コウノドリ(31)
鈴ノ木ユウ(著)
/モーニング
この作品のレビュー
平均 4.8 (6件のレビュー)
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講談社漫画賞を受賞し、2度にわたってテレビドラマ化もされた人気漫画の第31巻。
約8年に及んだ「モーニング」誌での連載は、2020年5月に終了し、コミックス最終32巻は10月23日発売とアナウンスさ…れています。自分はNHKの『あさイチ』で取り上げられて以来約5年間お付き合いしてきました。途中から始めた伴走でしたが、読者として最後までご一緒できて嬉しく思います。
この漫画は「ペルソナ総合医療センター」の産科を中心に、妊娠出産、赤ちゃんとお母さんを巡る悲喜劇と、主人公サクラ先生を中心とした群像劇です。綿密な取材に基づく圧倒的なリアリティと現場感を伴って語られています。
登場人物一人一人が丁寧に描きこまれていますが、その多くが一層の成長を目指し、自らの未来を拓くべくペルソナを後にしました。第22巻では、サクラ先生と並ぶ主人公と言ってもいい四宮先生までが実家の病院に帰ってしまいました。
その後、医師・助産師以外で周産期医療にかかわっている人たちの紹介を挟み、ようやく旅立っていった人たちが一回り大きくなって戻ってくる流れが始まりました。
第30巻では一度はバーンアウトしてNICUを去った新井先生が「新しいNICU」を目指してペルソナに復帰し、そしてこの巻。いよいよ本命のあの人が戻ってきます。
ということで、この巻には、「胆嚢結石」と「救命の未来」が掲載されています。
以下、各エピソードに一言ずつ。
「胆嚢結石」
2人目妊娠中の谷岡さんはインスタグラムにハマっています。
順調だった妊娠ですが、ある日突然の激しい腹痛でペルソナに駆け込みます。診断は、赤ちゃんとは直接関係のない「胆嚢結石」。
妊娠中には起こりやすいそうです。11巻の「フルコース」で盲腸を切った外科医霧原先生が久しぶりに登場して、胆嚢を取ってしまう手術をして一件落着。
ところで、谷岡さんは、緊急入院に携帯を持ってこなかったことを真っ先に気にするなど、インスタ依存状態です。
小松さんにはほどほどにと窘められつつも、倉崎先生には「妊娠中は一人で不安に感じることも多いしインスタなんかで同じ妊婦と悩みを共有できれば解消することもあると思う。家に引きこもりがちになる産前産後はインスタで誰かと繋がっている気になれるのは心強いのかも」って生暖かい目で見逃してもらいます。インスタに限らず、SNSはいいところだけ利用してあまり深く足を突っ込まないよう、という今の世相に沿った現実的なアドバイスです。
ラストはマタニティアートをお腹に書きかけの時に陣痛が来て、小松さんにも「あたしもお腹に絵を描いたままの出産は初めて」と呆れられながらも無事出産。汗でドロドロになったマタニティアートを背景に赤ちゃんと一緒に収まった写真をインスタに投稿する懲りない谷岡さんでした。
啓発と可笑しみが同居したコウノドリらしいいい回でした。SNSについても、「産後なんだからゆっくり休めよな」という正論を語らせる一方で「孤立感や不安感解消のためにある程度なら」と寄り添う姿勢も見せて、安心して読むことができます(正論を語らせるのに一番向いている四宮先生の不在が悔やまれます)。
マタニティアートも、作中では滑稽なラストになりましたが、SNS同様、赤ちゃんや母体に悪影響を及ぼすようなことでない限り、楽しくやればいいんじゃないかなと思います。黒歴史化するかもですがw。
そして、外科の腹切り…じゃなくて霧原先生が相変わらずいいキャラです。主役を張る回が読みたかったなあ。
「救命の未来」
12巻で、ほんの少しの気がかりをそのままにしてしまったがために、お母さんと赤ちゃんの命を救うことができなかった下屋先生。
その後、救命救急への転科を志願し、1ヵ月持たないだろうという冷たい視線も跳ね返し、今や加瀬先生にも頼りにされる存在です。
ハイライトは劇症型A型連鎖球菌感染(「人食いバクテリア」)から胎盤早期剥離を起こしたお母さんを緊急帝王切開、さらに止まらなくなった出血に子宮摘出と、百戦錬磨の加瀬先生をして「俺が前立をしていたら死なせていた」と言わしめた修羅場を鮮やかに切り抜けたところ。
救急救命医としても間違いなく一流になった下屋は、産科に戻るべきかどうか、救命部長の嫉妬に近い遺留に会い逡巡しますが、小松さんに連れられて行ったベイビーのライブを聞いて、自分の居場所に帰ることを決意したのでした。
ということで、医療ドラマの見所満載。上記の人食いバクテリアの他にも「死戦期帝王切開」が出てきますし、心停止に即心臓マッサージをしようと患者に飛びつくシーンなど、下屋先生の成長ぶりが随所に山盛りです。
救命の厳しさが身に染みてわかったうえで産科に復帰することを選んだ下屋先生と救命に残したいと思いつつ最後には「胸を張って産科に戻りなさい」と送り出す救命部長のやり取りに、救命という職場の厳しさを伺います。心を病み、自殺したこともあるという部長の言葉、そして「救命の未来」というサブタイトルに、取材元のインタビュイーの問題意識がにじみ出ているように思えます。
さて、新井先生、下屋先生と立て続けに復帰しましたが、次の32巻は最終巻です。それぞれの復帰先でのお2人の活躍がもう読めないのは残念です。
でも、考えてみたら「成長(の過程でのさまざまな葛藤)」を主題にした群像劇では、成長して大きくなってしまったキャラにはもう出番はないのかもしれませんね(いわゆる「殿堂入り」ですね)。
そしてどんな大団円が待っているのか、あと半月、ドキドキしながら第32巻を待つことにします。続きを読む投稿日:2020.10.28
面白かったー。3人出産し終えてから読むと、ほんとに何もなく無事に産まれて来てくれて良かったと思う。出産はほんとに奇跡みたいな出来事で、そんな奇跡が毎日どこかで起こってるなんて、なんて素敵な世界なんだと…一人目を産み終えた時に思ったなぁ。続きを読む
投稿日:2022.10.27
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