこの先この仕事を続けていくとして、いつかはこんな心境になることができれば幸せだなあと思った部分だった。
これだけヨットに乗る人でも船酔いに悩まされるのは普通のことなんだ、とか、59日目、「ラジオを聞いていた時、なにか、チカッとした。(略)あれなんだろう?錯覚だったんだな、それですましてしまった。が、あとから西の空ににじんだ赤は、とても不吉な色だった」(p.202)という、ジョンストン島の超高空核実験に遭遇した様子、などおれの全く知らない海の男の世界、一面海原に繰り広げられる世界、というのがたまらなく興味深いと思った。
変な自己啓発本とかを読むならこういう本だな、と思う。(19/04/24)続きを読む投稿日:2019.04.24
新たに太平洋を横断されることを新聞で知り、その原点の航海を読んでみた。時代の差もあるのだろうが、なんとも独特な文章。まぁでもそれも人柄の一端として味わえました。
海好きなもので、「誰もいない中、見渡す…限りの海の中で、星空の下、ヨットに揺られてアメリカを目指す、なんてすてきだなぁ」、と思ったりしましたが、現実はそんな生易しいものではないのをあらためて感じました。これだけタフな人でも、途中でさみしくてつらいのね・・続きを読む投稿日:2022.04.29
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