華氏451度〔新訳版〕
レイ・ブラッドベリ(著)
,伊藤典夫(訳)
/ハヤカワ文庫SF
作品情報
華氏451度──この温度で書物の紙は引火し、そして燃える。451と刻印されたヘルメットをかぶり、昇火器の炎で隠匿されていた書物を焼き尽くす男たち。モンターグも自らの仕事に誇りを持つ、そうした昇火士(ファイアマン)のひとりだった。だがある晩、風変わりな少女とであってから、彼の人生は劇的に変わってゆく……本が忌むべき禁制品となった未来を舞台に、SF界きっての抒情詩人が現代文明を鋭く風刺した不朽の名作、新訳で登場!/掲出の書影は底本のものです
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商品情報
- シリーズ
- 華氏451度〔新訳版〕
- 出版社
- 早川書房
- 掲載誌・レーベル
- ハヤカワ文庫SF
- 書籍発売日
- 2014.06.25
- Reader Store発売日
- 2014.08.15
- ファイルサイズ
- 1.6MB
- ページ数
- 304ページ
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この作品のレビュー
平均 4.0 (291件のレビュー)
-
ディストピア小説の古典的名著といえば、まず名前が挙がるのがジョージ・オーウェルの『一九八四年』、オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』だが、それらの小説に勝るとも劣らないのが1953年に上梓された…、SF作家レイ・ブラッドベリの描いた焚書をテーマとした本書『華氏451度』である。
この『華氏451度』とは紙が燃え上がる温度のことで、摂氏でいえば約232度の高温のことである。
本書で描かれるのは、本の所持が禁じられた未来社会。
主人公のモンターグは、本を発見したらそれを昇火器で昇火することを生業とする昇火士(ファイアマン)である。
本を焼却することになんの疑問を持っていなかったモンターグであったが、本を守ろうとして彼が一緒に焼却し、殺してしまった女性の姿を見て、本には命をかけるほどの価値があるということに気がつき、焚書社会に反抗していく姿が描かれていく。
ここに描かれている社会は、もちろん架空の社会であるが、深読みしてみると非常に現代社会と状況が似通っている部分が多い。
本書に出てくる多くの人が夢中になっているのは「ラウンジ壁(スクリーン)』と呼ばれるテレビに似たような機械で、これは自宅内に設置されており、見るものに対していろいろな情報や映像を提供し、さらには簡易な会話なども楽しめる。
人々は、本を読むことを禁じられ、常にこの「ラウンジ壁」を見ながら自ら考えることを放棄し、「ラウンジ壁」からの情報を鵜呑みにし、それに依存してしまっている状況にある。
この本を読んでいて、ふと思ってしまった。
この「ラウンジ壁」は、今の社会でいえばまさしくテレビであり、さらに言えばテレビよりもインタラクティブな機能をもっている「スクリーン」、つまりまさにスマートフォンのことになるのではないだろうか?
現代の人々は電車の中でも、食事中でも、いつでもどこでも手の中にある光る板を眺めている。恋人とのデート中でさえ、相手の顔を見ているよりもスマホを見ている時間の方が長いのではないだろうか。
約15年前、あのiPhoneが登場するまでは、人々のその手の中にあったのは新聞であり、文庫本であり、漫画雑誌であったのだが、その光景は今や一変してしまった。
「すべてのスマホが悪だ」などということを言うつもりは毛頭ないが、皆が多かれ少なかれ「スマホ中毒」状況にあるのは間違いないだろう。
この状況は、ある意味においては、本書で描かれている世界よりも「異常な世界」なのかもしれない。
話を戻すが、現代社会はもちろん焚書社会ではないし、本を読むことも所持することも当然自由なのであるが、ここに驚くべき調査結果がある。
若干古いデータで申し訳ないが、文化庁が平成30年に16歳以上の男女3590人に調査した
「1か月に大体何冊くらい本を読むか」という問いに対して
「読まない」と答えた割合が47.3%、
「1、2冊」と答えた割合が37.6%
なのである。
つまり、約85%の人たちは「月に2冊以下」しか本を読んでいない状況である。
このような数字を見ると、今の私たちはあえて自ら「焚書社会」を作り上げ、そして「スマホ社会」に移行していると言っても過言ではないだろう。
本書に描かれた社会と現代社会が直面している状況はまさに紙一重といっても良いのかもしれない。
このレビューを読んでいる人は、誰もが毎月それなりの冊数の本を読んでいる奇特な人たち(笑)だろうが、もしこの本を読んだとしたらそれぞれ思うところがあると思うので、未読の方はぜひ手に取ってもらいたい。
本書は、焚書社会を通じて破滅へ突き進んでいく社会を描いたディストピア小説の傑作である。続きを読む投稿日:2021.02.09
1953年に刊行された本著を読んでいる。
耳にはワイヤレスイヤホンが刺さっているし、3枚の画面に囲まれて仕事してたりしている。投稿日:2024.05.16
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